
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
お子さんが肘の痛みで「パンナー病」と診断された保護者の方、そして当事者の皆さんへ。
不安な気持ちでこの記事にたどり着かれたかもしれません。
今回はパンナー病の回復を助ける可能性がある「LIPUS(ライプス)」という治療法について、分かりやすくお伝えしたいと思います。
パンナー病ってどんな病気?

まず、パンナー病について簡単におさらいしましょう。
パンナー病は、肘関節の「上腕骨小頭(じょうわんこつしょうとう)」という部分に起こる病気です。上腕骨小頭とは、肘の外側にある骨の丸い部分のこと。ここは成長期のお子さんにとって、骨が伸びるためにとても大切な場所なんですね。
この病気は主に5歳から10歳くらいの男の子に多く見られます。
野球やハンドボール、体操など、肘をよく使うスポーツをしているお子さんが悪化しやすい傾向があるようです。
何が起こっているの?
パンナー病では、上腕骨小頭への血液の流れが一時的に悪くなっている状態と考えられています。
血液は骨に栄養を運ぶ大切な役割を持っていますから、血流が悪くなると、骨の細胞が元気をなくしてしまうんですね。
その結果、一時的に骨の成長が止まったり、骨がもろくなったりします。
ただし、ここで安心していただきたいのは、パンナー病は基本的に「自然に治っていく病気」だということです。多くの場合、適切な休息と治療で、半年から1年ほどで後遺症を残すことなく回復していきます。
どんな症状が出るの?
- 肘を動かすときの痛み(特にボールを投げるときなど)
- 肘のまわりの腫れ
- 肘を伸ばしたり曲げたりしにくくなる
- 安静にしていると痛みが楽になる
こういった症状が数週間から数ヶ月続くことがあります。
従来の治療法
これまで、パンナー病の治療は「自然治癒を待つ」ことが基本でした。
具体的には:
- スポーツを一時的にお休みする
- 肘に負担をかける動作を避ける
- 痛み止めのお薬を使う
- 装具で肘を固定して安静を保つ
これらの方法は今でも有効で、多くのお子さんがこうした保存的治療(手術をしない治療)で回復しています。
LIPUS(ライプス)とは何?

ここからが今日の本題です。
LIPUSとは「Low Intensity Pulsed Ultrasound(低出力パルス超音波)」の略で、日本語では「低出力超音波パルス治療」と呼ばれています。
超音波って何?
「超音波」と聞くと、お腹の赤ちゃんを見るエコー検査を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
LIPUSも同じ超音波を使いますが、目的が違います。エコー検査が「見る」ための超音波だとすると、LIPUSは「治す」ための超音波なんです。
超音波とは、人間の耳には聞こえない高い周波数の音波のこと。LIPUSは、とても弱い超音波を断続的に(パルス状に)皮膚の上から当てることで、体の中の骨や組織に優しい刺激を与える治療法です。
LIPUSはどうやって骨を治すの?
LIPUSの効果は、研究によってだんだん明らかになってきています。
超音波による微弱な振動が体の中に届くと、次のようなことが起こると考えられています:
- 骨を作る細胞(骨芽細胞)が元気になる 骨芽細胞という、骨を新しく作る細胞の働きが活発になるんですね。
- 骨の材料が増える コラーゲンという、骨の土台となるタンパク質がたくさん作られるようになります。
- 新しい血管ができる 骨に栄養を届ける血管が新しくできやすくなります。
- 軟骨の細胞も活性化する 軟骨を作る細胞も元気になって、関節の回復を助けます。
これらの働きによって、骨の修復が早まると考えられているんですね。
骨折治療でのLIPUSの実績

実は、LIPUSは骨折の治療ではすでに広く使われている治療法です。
日本では1998年から「難治性骨折(なかなか治らない骨折)」に対して保険適用され、2008年には手術後の新鮮骨折にも保険が使えるようになりました。
どれくらい効果があるの?
多くの研究報告によると、LIPUSを使った骨折治療では:
- 骨がくっつくまでの期間が約40%短くなったという報告があります
- 1日20分の照射を毎日続けることで、効果が得られやすいとされています
- ラットを使った実験では、骨の密度や強度が明らかに改善したというデータもあります
- 人間の手首の骨折でも、使わなかった場合と比べて治るまでの日数が減ったという研究結果が出ています
メジャーリーグの松井秀喜選手やサッカーのベッカム選手なども、この治療を受けて早期復帰を果たしたことで知られています。
パンナー病にLIPUSは効くの?

