
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
今回は杏鍼灸整骨院に来院されたハードル選手のハムストリングの肉離れの方への鍼治療をご紹介していきたいと思います。
ハムストリングの肉離れは当院でも多く来られるスポーツでのケガです。
特に今回は損傷してまだ日が浅い時のアプローチです。
1. ハムストリングとは

ハムストリング(hamstring)は太ももの後面にある筋肉群の総称で次の3つの筋肉から構成されています。
- 大腿二頭筋(だいたいにとうきん)
- 半腱様筋(はんけんようきん)
- 半膜様筋(はんまくようきん)
肉離れとはこれらの筋線維や筋膜・腱膜が、急激な伸張や収縮によって損傷することを指します。
特に多いのが、『筋腱移行部(MTJ)』と呼ばれる筋肉と腱の境目付近の損傷です。
2. なぜハムストリングは肉離れを起こしやすいのか

ポイントはハムストリングが「強く収縮しながら、同時に伸ばされる」状況に置かれやすいことです。
たとえば短距離走の終盤では股関節が屈曲し膝関節が伸展することでハムストリングが大きく引き伸ばされます。
そしてこの伸ばされた状態のままハムストリングは収縮(遠心性収縮)を行います。
つまり、
筋肉は縮もうとしているのに、外からは引き伸ばされている
という状態です。
このギャップが筋線維や筋腱移行部に大きな負荷をかけ損傷につながります。
中でも損傷が多いのが大腿二頭筋長頭です。
スプリント、サッカー、ラグビー、陸上、野球、バスケットボールなど、急加速・急減速・高速走行を伴う競技で頻発します。
3. 肉離れの重症度(Grade分類)
一般的には以下のGrade Ⅰ〜Ⅲで分類されます。
| Grade | 状態 | 症状 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | 軽度の筋線維損傷 | 軽い痛み、運動は可能 |
| Ⅱ度 | 部分断裂 | 強い痛み、筋力低下、走行困難 |
| Ⅲ度 | 完全断裂に近い高度損傷 | 強い疼痛、著明な筋力低下、歩行困難な場合も |
ただし、Grade分類だけで予後を十分に判断することはできません。
臨床では、損傷部位・損傷範囲・腱への進展の有無・近位か遠位かといった要素を合わせて評価することが重要だと考えられています。
4. 痛みが出やすい場所

ハムストリング肉離れの痛みは、部位によって注意点が異なります。
- 大腿後面中央部:最も典型的な発生部位
- 坐骨結節付近:近位ハムストリング腱損傷の場合に注意
- 膝の後面〜遠位部:遠位側の損傷では膝に近い部分に痛みが出る
そのため、「太ももの裏が痛い=必ず中央部の肉離れ」というわけではない点に注意が必要です。
5. 肉離れを疑う臨床所見

代表的な所見は次の4つです。
- 圧痛:損傷部位に限局した痛み
- ストレッチ痛:膝伸展+股関節屈曲でハムストリングを伸ばすと痛みが誘発される
- 収縮時痛:膝屈曲などハムストリングを収縮させると痛みが出る
- 筋力低下:特にGrade Ⅱ以上で明らかになりやすい
「伸ばすと痛い」だけでは不十分
臨床上重要なのは、ストレッチ痛と収縮痛の両方を確認することです。
- 股関節屈曲+膝伸展で痛みが出る
- さらに膝屈曲に抵抗をかけても痛みが出る
このように「伸ばされても痛い、縮めても痛い」という状態は、筋損傷を強く疑う重要なサインになります。
6. 急性期に大切なこと
受傷直後〜数日間は、損傷組織に過剰な負荷をかけないことが基本です。避けるべきなのは、
- 強いストレッチ
- 強いマッサージ
- 強い筋収縮
- 痛みを我慢した運動
の4つです。
一方で、「完全に動かさない」ことが常に正解とは限りません。疼痛や損傷程度を見ながら、早期から適切な範囲で運動を再開していくことが競技復帰への近道になります。
7. リハビリで重要なのは「筋力」だけではない
ハムストリング肉離れのリハビリは、次のように段階的に負荷を上げていきます。
- 疼痛コントロール
- 可動域回復
- 低負荷の筋収縮
- 遠心性収縮
- 高速収縮
- スプリント
- 競技復帰
中でも特に重要なのが遠心性トレーニングで、代表的な種目にノルディックハムストリングエクササイズ(Nordic Hamstring Exercise)があります。ただし、これは受傷直後からいきなり行うものではなく、組織の回復状況に応じて段階的に導入する必要があります。
最近はLプロトコルというリハビリプログラムもあります。
こちらの記事もご覧なってください。

