
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
スポーツをやっている方にお聞きしたいのが、すねの痛みに悩まされていませんか?
特に陸上競技やバスケットボール、バレーボールなどをされている方の中には「脛骨疲労骨折」と診断されてどうすれば早く競技に復帰できるのか悩んでいる方も多いかもしれません。
今回は、脛骨疲労骨折の治療法として注目されている「LIPUS(ライプス)」という超音波を使った治療法について、研究結果をもとに分かりやすくご説明していきたいと思います。
脛骨疲労骨折とは?基本的な知識から

まず、脛骨疲労骨折について簡単におさらいしておきましょう。
脛骨というのは、すねにある太い骨のことです。
普通の骨折とは違って一度の大きな力で折れるのではなく走ったりジャンプしたりといった動作を繰り返すことで、少しずつ骨にダメージが蓄積して起こる骨折です。
金属に何度も力を加えると最終的に折れてしまうのと似ていると考えると分かりやすいかもしれません。
脛骨疲労骨折の種類

実は、脛骨疲労骨折には大きく分けて2つのタイプがあることが知られています。
疾走型(しっそうがた) 走ることが多い競技(陸上の長距離走、サッカーなど)で起こりやすく、すねの骨の上の方や下の方に発生しやすいタイプです。
こちらは比較的治りやすく、研究によると2〜3ヶ月程度の安静で回復することが期待できるとされています。
跳躍型(ちょうやくがた) バレーボールやバスケットボールのようにジャンプを繰り返すスポーツで起こりやすく、すねの骨の真ん中あたりに発生するタイプです。こちらは「難治性」と呼ばれていて、治るまでに半年以上かかることもあり、場合によっては手術が必要になることもあります。
治療期間が長くなってしまうと、学生アスリートの方なら大切な試合に出られなくなったり、社会人の方なら仕事への影響も心配になりますよね。そこで注目されているのが、今回ご紹介する「LIPUS」という治療法なんです。
LIPUSってどんな治療法?

LIPUS(ライプス)は、「Low Intensity Pulsed Ultra Sound」の略で、日本語では「低出力超音波パルス治療」と呼ばれています。
LIPUSの仕組み
簡単に言うと、骨折した部分に弱い超音波を断続的に当てることで、骨の再生を促す治療法です。超音波というと、エコー検査などで使われているものと同じ種類の音波ですが、人間の耳には聞こえない高い周波数の音です。
この超音波を1万分の2秒当てて、1万分の8秒休む、というサイクルを繰り返すことで、骨に優しい刺激を与えます。この刺激が骨を作る細胞(骨芽細胞といいます)を活性化させて、骨の修復を早めてくれる可能性があるんですね。
治療の実際
実際の治療では、骨折している部分の皮膚の上から機器を当てるだけです。痛みや違和感はほとんどないと言われていて、1日20分程度の照射を毎日続けることが推奨されています。ギプスで固定している状態でも治療ができるのも大きな特徴です。
研究結果から見るLIPUSの効果

