オスグッド・シュラッター病と睡眠の関係|成長期のお子さんを持つ保護者の方へ

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こんにちは。福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。

今回は、成長期のお子さんに多く見られる「オスグッド・シュラッター病」と、意外に知られていない「睡眠」との関係についてお話ししたいと思います。

通称オスグッドと呼ばれるものですね。

長期化している人も残念ながら多いものです。ただ施術法や身体のケア、ストレッチなどは調べたり実践をしているケースは多いですが、睡眠をおろそかにしている場合も多くあります。

睡眠が短いと痛みが悪化する、治りが悪いなどの報告も出ています。この辺りを分かりやすくご紹介していきたいと思います。

目次

オスグッド・シュラッター病ってどんな病気?

まず、オスグッド・シュラッター病について簡単にご説明しますね。

この病気は、10歳から15歳くらいの成長期のお子さん、特にスポーツを頑張っている子に多く見られる膝の痛みです。膝のお皿(膝蓋骨)の下あたりが痛くなったり、腫れたり、ぽっこりと出っ張ってきたりすることがあります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。成長期には骨が急速に伸びていきますが、筋肉や腱の成長は骨ほど早くありません。そのため、太ももの前側にある大きな筋肉(大腿四頭筋)が膝の下の骨を引っ張る力が強くなってしまうんです。

走ったりジャンプしたり、しゃがんだりする動作を繰り返すと、この引っ張る力が何度も何度も加わります。すると、まだ柔らかい成長期の骨に負担がかかり、炎症を起こしてしまうというわけです。

もう少し詳しくいうとオスグッド・シュラッター病は、膝のお皿(膝蓋骨)からすねの骨(脛骨)に付着する膝蓋腱が、成長期の成長板(骨端核)に繰り返し負荷をかけることによって炎症を起こす成長期特有の過用性障害(traction apophysitis)です。

睡眠が成長期の体に与える影響

では、睡眠はどのような役割を果たしているのでしょうか。

実は、睡眠中には私たちの体でとても大切なことが起こっています。それは「成長ホルモン」の分泌です。

成長ホルモンは、その名の通り体を成長させるホルモンで、特に深い眠りについているとき(ノンレム睡眠ともいいます)にたくさん分泌されます。このホルモンには、いくつかの重要な働きがあると考えられています。

成長ホルモンの主な働き

骨や筋肉の成長を促す
成長期のお子さんの体を大きく、強くしていく働きがあります。骨を伸ばし、筋肉を発達させるためには欠かせないホルモンなんですね。

組織の修復を助ける
日中に受けた体のダメージを修復する働きもあると言われています。スポーツで使った筋肉や、負担がかかった関節などを回復させるのに役立っているんです。

炎症を抑える可能性
十分な睡眠をとることで、体の炎症反応が落ち着きやすくなる可能性があるとも言われています。

オスグッド・シュラッター病と睡眠の関係

ここからが本題です。オスグッド・シュラッター病と睡眠には、どのような関係があるのでしょうか。

睡眠不足が与える影響

睡眠が不足すると、いくつかの問題が起こる可能性があります。

組織の回復が遅れる
スポーツや日常生活で膝に負担がかかっても、十分な睡眠がとれていれば、夜の間に体が修復作業を行ってくれます。でも、睡眠時間が短かったり、質の良い睡眠がとれていなかったりすると、この修復作業が十分にできないかもしれません。

痛みを感じやすくなる
睡眠不足になると、痛みに対して敏感になることがあると言われています。同じ程度の膝の状態でも、よく眠れていないときの方が痛みを強く感じてしまうことがあるんです。

疼痛抑制系が弱まる(中枢性の要因)

夜間、とくに入眠前〜浅い睡眠では

  • 覚醒時に働いている
    下行性疼痛抑制系(脳→脊髄) が弱まる
  • セロトニン・ノルアドレナリン系の活動低下

日中なら気にならない刺激が「痛み」として知覚されやすくなる

これは「痛みが増えた」のではなく
痛みを抑えるブレーキが外れた状態です。

疲労が蓄積する
十分に休めないと、体の疲れがどんどん溜まっていきます。疲れた状態でスポーツを続けると、フォームが崩れたり、無理な動きをしてしまったりして、膝への負担がさらに増えてしまう可能性があります。

