
こんにちは.!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
今回は腓骨下端骨折の記事です。
足首の骨折をされた方、特に腓骨(ひこつ)の下の部分を骨折された方にとって「一日でも早く治したい」「元の生活に戻りたい」というお気持ちは本当によく分かります。
最近、医療の現場で注目されている「LIPUS(ライプス)」という治療法をご存じでしょうか?
超音波を使って骨の治りを早める画期的な方法なんです。
今回は論文データと実際に杏鍼灸整骨院でおこなった施術を基にこの治療法について分かりやすくお話しさせていただきますね。
整骨院、接骨院で骨折・脱臼の施術を受ける場合は医師の同意が必要です。
LIPUSついてはこちらもどうぞ!

筑紫野市から来院されたバスケットボール選手

大学三年生のバスケットボール選手です。全国大会の試合中に足首を捻って怪我をされたそうです。
ベスト4に残り東京から福岡に帰ってきたときに受診していただきました。
腫れの出方や圧痛の位置からも骨折を疑い提携先の整形外科に受診をしてもらいました。
診断はやはり腓骨下端部骨折でした。
上の写真は骨折部にLIPUS(骨折用超音波)に微弱電流をしているところです。

残念ながら1週間後の全国大会には間に合うことはできなかったですが回復も早く無事復帰しています。
回復期にはラジオ波なども当てて関節可動域をあげながらリハビリに頑張ってくれました!
ナイジェリアから来た留学生の選手です!
杏鍼灸整骨院は全力で応援しております!
ここからは骨折を早く治すためにおこなったLIPUSの紹介をしていきたいと思います。
LIPUSって何?まずは基本から

正式名称と読み方
LIPUSは「ライプスorリーパス」と読みます。これは「Low Intensity Pulsed Ultrasound(ロー・インテンシティ・パルスド・ウルトラサウンド)」の略で日本語では「低出力超音波パルス治療」と呼ばれています。
どんな治療なの?
簡単に言うと骨折した部分に弱い超音波を当てることで骨が早く治るのを助ける治療法です。痛みもほとんどなく肌の上から機械を当てるだけなのでとても安全な治療法として知られています。
超音波と聞くと赤ちゃんのエコー検査を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
LIPUSも同じように超音波を使いますが、エコー検査とは違って、骨を刺激して治りを早めることが目的なんです。
LIPUSの歴史と実績

研究の始まり
この治療法の研究は1983年にDuarteという研究者がウサギを使った実験で弱い超音波を断続的に当てると骨の治りが早くなることを発見したのが始まりだと言われています。
日本での導入
日本では1998年になかなか治らない難しい骨折に対して保険適用が認められました。
その後2008年には手術後の骨折にも保険が使えるようになり多くの患者さんが恩恵を受けられるようになったんです。
世界のトップアスリートも使用
実はこの治療法は野球のメジャーリーグや、サッカーのプレミアリーグなど世界のトップアスリートたちも使用していることで話題になりました。
元メジャーリーガーの松井秀喜選手や元イングランド代表のデイビッド・ベッカム選手なども、この治療を受けて早期復帰を果たしたと言われています。
腓骨下端骨折とは?

腓骨ってどこの骨?
腓骨はすねにある二本の骨のうち外側(小指側)にある細い骨のことです。
足首に近い部分(下端)は特に骨折しやすい場所として知られています。
転倒したときや足首を強くひねったときなどに折れてしまうことが多いんですね。
特にスポーツをされる方や高齢の方に多く見られる骨折です。
足首周辺の骨折の特徴
足首周辺の骨折は日常生活への影響が大きいのが特徴です。
歩けなくなったり立ち仕事ができなくなったりと生活の質が大きく下がってしまいます。
だからこそできるだけ早く治すことが大切なんです。
骨折が治るしくみとLIPUSが効く理由