では、実際にLIPUSは脛骨疲労骨折に効果があるのでしょうか?医学研究の結果を見てみましょう。
効果があったという研究結果
一般的な骨折に対しては、LIPUSを使用することで骨が癒合する(くっつく)までの期間を約40%短縮できたという臨床報告があります。例えば、通常4週間かかる骨折が、2〜3週間程度で治癒したというケースも報告されているんですね。
実際、2020年に発表された日本臨床スポーツ医学会の報告では、Uchiyamaらの研究として、跳躍型の脛骨骨幹部疲労骨折5例に対して1日20分のLIPUS照射を毎日行ったところ、従来の治療と比べて明らかに良い成績が得られたと紹介されています。具体的には、競技復帰まで平均3ヶ月、痛みの消失まで平均3.8ヶ月、骨癒合まで平均11ヶ月という結果が報告されています。
また、動物実験(ラットを使った研究)でも、LIPUSが骨癒合を促進する効果があったという報告があります。
LIPUSはどんな人に向いている?
研究結果を踏まえると、LIPUSは以下のような方に検討してみる価値があるかもしれません。
- 保存療法(手術をしない治療)で脛骨疲労骨折の治療を行っている方
- できるだけ早くスポーツに復帰したいと考えている学生アスリートの方
- 仕事への早期復帰を目指している社会人の方
- 跳躍型の疲労骨折で、治療に時間がかかりそうな方
- 骨癒合が遅れている方
ただし、すべての方に効果があるとは限らないことも理解しておく必要があります。
で、問い合わせてみるとよいでしょう。
LIPUSだけに頼らない総合的な治療が大切
ここまでLIPUSについてご説明してきましたが、大切なことがあります。それは、LIPUSだけに頼るのではなく、総合的な治療アプローチが重要だということです。
基本は「安静」
研究結果がどうであれ、脛骨疲労骨折の治療で最も大切なのは、やはり患部の安静です。痛みがあるのに無理をして練習を続けてしまうと、疲労骨折が進行して「難治性骨折」や「偽関節」という、より治りにくい状態になってしまう可能性があります。
疾走型の場合は2〜3ヶ月、跳躍型の場合は4ヶ月から1年以上の安静が必要になることもあります。医師の指示をしっかり守ることが、結果的には競技復帰への近道になります。
リハビリテーションの重要性
安静期間中も、患部以外の筋力トレーニングや、柔軟性を保つためのストレッチなどは継続することが推奨されています。特に以下の点が重要とされています。
- 骨折部の治療:適切な安静と固定
- 足関節の柔軟性の改善:硬くなった足首の柔軟性を取り戻す
- 有酸素トレーニング:全身の体力を維持する
- 筋力トレーニング:特に下腿の筋力を保つ
- 動作改善:疲労骨折の原因となった動作を見直す
栄養面のサポート
骨の修復には、適切な栄養も欠かせません。特に以下の栄養素が重要だとされています。
- カルシウム:骨の主成分
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
- タンパク質:骨の構造を作る
- ビタミンK:骨の形成を助ける
バランスの取れた食事を心がけることも、治療の一環として大切です。
再発を防ぐために
せっかく治っても、同じことを繰り返してしまっては意味がありません。再発を防ぐためには、以下のような点に注意が必要です。
段階的な競技復帰
痛みがなくなったからといって、すぐに元の練習に戻るのは危険です。まずは軽いジョギングから始めて、徐々に負荷を上げていくことが推奨されています。
練習環境の見直し
- 硬い地面でのランニングを避ける
- 適切なクッション性のある靴を使う
- 古くなった靴は定期的に交換する
- ウォーミングアップとクールダウンをしっかり行う
フォームのチェック
走り方やジャンプの仕方に問題がある場合、それが疲労骨折の原因になっていることもあります。理学療法士などの専門家に動作をチェックしてもらうことも検討してみてください。
体のケア
日頃から以下のようなケアを心がけましょう。
- ふくらはぎや太ももの筋肉のストレッチを十分に行う
- 練習後のアイシング(痛みがある部位を20分程度冷やす)
- 入浴でしっかり体を温めて、血行を良くする
- 十分な休養を取る
まとめ
脛骨疲労骨折へのLIPUS治療について、研究結果をもとにご説明してきました。ポイントをまとめると以下のようになります。
LIPUSについて
- 骨折部位に弱い超音波を当てて、骨の修復を促す治療法
- 痛みや違和感はほとんどなく、安全性が高い
- 1日20分程度の照射を毎日続けることが推奨される
効果について
- 一般的な骨折では、骨癒合期間を約40%短縮できたという報告がある
- 保存療法の場合に効果が見られやすい可能性がある
- 照射方法や個人差によって効果が変わる可能性がある
治療の基本
- LIPUSだけに頼らず、安静・リハビリ・栄養など総合的なアプローチが大切
- 医師の指示をしっかり守ることが最も重要
- 焦らず、段階的に競技復帰を目指すことが再発予防につながる
最も大切なのは担当の医師とよく相談して、自分の状態に合った治療法を選ぶことです。
LIPUSは選択肢の一つとして検討する価値があるかもしれませんが、決して「魔法の治療法」ではありません。
早く競技に復帰したい気持ちは十分に理解できますが、焦って無理をすると、かえって回復が遅れたり、再発のリスクが高まったりする可能性もあります。
今は辛い時期かもしれませんが、この期間を体と向き合う大切な時間だと考えて、じっくりと治療に取り組んでいただければと思います。
何か不安なことや分からないことがあればご気軽にご相談ください。
ご相談したいなという方はご気軽にお電話ください‼
【参考文献】
- 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.28 No.3, 2020
- 日本理学療法士協会「物理療法診療ガイドライン」
- 各種整形外科・スポーツ医学関連の臨床報告
※この記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。治療方針については必ず医師にご相談ください。
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
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院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数






