
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
今回は小郡市から来院された100m、200mが専門のスプリンターのアキレス腱の痛みに対しての施術をご紹介していきます。
この選手は日本トップクラスの選手です‼
スプリンターのアキレス腱の痛みとは

スプリンターにとってアキレス腱は地面から受けた力を利用して身体を前へ進めるための重要な組織です。
短距離走では、接地時間が非常に短いなかで大きな力を地面に伝える必要があります。
そのため、スタート・加速・最高速度局面では、ふくらはぎからアキレス腱に大きな負荷が繰り返しかかります。
特に、
- 練習量やスプリント本数が急に増えた
- 坂ダッシュやジャンプ系トレーニングが増えた
- スパイクを変更した
- 硬い路面での練習が続いた
- 足関節やふくらはぎの機能が十分でない
といった状況では、アキレス腱が負荷に適応しきれず、痛みにつながることがあります。
代表的なのが「アキレス腱症(Achilles tendinopathy)」です。腱の中央付近に症状が出る「アキレス腱中部腱症」と、踵の付着部に症状が出る「アキレス腱付着部腱症」に大きく分けられます。
スプリンターでは「走っているときだけ痛い」とは限りません。
朝起きて最初の数歩が痛い、練習開始時に痛む、アップすると少し楽になる、ダッシュやジャンプで痛む、練習後に痛みが強くなるといった症状もみられます。
重要なのは痛みだけを取るのではなく、なぜアキレス腱に負荷が集中しているのかを考えることです。
足関節の動き、腓腹筋・ヒラメ筋の機能、足部の安定性、走り方、接地、練習量などを確認しながら、アキレス腱にかかる負荷を調整していくことが復帰には重要になります。
アキレス腱のリハビリに有効とされているアルフレッドソンプロトコルについてはこちらもどうぞ!

スプリンターのアキレス腱痛|練習量・ダッシュ・ジャンプはどう調整する?