8. 再発予防が何より重要
ハムストリング肉離れは、「痛みがなくなった=治った」とは限りません。
痛みが消えても、以下の要素が十分に回復していないケースがあります。
- 筋力
- 遠心性筋力
- 股関節・骨盤のコントロール
- 高速走行能力
- ハムストリングの伸張耐性
この状態で全力疾走すると、再受傷のリスクが高まります。
競技復帰の際は、「痛みがない」段階から「全力で走れる」段階まで、しっかりと段階を踏んで確認していくことが大切です。
杏鍼灸整骨院での鍼灸施術
今回のケースは怪我をして5日目なので鍼通電は微弱電流を通電しLIPUS(固定型超音波治療器)を照射し回復を早くするような処置をしています。
鍼治療は筋の回復が早くなる事が現在考えられています。
ここからは少し難しい話になるかもしれませんが少し深掘りをしていきたいと思います。
現在の生理学・組織修復の知見をもとに整理すると、鍼刺激には複数の作用が同時に関わっている可能性があります。本記事では、その代表的な5つのメカニズムを解説します。
① 局所血流を増やす

鍼刺激によって、局所での血管拡張や微小循環の変化が起こることが知られています。
そのプロセスはおおよそ次のような流れです。
鍼刺激 → 感覚神経・C線維などを刺激 → CGRPやサブスタンスPなどの血管作動性物質の放出 → 局所血管拡張 → 微小循環の変化
肉離れの修復には酸素・栄養・各種修復細胞の供給が欠かせません。
そのため損傷部周辺の循環環境を整えることが修復を後押しする可能性があると考えられています。
ただし「血流が増えれば肉離れが治る」というほど単純な話ではない点には注意が必要です。
② 炎症反応を調整する

肉離れは、次のような過程をたどって修復されていきます。
筋線維損傷 → 炎症 → 壊死組織の除去 → 再生 → リモデリング
ここで重要なのは炎症そのものは決して悪者ではないということです。
炎症は組織修復に必要な反応であり問題は「炎症を完全に抑え込むこと」ではなく適切な炎症反応を経てスムーズに修復段階へ移行することにあります。
鍼刺激は、
- 好中球・マクロファージの活動
- 炎症性サイトカイン
- 抗炎症性サイトカイン
- 神経-免疫系
といった要素に影響を与える可能性が研究されています。
つまり鍼は単純な「消炎」というより損傷後の炎症反応を調整するものと捉えるほうが実態に近いといえます。
③ 筋衛星細胞による筋再生を促す可能性

肉離れを考えるうえで特に重要なのがこのポイントです。
筋損傷後には「筋衛星細胞(satellite cell)」が活性化し次のような流れで筋再生が進みます。
筋衛星細胞 → 増殖 → 損傷部へ移動 → 分化 → 筋線維と融合 → 新しい筋線維形成
動物研究では鍼刺激がこうした筋再生関連のシグナルや衛星細胞の活動に影響を与える可能性が報告されています。
つまり鍼治療は単に「痛みを取る治療」としてだけでなく筋損傷後の再生環境に影響を与える刺激として捉える余地があるということです。
④ 疼痛を抑えて「適切な運動療法」への移行を助ける
これは臨床的な観点から見て非常に重要な作用です。
肉離れでは、次のような悪循環に陥りやすくなります。
痛い → 筋収縮を避ける → 活動量低下 → 筋機能低下
鍼によって疼痛が軽減すれば、
痛みの軽減 → 適切な筋収縮が可能に → 早期からの段階的なリハビリ → 筋力・協調性の回復
という好循環につなげることができます。
つまり鍼そのものが「筋線維を直接修復する」というよりも疼痛をコントロールすることで適切なリハビリテーションを進めやすくするという役割が非常に大きいのです。杏鍼灸整骨院ではここは非常に大事だと考えています。
⑤ 筋緊張・防御性収縮を変化させる
肉離れ直後は、損傷部周辺の筋肉が防御的に緊張することがあります。例えばハムストリングの損傷であれば、次のような状態が起こり得ます。
損傷部位の痛み → 周囲筋の防御性収縮 → 局所の機械的ストレス増加 → 動作時痛
鍼刺激によって筋緊張や脊髄レベルの興奮性が変化すると、こうした過剰な防御性収縮を軽減する方向に働く可能性があります。
これらの効果により鍼治療は肉離れい対し効果的だと考えています。
まとめ
今回はハムストリングの肉離れに対する鍼治療の効果をご紹介いたしました。ハムストリングの肉離れは再発が非常に怖いですよね・・・・
杏鍼灸整骨院では様々な物理療法なども駆使しながら復帰までしっかりとサポートしています。
何か痛みでお困りなら是非ご相談ください。
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramやYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。
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投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
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院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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