ここが気になるところですよね。正直にお伝えすると、パンナー病に対するLIPUSの効果を直接調べた大規模な研究は、まだ少ないのが現状です。
パンナー病はとても珍しい病気で、患者さんの数が少ないため、大きな研究が行われにくいという事情があります。
でも、期待できる理由があります
パンナー病は、骨への血流が悪くなって起こる「骨壊死」の一種です。そして、LIPUSには次のような効果が報告されています:
- 血管の再生を助ける 新しい血管ができやすくなるという研究があります。パンナー病で問題になっている「血流不足」を改善する可能性があるんですね。
- 骨芽細胞と軟骨細胞を活性化する 成長期のお子さんの骨の回復に必要な細胞が元気になります。
- 炎症を適切にコントロールする 痛みや腫れの原因となる炎症を調整する働きがあるといわれています。
- 組織の修復を促す 損傷を受けた組織全体の治りを早める効果が期待できます。
パンナー病は骨端症という骨の成長に関わる病気ですから、骨や軟骨の回復を助けるLIPUSの作用は、理論的には役立つ可能性があると考えられています。
LIPUSの使い方
LIPUSの治療は、とてもシンプルで安全です。
治療の流れ
- 肘の皮膚の上から、治療用のヘッド(プローブ)を当てます
- そのまま1日20分間、じっとしています
- これを毎日続けます
痛みも刺激もほとんど感じません。お子さんでも安心して受けられる治療です。
いつから始めるの?
LIPUSの良いところは、早い時期から使えることです。
骨折や捻挫の急性期(ケガをした直後の炎症が強い時期)でも使えることが分かっています。炎症を悪化させることなく、治癒を促す働きがあるんですね。
パンナー病も、診断がついたら早めに始めることで、より効果が期待できるかもしれません。
安全性について
LIPUSは体への負担がとても少ない治療法です。
- 痛みがない
- 副作用がほとんど報告されていない
- 年齢制限がない(小学生から大人まで使えます)
- 固定したままでも治療できる
LIPUSと他の治療を組み合わせる
LIPUSは「魔法の治療」ではありません。あくまでも、体が本来持っている治る力を助ける方法なんですね。
パンナー病の回復のためには:
- スポーツの休止と安静 これが一番大切です。肘に負担をかけ続けては、どんな治療も効果が出にくくなります。
- 適切な固定 必要に応じて装具などで肘を保護します。
- 段階的なリハビリ 痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の指導のもとで、徐々に動きを取り戻していきます。
- 定期的な経過観察 レントゲンやMRIで骨の回復状態を確認します。
LIPUSは、これらの基本的な治療に加えて行うことで、回復を早める助けになる可能性がある治療法と考えていただくとよいでしょう。
親御さんへのメッセージ
お子さんがパンナー病と診断されて、不安を感じていらっしゃる保護者の方も多いと思います。
でも、パンナー病は正しく治療すれば、ほとんどの場合、元通りに回復する病気です。焦らず、じっくりと向き合っていくことが大切なんですね。
LIPUSは、その回復を少しでも早める可能性がある治療法として、選択肢の一つに入れてもよいかもしれません。
ただし、何より大切なのは:
- 信頼できる医師としっかり相談すること
- 決められた安静期間を守ること
- お子さんの気持ちに寄り添うこと
です。
スポーツを休まなければならないことで、お子さん自身も辛い思いをしているかもしれません。「早く復帰したい」という気持ちと、「しっかり治さなければ」という気持ちの間で揺れることもあるでしょう。
そんなとき、周りの大人ができることは、正しい情報を持って、冷静に判断することです。そして、お子さんの頑張りを認めて、一緒に前向きに治療に取り組んでいくことではないでしょうか。
まとめ
パンナー病とLIPUSについて、大切なポイントをまとめます:
- パンナー病は自然に治る病気です。基本は安静と経過観察。
- LIPUSは骨の治りを助ける超音波治療です。骨折治療では効果が実証されています。
- パンナー病への直接的な研究はまだ少ないですが、理論的には効果が期待できる可能性があります。
- 安全性の高い治療法で、痛みや副作用がほとんどありません。
- 基本的な治療(安静など)と組み合わせることで、回復を早める助けになるかもしれません。
医学は日々進歩しています。パンナー病に対するLIPUSの効果についても、これから新しい研究結果が出てくるかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。
またテーピングや怪我に関して疑問がある方は気軽にご質問ください。
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投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
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院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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