
バレーボールを頑張っている方の中で腰の痛みに悩んでいる人はいませんか?
実は、バレーボール選手の約40%が腰痛を経験しているという研究結果があります。スパイク、ブロック、レシーブ……激しい動きが続く競技だからこそ、腰には大きな負担がかかってしまうんですね。
今回は、そんなバレーボール選手の腰痛に対して「微弱電流療法」という治療法が、どのように役立つ可能性があるのかを、研究論文や杏鍼灸整骨院での実際の症例をもとに分かりやすくご紹介していきます。
実際の杏鍼灸整骨院での施術(3DMENS)
高校2年生のバレーボール選手で試合途中で腰に痛みを感じて来院されました。
腰の下部(L4ーL5)に痛みがあったそうです。動きは身体を捻った(回旋時)時や身体を反った(後屈)時に痛みが再現出来ました。
痛みが出ている所が中心部の近くにあったのでまずは椎間関節部を狙って微弱電流を通電しました。
今回は3DMENSという立体動態波を利用した身体の中に微弱電流を効率よく流せる電気を選択しています。
通電後痛みはかなり軽減し、手技療法などを加えてその日の施術が完了となりました。
その後来院された際もほぼ痛みが無くてよかったです!
バレーボール選手の下部腰椎当たりの痛みが長期間続く場合は腰椎分離症の疑いも出てくるので経過は観察しましょうとお話ししています。
ではここからは少しバレーボール選手の腰痛についてと微弱電流についてを少し深掘りしていきたいと思います。
バレーボール選手はなぜ腰痛になりやすいのか

まず、バレーボールと腰痛の関係について見ていきましょう。
日本で行われた高校生バレーボール選手を対象とした調査では264名のうち103名、つまり約41%の選手が腰痛を経験していたことが報告されています。
一般的な10代の腰痛発生率が約6~7%程度であることを考えるとバレーボール選手がいかに腰痛のリスクが高いかが分かりますね。
なぜバレーボールで腰が痛くなるのでしょうか
1. ジャンプと着地の繰り返し
スパイクやブロックで何度も高くジャンプして着地する動作は、腰の骨(腰椎)や周りの筋肉に大きな衝撃を与えます。この繰り返しが、筋肉の疲労や靭帯への負担につながっていくんです。
2. 空中での反り返り動作
特にスパイクを打つときの空中姿勢では、腰を大きく反らせます。
研究によると、腰痛の原因となった動作の約40%が「スパイクの空中姿勢」だったという報告もあります。この反り返る動きが、腰の骨と骨の間にある椎間板という軟骨組織に、繰り返しストレスをかけてしまうのです。
3. 体幹の不安定性
レシーブや素早い動きの切り替えでは体幹(体の中心部分)がしっかり安定していることが大切です。
体幹の筋力が不足しているとその分、腰への負担が増えてしまいます。
微弱電流療法(マイクロカレント療法)って何?

それでは本題の「微弱電流療法」について分かりやすく説明していきますね。
微弱電流療法は英語で「Microcurrent Therapy(マイクロカレント・セラピー)」と呼ばれ非常に弱い電気を体に流す治療法です。
どれくらい弱いかというと通常の電気治療器の約1000分の1程度の電流なんです。
普通の電気治療との違い
一般的な電気治療(TENSなど)は、電気の刺激を感じて筋肉が動いたりするのですが、微弱電流はとても弱いので、治療を受けていてもほとんど刺激を感じません。
「本当に電気が流れているの?」と思うくらい優しい治療なんですよ。
この「刺激が少ない」ということが実は大きなメリットになります。
筋肉を無理に収縮させないので疲労することなく治療できるんですね。
微弱電流が体に与える効果とは
では微弱電流療法が体にどんな良い影響を与える可能性があるのか研究データをもとに見ていきましょう。
1. 細胞のエネルギー生産を助ける
私たちの体は、「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質をエネルギー源として使っています。このATPがないと、筋肉は動けませんし、傷ついた組織も修復できません。
動物を使った実験では、微弱電流を流すことで、細胞内のATP濃度が3~5倍にまで増加したという報告があります。これは、治療を受けた部分の細胞が、より活発にエネルギーを作り出せるようになったということなんです。
バレーボール選手にとって、これは何を意味するのでしょうか?試合や練習で疲労した筋肉が、より早く回復できる可能性があるということなんですね。
2. タンパク質の合成を促進
筋肉や組織の修復には、タンパク質の合成が欠かせません。研究によると、微弱電流は細胞膜の働きを正常化し、タンパク質の合成を助ける可能性が示されています。
これは、傷んだ筋肉や靭帯が、自然な治癒プロセスをスムーズに進められるようサポートすることを意味します。
3. 血流と栄養の供給を改善
微弱電流は、血液の流れを良くすることで、傷んだ組織に酸素や栄養をしっかり届けることができる可能性があります。同時に、疲労物質や老廃物の排出も促されると考えられています。
バレーボールのような瞬発力が求められるスポーツでは、乳酸などの疲労物質が筋肉に溜まりやすいですよね。微弱電流がこれらの除去を助けてくれる可能性があるんです。
4. 炎症を抑える働き
組織が傷つくと、そこに炎症が起こります。適度な炎症は治癒に必要なのですが、長引くと痛みが続いてしまいます。
研究では、微弱電流が炎症を抑える働きを持つ可能性が示されています。これにより、急性期の痛みだけでなく、慢性的な痛みの軽減にも役立つかもしれません。
今回は③、④などが効果的に効いたのではないかと推察されます。
実際の研究結果:慢性腰痛への効果