アキレス腱が痛くなると、
「しばらく完全に休んだほうがいいの?」
「少しくらい痛くても走っていいの?」
と迷う選手は多いと思います。
スプリンターのアキレス腱痛では「完全に休む」か「痛くても通常通り練習する」かの二択にしないことが大切です。
アキレス腱は、適切な負荷をかけながら少しずつ負荷に耐えられる状態へ戻していくことが重要です。
そのため、痛みが出たからといってすべての運動を中止するのではなく、
「今のアキレス腱が、どのくらいの負荷まで耐えられるのか?」
を確認しながら、走るスピード・本数・ジャンプ量などを調整していきます。
練習量は「練習中の痛み」だけで判断しない
練習量を調整するときに分かりやすい方法のひとつが、痛みを0〜10で評価することです。
| 痛み・状態 | 選手の状態 | 練習の考え方 |
|---|---|---|
| 🟢 0〜2程度 | 軽い痛みでフォームも変わらない | 状態を確認しながら負荷を調整 |
| 🟡 3〜4程度 | 痛みを意識する | スピードや本数を減らす |
| 🔴 強い痛み | かばう・フォームが崩れる | ダッシュやジャンプを中止 |
| 🔴 翌朝に悪化 | 朝の一歩目の痛み・こわばりが増える | 前日の負荷を下げる |
ただし、この数字だけで「走ってよい・悪い」を決めるわけではありません。
特に確認してほしいのが、翌朝のアキレス腱の状態です。
練習中には、
「意外と走れた!」
「アップしたら痛みが減った!」
ということがあります。
しかし、翌朝になって、
- 朝の一歩目がいつもより痛い
- アキレス腱のこわばりが強い
- 階段を降りると痛い
- 前日より痛みが残っている
といった変化が出ているのであれば、前日の負荷が現在のアキレス腱に対して大きすぎた可能性があります。
つまり、
練習中 → 練習後 → 翌朝
までをセットで確認することが大切です。
スプリンターでは「走った距離」だけでなく「速さ」も重要
長距離選手であれば走行距離が負荷を考えるひとつの指標になりますが、スプリンターの場合はそれだけでは不十分です。
なぜなら、スプリントでは短い接地時間の中で大きな力を地面に伝える必要がありスピードが上がるほどアキレス腱にも高い能力が要求されるからです。
そのため、
ジョグ
↓
流し
↓
テンポ走
↓
高速走
↓
全力疾走
というように、走る内容によってアキレス腱にかかる負荷は大きく変わります。
アキレス腱が痛い状態から、いきなり100%のスタートダッシュに戻すのではなく、
低強度
↓
60〜70%
↓
70〜80%
↓
80〜90%
↓
90〜100%
というように段階的にスピードを上げていく考え方が大切です。
ただし、
「80%なら絶対に大丈夫」
という意味ではありません。
同じ80%の走行でも、症状や競技レベル、練習本数、路面、スパイクの使用などによってアキレス腱への負担は変わります。
そのため、割合はあくまで目安として考え、
「走っている最中・走った後・翌朝」
の反応を確認しながら次の段階へ進みます。
スタートダッシュやジャンプ系トレーニングは特に慎重に
スプリンターの場合、もうひとつ注意したいのが瞬間的に大きな力が必要となる練習です。
例えば、
- スタートダッシュ
- 坂ダッシュ
- ホッピング
- ポゴジャンプ
- バウンディング
- 連続ジャンプ
などです。
こうした練習では、アキレス腱が大きな力を受け止め、さらに短時間で力を発揮することが求められます。
そのため、通常のジョギングができるようになったからといって、すぐに全力ダッシュやバウンディングまで戻してよいとは限りません。
痛みが強い時期には高負荷のダッシュやジャンプを一度減らし、症状をコントロールできる範囲で筋力トレーニングや低強度のランニングなどを行います。
そして状態を確認しながら、
両脚ジャンプ
↓
軽いポゴジャンプ
↓
片脚ジャンプ
↓
バウンディング
↓
スプリント
というように段階的に負荷を戻していきます。
最終的には単に「痛みなく歩ける」だけではなく、アキレス腱がスプリント特有の速く大きな負荷に耐えられる状態まで戻すことが競技復帰では重要になります。
「痛くない=全力で走っていい」ではない

ここはスプリンターに特に知っておいてほしいポイントです。
アキレス腱の痛みが軽くなってくると、
「もう治ったから走れる!」
と思ってしまいがちです。
しかし、日常生活で痛みがなくなることと、100%のスプリントに耐えられることは同じではありません。
歩行と100%のスプリントでは、アキレス腱に求められる能力が大きく異なります。
そのため競技復帰では、
痛みが減る
→ 筋力を戻す
→ ジャンプに耐える
→ 高速走に耐える
→ 全力疾走に耐える
というように、競技で必要となる負荷まで段階的に戻していくことが重要です。
大切なのは「全部休む」ではなく「耐えられる負荷まで下げる」
アキレス腱が痛いと、
「休んだほうがいいのか?」
「走り続けたほうがいいのか?」
という話になりがちです。
しかし実際には、その中間を考えることが重要です。
「痛いから全部休む」のではなく、「現在のアキレス腱が耐えられるところまで一度負荷を下げ、反応を確認しながら少しずつ戻していく」
という考え方です。
そして練習中だけで判断せず、
練習中の痛み
+
練習後の反応
+
翌朝の痛み・こわばり
まで確認して、次の練習内容を決めていきます。
ただし、突然の強い痛みや「ブチッ」という感覚、急激な腫れ、地面を蹴れない、片脚でつま先立ちができないといった症状がある場合は別です。
このような場合はアキレス腱の大きな損傷も考える必要があるため、負荷を調整しながら練習を続けるのではなく、練習を中止して医療機関で評価を受けることを優先してください。
杏鍼灸整骨院での施術
少し前置きが長かったですが今回は非温熱療法でアキレス腱に対して超音波を照射しています。
杏鍼灸整骨院では様々な物理療法を組み合わせながら施術をしています。
今回はアキレス腱に対しての超音波の非温熱効果を少しご紹介します。
アキレス腱の痛みに超音波治療を行う理由|非温熱効果とは?
当院ではアキレス腱の状態に合わせて超音波治療を行うことがあります。
超音波と聞くと、少し詳しい方からすれば
「温める治療ですか?」
と思われるかもしれません。
実は治療用超音波には、大きく分けて「温熱効果」と「非温熱効果」という2つの作用があります。
アキレス腱の状態によっては、組織を大きく温めることを目的とするのではなく、超音波による細かな機械的刺激を利用する「非温熱効果」を狙って使用することがあります。
温熱効果などはこちらもどうぞ!

