
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
皆さんは走っているときに、すねの内側がズキズキと痛む。朝起きた時に、違和感がある。そんな経験はありませんか?
それは「シンスプリント」という状態かもしれません。ランニングやバスケットボール、サッカーなどのスポーツをされる方によく見られる症状なんです。
今回は、研究データに基づきながら、シンスプリントのケア方法についてできるだけわかりやすくお伝えしていきますね。
シンスプリントってなに?

シンスプリントは、正式には「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」や「脛骨内側ストレス症候群」と呼ばれています。医療の世界では「MTSS(Medial Tibial Stress Syndrome)」という言葉でも知られているんですよ。
難しい言葉が並んでいますが、簡単に言うと「すねの骨を覆っている膜や周りの筋肉に、繰り返しストレスがかかって炎症が起きている状態」のことです。
どんな症状が出るの?
シンスプリントの特徴的な症状をご紹介しますね。
痛みの場所は、すねの骨(脛骨)の内側、特に足首から10センチくらい上のあたりです。指で押すと痛い場所が、ある程度の広さ(5センチ以上)にわたって続いているのが特徴なんです。
痛みのタイミングとしては、運動を始めた時に痛みを感じることが多いです。走り始めや、ジャンプの着地の瞬間などですね。不思議なことに、運動を続けていると痛みが少し和らぐこともあります。でも、症状が進むと運動中ずっと痛みが続くようになり、さらに悪化すると何もしていない時でも痛むようになってしまうんです。
研究によると、ランナーの20〜50%もの方がシンスプリントを経験するという報告もあるほど、よくある症状なんですよ。
なぜシンスプリントになるの?

シンスプリントの原因について、研究では様々なことがわかってきています。
主な原因は「使いすぎ」
一番の原因は、やはり「オーバーユース(使いすぎ)」だと考えられています。
走ったりジャンプしたりするとき、ふくらはぎの筋肉(ヒラメ筋や後脛骨筋など)がすねの骨に付いている部分を、繰り返し引っ張ることになります。この動作が何度も何度も繰り返されると、骨を覆っている膜(骨膜)にストレスがかかって、小さな傷や炎症が生じてしまうんですね。
特に春先、新学期が始まって急に練習量が増える時期に多く見られます。「陸上競技の五月病」なんて呼ばれることもあるくらいなんですよ。
なりやすい人の特徴
研究では、シンスプリントになりやすい条件についても報告されています。
足の形に関しては、偏平足(へんぺいそく)の方や、足首が内側に倒れやすい「回内足(かいないそく)」の方は注意が必要かもしれません。足のアーチが低下すると、地面からの衝撃をうまく吸収できなくなって、すねの筋肉や骨への負担が大きくなってしまうんです。
筋肉の状態も大切です。ふくらはぎの柔軟性が低下していたり、お尻や太ももの筋力が弱かったりすると、運動時の体の使い方がうまくいかず、すねに過度な負担がかかることがあります。
練習環境も影響します。コンクリートなどの硬い路面での練習や、クッション性の低いシューズの使用は、すねへの衝撃を強めてしまう可能性があるんですね。
医学の研究では、女性の方が男性よりもやや早い時期に発症しやすい傾向があることや、体重が多めの方も注意が必要だという報告もあります。
シンスプリントのケア方法

それでは、実際のケア方法について見ていきましょう。海外の研究論文でも様々な治療法が検討されていますが、残念ながら「これが絶対に効く」という確立された方法は、まだ見つかっていないのが現状なんです。
ただ、いくつかの有効な可能性のあるアプローチが報告されていますので、ご紹介していきますね。
1. まずは休息を取ること
シンスプリントのケアで最も基本となるのが「休息」です。
痛みを感じながら無理に運動を続けると、症状が悪化して、回復までの時間がさらに長くかかってしまうことがあります。場合によっては疲労骨折に進行してしまう可能性もあるんです。
研究では、運動量を調整したり、しばらく休んだりすることの重要性が指摘されています。ただ、完全に運動をやめるのではなく、痛みが出ない範囲での軽い運動や、すねに負担の少ない運動(水泳や自転車など)に切り替えることも一つの方法として考えられていますよ。
2. アイシング(冷却)
運動後のアイシングは、炎症を抑えるために役立つ可能性があります。
氷を袋に入れたものや、アイスパックを使って、痛みのある部分を15〜20分程度冷やすといいでしょう。ただし、直接肌に氷を当てると凍傷になる可能性があるので、必ずタオルなどで包んでくださいね。
研究では、氷マッサージ(氷を直接肌に当てて優しくマッサージする方法)も、ある程度の効果が期待できるかもしれないと報告されています。
ただ漫然とアイシングを行うと治りが悪くなるともいわれるので注意が必要です。
3. ストレッチで柔軟性を保つ
ふくらはぎの筋肉の柔軟性は、シンスプリントのケアにおいて大切だと考えられています。
特に、ヒラメ筋や腓腹筋(ひふくきん)、後脛骨筋などのストレッチを習慣にするといいでしょう。
ふくらはぎのストレッチ方法
- 壁に手をついて立ちます
- 片足を後ろに引いて、かかとを床につけたままキープします
- 後ろ足の膝を伸ばした状態で、前に体重をかけていきます
- ふくらはぎの筋肉が伸びているのを感じたら、その姿勢を20〜30秒保ちます
- 反対の足も同じように行います
運動前後だけでなく、お風呂上がりなど体が温まっているときに行うと、より効果的かもしれませんね。
4. 段階的な運動プログラム
海外の研究では、「段階的に運動量を増やしていくプログラム」が検討されています。
これは、痛みが落ち着いてきたら、いきなり元の練習量に戻すのではなく、少しずつ少しずつ運動量を増やしていく方法です。ある研究では、このアプローチで平均100日程度で運動に復帰できたという報告もあります。
焦る気持ちはわかりますが、回復には時間がかかることが多いので、気長に取り組んでいただきたいと思います。
5. インソール(足底板)の使用
研究では、足のアーチをサポートするインソールの使用が、シンスプリントの予防や症状の軽減に役立つ可能性が示されています。
特に偏平足の方や、足のアーチが低下している方にとっては、効果的な選択肢の一つかもしれません。インソールによって足のアライメント(並び方)が改善されることで、すねへの負担を減らせる可能性があるんです。
市販のものもありますが、できれば専門家に相談して、自分の足に合ったものを選んでいただくのがおすすめです。
6. シューズの見直し
シューズ選びも大切なポイントです。
靴底がすり減っていたり、クッション性が低下していたりするシューズを使い続けると、すねへの衝撃が強くなってしまいます。定期的にシューズの状態をチェックして、適切なタイミングで新しいものに替えることを心がけてくださいね。
衝撃吸収性に優れたランニングシューズを選ぶことも、予防や回復に役立つ可能性があります。
7. 筋力トレーニング
研究では、すねの筋肉だけでなく、体幹やお尻、太ももの筋力を強化することの重要性も指摘されています。
体全体のバランスが整うことで、運動時の体の使い方が改善され、すねへの負担を減らせる可能性があるんですね。特に、お尻の筋肉(臀筋)の強化は、走るときのフォームを安定させるのに役立つかもしれません。
8. その他の治療法
医学研究では、様々な治療法が検討されています。
**体外衝撃波治療(ESWT)**という方法は、いくつかの研究で一定の効果が報告されています。これは、体の外から衝撃波を当てて、組織の修復を促す治療法なんです。
また、超音波治療や電気治療などの物理療法も、炎症を抑えるのに役立つ可能性があると考えられています。
日常生活でできる予防のポイント