ここでもう少し腰痛に対しての微弱電流の具体的な研究データをご紹介します。
慢性腰痛患者への臨床研究
2004年に発表された研究では平均8.8年間も慢性腰痛に悩まされてきた22名の患者さんに周波数特異的微弱電流療法(FSM)という治療を行いました。
その結果痛みの強さが約3.8倍も軽減されたことが報告されています。
しかも治療期間は平均5.6週間、週に1回の治療で効果が見られたそうです。
さらに興味深いのはこれらの患者さんの90%がそれまでに薬物療法、カイロプラクティック、理学療法など様々な治療を試しても十分な効果が得られなかったという点です。
つまり、他の治療で改善しなかった人にも微弱電流が効果を示す可能性があるということなんですね。
筋骨格系の痛みに対する効果
2021年に発表された系統的レビュー(複数の研究をまとめて分析した研究)では、微弱電流療法が筋骨格系の痛みに対してどの程度効果があるのかが検討されました。
この研究によると微弱電流療法は:
- 肩の痛み(特に肩峰下インピンジメント症候群)
- 亜急性から慢性の膝の痛み
に対して偽の治療(プラセボ)と比較して有意に痛みを軽減させたことが示されています。
バレーボール選手の筋肉回復にも期待

バレーボールは、ジャンプ、着地、方向転換など、爆発的な動きを繰り返すスポーツです。そのため、筋肉の疲労と回復がとても重要になります。
遅発性筋肉痛(DOMS)への効果
激しい運動の後に起こる筋肉痛(遅発性筋肉痛、DOMS)に対して、周波数特異的微弱電流(FSM)が効果があるかを調べた研究があります。
この研究では35名の健康な参加者が運動後に片方の脚だけ微弱電流治療を受けました。
結果、治療を受けた脚は:
- ジャンプパフォーマンスが23%向上
- 乳酸値が15%減少
- 痛みのスコアが有意に改善
といった効果が見られました。
バレーボール選手にとって試合や練習後の筋肉の回復が早まることは、次の練習やゲームでのパフォーマンス維持につながる可能性があります。
アスリートの組織修復を促進
従来から、微弱電流療法はケガをしたアスリートの治癒を早めるために使われてきました。
特に
- 筋膜性の痛み
- 骨折の治癒促進
- 筋肉の損傷からの回復
などに対して使用されています。
微弱電流療法の安全性
治療を受ける上で気になるのが安全性ですよね。
研究によると、微弱電流療法は非常に安全性が高い治療法とされています。その理由は:
- 刺激が非常に弱い:筋肉の疲労や痛みを引き起こさない
- 非侵襲的:体に針を刺したり、切ったりする必要がない
- 副作用が少ない:多くの研究で重大な副作用は報告されていない
- 他の治療との併用が可能:アイシング、マッサージ、ストレッチなどと組み合わせて使える
ただし、すべての人に適しているわけではありません。ペースメーカーを使用している方や妊娠中の方は、治療を受ける前に必ず医療専門家に相談してください。
微弱電流療法を受けるときのポイント
もし微弱電流療法を試してみたいと思ったら、以下のポイントを覚えておいてください。
1. まずは相談してください
まずは、あなたの腰痛の原因をしっかり診断してもらうことが大切です。バレーボール選手の腰痛には、いくつかのタイプがあります:
- 筋筋膜性腰痛:筋肉や筋膜の問題
- 椎間板性腰痛:腰の骨と骨の間のクッション(椎間板)の問題
- 腰椎分離症:腰の骨の一部が疲労骨折している状態
- 椎間板ヘルニア:椎間板が飛び出して神経を圧迫している状態
それぞれの状態によって、最適な治療法が異なります。まずは整形外科医やスポーツドクターに診てもらい、あなたの腰痛の正確な診断を受けることをお勧めします。
2. 治療の頻度と期間
研究では、週1~2回の治療を数週間続けることで効果が見られたケースが多いです。ただし、個人差がありますので、担当する治療家と相談しながら、あなたに合った治療計画を立てることが大切です。
慢性的な痛みの場合、5年以上続いている人は、治療回数を増やす必要がある場合もあるようです。
3. 他の治療やケアとの組み合わせ
微弱電流療法は単独で使うよりも他の治療やケアと組み合わせることでより効果的かもしれません。
例えば:
- ストレッチ:特に股関節や背筋の柔軟性を高める
- 体幹トレーニング:腰を支える筋力を強化する
- 正しいフォームの習得:スパイク時の体の使い方を改善する
- 適切な休息:オーバートレーニングを避ける
これらを総合的に取り入れることで、痛みの改善だけでなく、再発予防にもつながります。
バレーボール選手が腰痛を予防するために