骨折した骨が元通りになるまでには大きく3つの段階があります。 LIPUSという超音波治療はそのすべてのフェーズに働きかけることができます。
① 炎症期(受傷直後〜数日)
骨が折れるとまず患部に血腫ができ免疫細胞が集まってきます。
これが「炎症」です。
ここで大切なのは炎症は悪者ではないということ。
治癒のスタートに欠かせない反応です。
ただし、炎症が強すぎると回復の妨げになります。
LIPUSを当てることで炎症性のサイトカイン(主に免疫細胞から分泌される微量なタンパク質で細胞間の情報伝達を担う生理活性物質)が適切なレベルに調整されマクロファージが「壊す・食べる」役割から「修復を助ける」役割へとシフトしていきます。
ポイント:炎症を消すのではなく、”治癒に最適な炎症”に整える
② 修復期(仮骨形成)── もっとも効果が出るフェーズ
骨折治療のなかでもっとも重要な時期です。
柔らかい仮骨(軟骨仮骨)が少しずつ硬い骨へと変わっていきます。
LIPUSはここで3つの方向から作用します。
骨芽細胞の活性化
幹細胞(MSC)が骨を作る細胞(骨芽細胞)へと分化するのを後押しし骨形成に関わる物質(ALPやオステオカルシン)の産生を高めます。
軟骨形成の促進
軟骨細胞の増殖を助け、軟骨が骨へと置き換わる「内軟骨性骨化」のスピードを上げます。
これにより仮骨の形成が早まります。
血管新生(これが特に重要)
VEGFというタンパク質を増やし患部への血流を改善します。
血流が増えるということは、骨が育つために必要な酸素や栄養が届きやすくなるということ。
骨癒合を進める”土台”が整います。
③ リモデリング期
仮骨ができた後は骨をより強く・機能的な形に整えていく時期です。
骨を壊す破骨細胞と骨を作る骨芽細胞のバランスをLIPUSが調整することで最終的な骨の強度・形状の最適化を助けます。
なぜ骨癒合が早くなるのか? ── 鍵は「メカノトランスダクション」
LIPUSの原理は微細な振動(超音波)です。
この振動が細胞に伝わると次のような連鎖が起きます。
細胞膜が変形する → インテグリン(細胞のセンサー)が刺激される → カルシウムイオンが細胞内に流入 → MAPK・COX-2などのシグナル経路が活性化 → 骨形成に関わる遺伝子のスイッチがONになる
物理的な刺激が細胞レベルの「骨を作れ」という指令に変換される。
これがメカノトランスダクションです。
LIPUSが単なる「温める治療」ではなく細胞に直接はたらきかける治療である理由がここにあります。
実際の治療の流れ

1. 医師の診断
まず、レントゲン検査などで骨折の状態を確認します。その上でLIPUSによる治療が適切かどうかを医師が判断します。
2. 治療部位の確認
治療する場所に印をつけて、正確に照射できるようにします。
3. 1日20分の照射
専用の機械を使って骨折した部分に超音波を当てます。1回の治療時間は約20分です。
治療中は痛みや不快感はほとんどありません。むしろ、何も感じないことが多いくらいです。
4. 毎日続けることが大切
理想的には毎日治療を受けることですが、患者さんの生活スタイルに合わせて、週に3〜4日程度でも効果が期待できることが分かっています。
5. 定期的な経過観察
一定期間ごとにレントゲン検査や診察を行い骨の治り具合を確認します。
結果に応じて治療計画を調整していきます。杏鍼灸整骨院では整形外科などの専門機関と連携しながら施術を勧めていきます。
どんな人に向いているの?

早く治したい方
スポーツ選手や仕事の都合で早期復帰が必要な方には特におすすめです。
手術を避けたい方
高齢の方や持病があって手術のリスクが高い方にとってLIPUSは安全な選択肢となります。
治りが遅くて心配な方
通常よりも治りが遅い場合でもLIPUSを使うことで改善する可能性があります。
年齢は関係ない
小学生からご高齢の方まで幅広い年齢層の方が治療を受けられます。
研究によると60歳以上の方でも若い方と同じくらいの効果が得られることが分かっています。
LIPUSが効果的な骨折の部位
腓骨下端骨折はもちろんですがLIPUSは以下のような骨折にも効果的だと言われています。
- 手首の骨折(橈骨遠位端骨折)
- 指の骨折
- 足の甲の骨折(中足骨骨折)
- すねの骨折(脛骨骨折)
- 疲労骨折
- 肋骨の骨折
特に足首周辺や足の骨折に対しては平均以上の良好な結果が報告されています。
治療を受ける上での注意点

すべての骨折に効くわけではない
LIPUSは非常に有効な治療法ですが、すべての骨折に「必ず」効果があるというわけではありません。骨折の種類、骨のずれ具合、全身の健康状態などによって効果は変わってきます。
医師の同意が必要
LIPUSを使うには、医師の診断と同意が必要です。骨折を診断された際に「LIPUS治療を希望します」とお伝えください。
適さない場合もある
開放性骨折(皮膚が破れて骨が見えている骨折)や大腿骨頸部骨折など外科的処置が必要な場合には使用できないことがあります。
継続が大切
効果を得るためには、毎日(または医師の指示通りに)治療を続けることが重要です。途中でやめてしまうと、十分な効果が得られない可能性があります。
治療にかかる費用について
杏鍼灸整骨院では骨折などで医師の同意が得れた場合、療養費(保険適応)となり一部負担金+LIPUS使用料学生100円or一般の方は150円頂いております。
リスクや副作用は?