シンスプリントは、一度良くなっても再発しやすいことが知られています。ですから、予防を意識することがとても大切なんです。
1. 練習量は段階的に増やす
急激な運動量の増加は、シンスプリントの大きな原因の一つです。
運動量を増やす場合は、「1週間で10%以上増やさない」というのが一つの目安とされています。新しいスポーツを始めるときや、シーズンの始まりには特に注意してくださいね。
2. 練習環境を工夫する
可能であれば、硬いコンクリートの上ではなく、土や芝生、ゴムのトラックなど、柔らかい路面で練習することをおすすめします。
どうしても硬い路面で練習する必要がある場合は、クッション性の高いシューズを選んだり、練習時間を調整したりするといいでしょう。
3. 日々のセルフケアを習慣に
運動後のストレッチやアイシング、マッサージなどを習慣にすることで、筋肉の疲労を早めに取り除き、柔軟性を保つことができます。
お風呂でゆっくり体を温めることも、血行を良くして回復を促すのに役立つかもしれませんね。
4. バランスの取れた食事
骨や筋肉の健康には、栄養も大切です。
カルシウムやビタミンD、タンパク質をしっかり摂ることを心がけてください。特に女性の方や、体重制限をしている方は、栄養不足にならないよう注意が必要かもしれません。
いつ医療機関を受診すべき?
シンスプリントの多くは、適切なケアで改善していく可能性があります。
ただし、次のような場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
- 安静にしていても痛みが続く
- 痛みがどんどん強くなってきている
- すねの特定の一点を押すと激しく痛む(疲労骨折の可能性)
- 2〜3週間セルフケアを続けても改善が見られない
- すねが腫れてきたり、熱を持ったりしている
回復までの時間
「いつ治るの?」というのは、皆さんが一番気になるところですよね。
研究によると、シンスプリントの回復までの期間は個人差が大きく、数週間で良くなる方もいれば、数ヶ月かかる方もいます。症状が重い場合や、適切なケアができていない場合は、半年以上かかることもあるんです。
焦って無理に運動を再開すると、かえって回復が遅れてしまうこともあります。自分の体と向き合いながら、じっくりとケアを続けていただきたいと思います。
最後に
シンスプリントは、スポーツをする方にとって、とても身近な悩みです。痛みを感じていると、思うように体を動かせず、つらい気持ちになることもあるかもしれません。
でも、適切なケアと時間をかけることで、多くの場合、改善していく可能性があります。
大切なのは、痛みを我慢して無理をしないこと。そして、焦らずに段階的に運動を再開していくことです。
この記事でご紹介した内容が、少しでも皆さんの回復のお役に立てれば嬉しいです。
ただし、医学研究は日々進歩していますし、一人ひとりの体の状態は違います。この記事の情報を参考にしながらも、気になることがあれば、ぜひ医療機関で専門家に相談してくださいね。
参考文献について この記事は、シンスプリント(MTSS)に関する複数の医学研究や系統的レビューを参考にして作成しています。特に、Sports Medicine誌やBritish Journal of Sports Medicine誌などに掲載された研究報告を基にしています。ただし、シンスプリントの治療法については、まだ質の高いエビデンスが十分に揃っていない状況です。今後の研究の進展によって、より効果的な治療法が見つかっていくことが期待されています。
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
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院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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