成長のバランスが崩れる
成長ホルモンがしっかり分泌されないと、骨と筋肉・腱のバランスの取れた成長が妨げられる可能性も考えられます。

質の良い睡眠が大切な理由

単に長く寝ればいいというわけではなく、「質の良い睡眠」をとることが大切だと言われています。

深い眠りにしっかり入ることで、成長ホルモンがより多く分泌されると考えられています。また、ぐっすり眠ることで心も体もリラックスし、筋肉の緊張もほぐれやすくなります。

睡眠の質が良いと、朝起きたときに「よく寝た!」というすっきりした感覚がありますよね。そういう状態が理想的です。

成長期のお子さんに必要な睡眠時間

では、どのくらい眠ればいいのでしょうか。

一般的に、10歳から13歳くらいのお子さんには9時間から11時間程度、14歳から17歳くらいのお子さんには8時間から10時間程度の睡眠が推奨されることが多いようです。

ただし、これはあくまで目安です。個人差がありますし、その日の活動量によっても必要な睡眠時間は変わってきます。大切なのは、お子さんが朝すっきり目覚められているか、日中に眠気を感じていないかなどを見てあげることかもしれません。

質の良い睡眠をとるためのヒント

オスグッド・シュラッター病のお子さんが、より良い睡眠をとるためのヒントをいくつかご紹介しますね。

生活リズムを整える

毎日できるだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにすると、体内時計が整いやすくなります。休日だからといって極端に遅く起きたりすると、リズムが崩れてしまうことがあります。

寝る前のルーティンを作る

お風呂に入る、軽いストレッチをする、本を読むなど、寝る前の習慣を作ると、体が「これから寝る時間だ」と認識しやすくなります。

寝る環境を整える

部屋を暗くする、静かにする、快適な温度に保つなど、眠りやすい環境を作ってあげましょう。寝る1時間くらい前から部屋の照明を少し暗めにするのも良いかもしれません。

寝る前のスマホやゲームを控える

スマートフォンやタブレット、パソコンなどの画面から出るブルーライトは、眠りを妨げる可能性があると言われています。できれば寝る1時間前くらいからは使用を控えるのが理想的です。

夕食は寝る2〜3時間前までに

寝る直前に食事をすると、消化活動のために体が休まらず、睡眠の質が下がることがあります。できるだけ早めに夕食を済ませるようにしましょう。

カフェインに注意

お茶やコーラなどに含まれるカフェインは、睡眠を妨げることがあります。特に夕方以降は控えめにした方が良いかもしれません。

適度な運動

日中に適度な運動をすることで、夜に自然と眠くなりやすくなります。ただし、オスグッド・シュラッター病の場合は、膝に負担をかけすぎないよう注意が必要です。

睡眠以外にも大切なこと

もちろん、オスグッド・シュラッター病の改善には、睡眠だけでなく他の要素も大切です。

スポーツの量を調整したり、練習前後のストレッチをしっかり行ったりセルフケアは大事なことです。

睡眠は、これらの取り組みと合わせて行うことで、より効果を発揮する可能性があります。体を回復させ、治癒を助ける基盤となるものだと考えていただければと思います。

痛みがあるときの睡眠の工夫

膝が痛くて眠りにくいというお子さんもいらっしゃるかもしれません。そんなときの工夫もいくつかご紹介します。

寝る姿勢

膝の下にクッションや枕を入れて、少し膝を曲げた状態で寝ると楽になることがあります。横向きで寝る場合は、両膝の間にクッションを挟むのも良いかもしれません。

寝る前のケア

医師から許可が出ていれば、寝る前に軽くストレッチをしたり、痛い部分を冷やしたりするのも効果的な場合があります。ただし、必ず医師に相談してから行ってくださいね。

まとめ

オスグッド・シュラッター病と睡眠の関係について書いてきました。

睡眠は、成長期のお子さんの体を作り、修復する上でとても大切な時間です。特にオスグッド・シュラッター病のように、体に負担がかかっている状態では、十分な睡眠をとることが回復への近道になる可能性があります。

ただし、睡眠だけで全てが解決するわけではありません。

適切な治療、運動量の調整、ストレッチなど、総合的なケアが必要です。

もし「最近、子どもがよく眠れていないようだ」「睡眠時間が足りていないかもしれない」と感じたら、生活リズムを見直してみてはいかがでしょうか。

お子さんの膝の痛みが少しでも早く良くなり、また元気にスポーツを楽しめるようにお役立てください。

最後までご覧いただきありがとうございます。

杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。

投稿者プロフィール

陣内由彦
陣内由彦柔道整復師、鍼灸師
院長  柔道整復師  鍼灸師

福岡医健専門学校卒業

株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。

陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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