ほとんど心配なし
LIPUSは非常に安全な治療法として知られています。研究でも、重大な副作用の報告はほとんどありません。
報告されている軽い症状
まれに以下のような軽い症状が報告されています:
- ギプスの中での軽い腫れ
- 筋肉のけいれん
- 皮膚の軽い刺激感
これらの症状が出ても、ほとんどの場合は心配いりません。気になることがあれば、すぐに相談ください。
治療効果を高めるために

1. 栄養をしっかり摂る
骨の修復にはカルシウム、ビタミンD、タンパク質などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。
2. 禁煙する
喫煙は骨の治りを遅くすることが研究で分かっています。
可能であれば治療期間中は禁煙されることをおすすめします。
実際、研究によると喫煙者でもLIPUSを使うことで骨折の治癒が促進されることが示されていますが禁煙すればさらに効果が高まる可能性があります。
3. 医師の指示を守る
ギプスや装具の管理体重のかけ方など医師の指示をしっかり守ることが大切です。
4. 適度な運動
骨折部位以外の筋力を維持することも重要です。リハビリを含めて患部以外は積極的に動かしていきましょう。
よくある質問(Q&A)

Q1. 治療中に痛みはありますか?
A. ほとんどの方は痛みを感じません。むしろ、何も感じないことが多いです。
超音波は人間の耳には聞こえない周波数ですし出力も非常に弱いので安心して治療を受けていただけます。
Q2. どのくらいの期間続ければいいですか?
A. 骨折の種類や程度によって異なりますが一般的には数週間から長くても6ヶ月程度です。
医師が定期的に骨の治り具合を確認しながら治療期間を決めていきます。
Q3. ギプスをしたまま治療できますか?
A. はい、できることもあります。
LIPUSの大きな特徴の一つはギプスや固定具をつけたままでも治療できることです。その場合医師などにギプスに窓を開けてもらう必要があります。
Q4. 本当に40%も早く治るんですか?
A. 多くの臨床研究で約40%の短縮が報告されていますがすべての方に同じ効果があるわけではありません。
骨折の種類、場所、全身の健康状態、年齢、生活習慣など、様々な要因が影響します。
ただ多くの患者さんで一定の効果が認められているのは事実です。
Q5. 糖尿病や骨粗しょう症でも効果はありますか?
A. 研究によると糖尿病や骨粗しょう症などの持病がある方でもLIPUSは効果を示すことが分かっています。
むしろこうした骨折のリスクが高い方こそLIPUSの恩恵を受けられる可能性があります。
ただし個人差がありますので医師とよく相談してください。
Q6. 子どもや高齢者でも使えますか?
A. はい、使えます。
年齢制限はなく小さいお子様から高齢の方まで幅広い年齢層で使用できます。
研究では、60歳以上の方でも若い方と同じくらいの効果が得られることが示されています。
Q7. 金属のプレートやボルトが入っていても大丈夫?
A. はい、大丈夫です。研究によると、骨折部に金属の固定具(プレートやボルトなど)が入っている場合でも、LIPUSは安全に使用でき効果も期待できることが分かっています。
Q8. 毎日通院できないのですが、効果は得られますか?
A. 毎日治療するのが理想的ですが週に3〜4日でも効果が期待できることが研究で示されています。
患者さんの生活スタイルに合わせて無理なく続けられる頻度で治療計画を立てましょう。ただ週に1回などのあてる期間が長くなってしまうとご希望通りの結果は得れないことになってしまいます。
Q9. 他の治療と併用できますか?
A. はい、できます。
LIPUSは通常の骨折治療(ギプス固定、手術など)と併用することができます。むしろ、総合的な治療アプローチの一部として使うことでより良い結果が期待できます。
Q10. 治療を受けられる場所はどこですか?
A. 杏鍼灸整骨院では受けることができます。その他の医療機関や接骨院ではあるところとないところがございますのでお問い合わせしてみてください。
Q11. なかなか治らない古い骨折にも効きますか?
A. はい、効果が期待できます。研究によると骨折から3ヶ月以上経過した「治りにくい骨折」や「偽関節」と呼ばれる状態でも、82〜84%の成功率が報告されています。
ただし、骨折からの期間が長いほど効果が出にくくなる傾向がありますのでできるだけ早く治療を始めることが大切です。
Q12. 家で自分でできますか?
A. 医療機関によっては機器を貸し出して自宅で治療できる場合もあります。
ただし最初は医療機関で正しい使い方を教えてもらい定期的に経過を診てもらう必要があります。
すべて自己判断で行うのは避けましょう。
当院では貸し出しはしておりません。
インターネット上で貸し出す業者がありますが基本的に貸し出すのにも資格が必要です。必要資格がないまま貸し出しているところも散見しますので注意が必要です。
まとめ
腓骨下端骨折をはじめとする足首周辺の骨折に対して、LIPUSは多くの研究でその効果が実証されている治療法です。
LIPUSの主なメリット
- 骨の治りが約40%早くなる可能性がある
- 痛みがなく、安全性が高い
- ギプスをしたままでも治療できる
- 年齢に関係なく使える
- 手術を避けたい方にも選択肢となる
- 治りにくい骨折にも効果が期待できる
大切なこと
- 必ず医師の診断を受けること
- 継続して治療を受けること
- 栄養や生活習慣にも気を配ること
- 医師の指示をしっかり守ること
骨折は本当につらいものですが、LIPUSという選択肢があることを知っていただけたら嬉しいです。治療法について疑問や不安があれば遠慮なく相談してくださいね。
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramやYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。
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【参考文献】
- 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 28 No. 3, 2020
- BMC Musculoskeletal Disorders (2015, 2021)
- Injury (2017)
- Journal of Ultrasound in Medicine (2021)
- その他、多数の臨床研究論文
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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