治療も大切ですが、そもそも腰痛にならないための予防はもっと大切です。
1. ウォームアップとクールダウンを丁寧に
練習や試合の前後に十分な時間をかけて体を準備し整えることが重要です。
特に腰周りの筋肉をしっかり温めてあげましょう。
2. 体幹の強化
腹筋や背筋、お尻の筋肉など体幹全体をバランス良く鍛えることで腰への負担を減らすことができます。
プランクやバランスボールを使ったトレーニングなどが効果的です。
3. 柔軟性の維持
研究によると、バレーボール選手で腰痛の既往がある人は、股関節の柔軟性が低下していることが分かっています。毎日のストレッチを習慣にしましょう。
4. スパイクフォームの見直し
腰を反らせすぎる「反り戻し」ではなく体を捻る「捻り戻し」でスパイクを打つことで腰への負担を減らせる可能性があります。
コーチに相談してフォームをチェックしてもらいましょう。
5. 痛みを我慢しない
「少しくらいの痛みなら…」と我慢して練習を続けると小さな問題が大きなケガに発展してしまうことがあります。
痛みを感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。
まとめ
バレーボール選手の腰痛に対して、微弱電流療法は有望な治療法の一つと言えそうです。
研究から分かったことをまとめると:
✓ 細胞レベルでのエネルギー生産を助ける可能性がある
✓ 慢性腰痛の痛みを軽減できる可能性が示されている
✓ 筋肉の回復を早める効果が期待できる
✓ 安全性が高く、副作用が少ない
✓ 他の治療法と組み合わせて使える
ただし、微弱電流療法は「魔法の治療」ではありません。
あくまでも総合的な治療計画の一部として考えることが大切です。
痛みの原因をしっかり判断し適切な治療を選択し同時に予防のための体作りを続けていくこと。
そのプロセスの中で、微弱電流療法があなたの助けになるかもしれません。
腰痛に悩んでいる方は、一人で悩まずまずはご気軽に相談してみてください。
そして自分に合った治療法を一緒に見つけてまた思い切りバレーボールをプレーする日を目指しましょう。
腰痛が改善されコートで最高のパフォーマンスが発揮できるよう杏鍼灸整骨院は応援します!
何かございましたらご気軽にご相談ください。
またテーピングや怪我に関して疑問がある方は気軽にご質問ください。
参考文献
- McMakin, C. (2004). Microcurrent therapy: A novel treatment method for chronic low back myofascial pain. Journal of Bodywork and Movement Therapies
- Ikumi, H., et al. (2021). Microcurrent Therapy as a Therapeutic Modality for Musculoskeletal Pain: A Systematic Review
- Cheng, N., et al. (1982). The effects of electric currents on ATP generation, protein synthesis, and membrane transport
- 藤井成徳ら (2004). 高校バレーボール部員の腰痛に関する研究
- 野田優希ら (2017). 性差によるバレーボールの傷害発生の特徴
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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