超音波はアキレス腱に何をしているの?
超音波治療器では人間の耳には聞こえないほど高い周波数の音波を身体に伝えます。
この超音波がアキレス腱周辺の組織に伝わることで非常に細かな機械的刺激が発生します。
イメージとしては、
超音波
↓
アキレス腱に細かな刺激が伝わる
↓
腱を構成する細胞にも刺激が加わる
↓
組織が回復していくための反応をサポートする可能性
という流れです。
つまり、強く揉んだり動かしたりするのではなく、身体の外から超音波という非常に細かな刺激を組織へ届ける治療と考えると分かりやすいと思います。
なぜアキレス腱の回復に関係するの?
アキレス腱は、主にコラーゲンなどからできている丈夫な組織です。
しかし、ダッシュやジャンプなどの負荷が繰り返しかかり、アキレス腱がその負荷に対応できなくなると、痛みや腱の構造の変化につながることがあります。
超音波による機械的刺激については、基礎研究を中心に、
- 腱を構成する細胞の反応
- コラーゲンの産生
- 組織の修復や再構築
- 細胞同士の情報伝達
などに影響する可能性が研究されています。
そのため当院では、アキレス腱の状態を確認しながら、組織の回復をサポートする目的のひとつとして超音波を使用することがあります。
超音波を当てればアキレス腱が治るわけではありません
ここはとても重要です。
超音波には組織の回復に関係する可能性が研究されていますが、
「超音波を当てておけばアキレス腱の痛みが治る」
というものではありません。
特にアキレス腱の痛みでは、
なぜアキレス腱に負担が集中しているのか?
を考えることが大切です。
例えばスプリンターであれば、
- 練習量が急に増えていないか
- 全力ダッシュが多くなっていないか
- 坂ダッシュが増えていないか
- ジャンプ系トレーニングが多すぎないか
- ふくらはぎの筋力が低下していないか
- 足首の動きに問題がないか
- スパイクや路面が変わっていないか
なども確認する必要があります。
そのため、超音波治療だけではなく、練習量の調整・筋力トレーニング・段階的なランニング復帰などを組み合わせていくことが重要です。
「痛みを取る」だけでなく「走れるアキレス腱」に戻していく
スプリンターの場合、日常生活でアキレス腱が痛くなくなったからといって、すぐに100%で走れるとは限りません。
歩くことと全力疾走では、アキレス腱に求められる能力が大きく違うからです。
そのため、
痛みを落ち着かせる
↓
アキレス腱に適切な負荷をかける
↓
筋力を戻す
↓
ジャンプ系の負荷を戻す
↓
走るスピードを上げる
↓
全力疾走へ戻す
というように、段階的に競技復帰を目指していきます。
超音波治療は、その過程でアキレス腱の組織に機械的な刺激を加え、回復をサポートするための選択肢のひとつとして使用します。
まとめ
今回はスプリンターのアキレス腱の痛みに対しての症例のご紹介でした!
杏鍼灸整骨院では様々な物理療法なども駆使しながら復帰までしっかりとサポートしています。
何か痛みでお困りなら是非ご相談ください。
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramやYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。
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投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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