
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
みなさん次のような症状はありませんか?頭が締め付けられるような痛み、重だるい感じ、首や肩のこりと一緒に起こる頭痛。
このような症状でお困りではありませんか?
これらは「筋緊張性頭痛(緊張型頭痛)」と呼ばれるもので、実は日本人の約3人に1人が経験しているといわれています。
頭痛薬を飲んでも一時的にしか良くならなかったり薬を飲み続けることに不安を感じたりしている方も多いのではないでしょうか。
そんな方に知っていただきたいのが鍼灸治療、特に「鍼通電療法(はりつうでんりょうほう)」という治療方法です。
この記事では研究論文で報告されている鍼灸治療の効果についてできるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
ちなみにこの記事を執筆している私は茨木県立医療大学の石山すみれ先生が研究代表をしているPfizer医学教育プロジェクトで頭痛の専門医の方や鍼灸師向けに鍼灸実技などをさせて頂いております。

筋緊張性頭痛ってどんな頭痛?

まず筋緊張性頭痛について簡単にご説明しましょう。
この頭痛は頭全体が締め付けられるような痛みが特徴です。
「ヘルメットをかぶっているような」「頭に輪っかをはめられているような」と表現される方もいらっしゃいます。片頭痛のようにズキンズキンと脈打つ痛みではなくじわーっとした重苦しい痛みが続くことが多いです。
主な原因は首や肩、頭の筋肉が緊張して硬くなってしまうことだと考えられています。
デスクワークやスマートフォンの使用で同じ姿勢を続けたりストレスを感じたりすると知らず知らずのうちに筋肉が緊張してしまうのです。
筋肉が緊張するとその部分の血の流れが悪くなります。
すると筋肉に酸素や栄養が十分に届かなくなり筋緊張が強くなってしまいます。
この状態が頭痛を引き起こすと考えられているんですね。
鍼灸治療が頭痛に効くって本当?

「鍼灸って本当に効くの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも実は、2021年に発表された日本の「頭痛の診療ガイドライン2021」という医療の専門書でも鍼灸治療が筋緊張性頭痛に効果的な治療法の一つとして紹介されているんです。
研究で分かった鍼灸治療の効果
いくつかの研究結果をご紹介しましょう。
Cochrane(コクラン)レビューという信頼性の高い研究報告では緊張型頭痛の患者さん約2,300名を対象とした12件の研究をまとめて分析しています。
その結果鍼治療を受けたグループでは受けなかったグループと比べて頭痛の頻度が半分以下になった方の割合が大幅に高かったことが分かりました。
具体的には通常の治療だけを受けたグループでは約17~19%の方しか頭痛が半減しなかったのに対し鍼治療を加えたグループでは約45~48%の方で頭痛が半減したそうです。
つまり、鍼治療を受けた方のおよそ半数が、頭痛の回数を半分以下に減らすことができたということですね。
また、日本の研究でも緊張型頭痛の患者さん221名を対象にした調査で鍼治療によって症状が5割以上改善する効果が確認されています。
特に、頭痛の頻度がまだそれほど多くない段階(頻発反復性緊張型頭痛の方は時間がかかる傾向)の方ではより早く効果が現れる傾向があったそうです。
鍼通電療法って何?普通の鍼とどう違うの?
ここからは鍼灸治療の中でも特に効果が期待できる「鍼通電療法」についてお話しします。
鍼通電療法の仕組み
鍼通電療法は、「パルス療法」や「低周波鍼通電療法」とも呼ばれます。
体に刺した鍼に電極をつなげて、ごく弱い電気を流す治療法です。
「電気を流すなんて怖い!」と思われるかもしれませんがご安心ください。
使うのはとても弱い電気です。
感覚としては、「トントントン」とリズミカルに軽くたたかれているような心地よい刺激を感じる程度です。
実際に治療を受けた方からは、「痛いというよりむしろマッサージを受けているみたい」「気持ちいい」というお声をいただくことが多いんですよ。寝ちゃう人もいるぐらいです。
なぜ電気を流すの?どんな効果があるの?
電気を流すことで普通の鍼だけでは得られない、いくつかの良い効果が生まれます。
1. 深いところの筋肉までしっかりほぐれる
手でのマッサージでは届きにくい体の深い部分にある筋肉にまで刺激が届きます。
筋緊張性頭痛の原因となる首の深層筋(しんそうきん:体の奥にある筋肉)にもアプローチできるのが大きな特徴です。
2. 血の流れが良くなる
電気の刺激で筋肉がリズミカルに収縮したり緩んだりを繰り返します。
これを「筋ポンプ作用」と呼びます。筋肉がポンプのように動くことで、血液やリンパ液の流れが促進され、溜まっていた疲労物質が流れていきます。そして新鮮な酸素や栄養が筋肉に届くようになるんですね。
3. 痛みを感じにくくする仕組みが働く
電気刺激によって、体の中にもともとある「痛みを抑える仕組み」が活性化されることが分かっています。具体的には、エンドルフィンなどの痛みを和らげる物質が体内で分泌されやすくなるといわれています。
4. 自律神経のバランスが整う
ストレスなどで乱れがちな自律神経のバランスを整える効果も期待できます。リラックスを促す副交感神経の働きが高まり、心も体もリラックスした状態になりやすくなります。
実際の治療はどんなふうに行うの?

具体的な治療の流れをご説明しましょう。
初診時の流れ
まず初めて治療院を訪れたときは、このような流れで進みます。
- 問診(もんしん):頭痛がいつから始まったか、どんなときに痛むか、どんな痛み方をするか、他にどんな症状があるかなど、詳しくお話を伺います。これまでの治療歴やお薬の使用状況なども確認します。
- 身体の状態チェック:首や肩の筋肉の硬さ、押すと痛む場所(圧痛点)、姿勢の状態などを確認します。舌の状態や脈の状態を見ることもあります。これは東洋医学独特の診察方法です。
- 治療の実施:実際に鍼を刺し、必要に応じて電気を流します。
- 治療方針の説明:お体の状態を踏まえて、どのような治療を行うか、どのくらいの期間・頻度で通うことが望ましいかなどをご説明します。
- 治療後の確認:治療後の体の変化を確認し、今後の予定や自宅でできるセルフケアについてアドバイスします。
治療のポイント
筋緊張性頭痛の鍼灸治療では、頭だけでなく、首や肩の筋肉も重点的に治療することが多いです。研究によると、頭痛には後頸部(首の後ろ側)や肩甲骨の上部、肩甲骨の間の筋肉の緊張が深く関わっていることが分かっています。
興味深いことに、研究では「頭部の筋肉よりも、後頸部や肩甲上部、肩甲間部の筋肉の過緊張が重要な役割を果たしている」ことが明らかになっています。
つまり、頭が痛くても、原因は首や肩にあることが多いということですね。
よく使われるツボとしては、以下のようなものがあります

- 風池(ふうち):首の後ろ、髪の生え際あたりにあるツボ。頭痛や首のこりに効果的とされています
- 天柱(てんちゅう):首の後ろ、太い筋肉の外側にあるツボ。目の疲れや頭重感にも良いとされます
- 肩井(けんせい):肩の上にあるツボ。肩こりの代表的なツボです
- 太衝(たいしょう):足の甲にあるツボ。ストレスの緩和や全身のバランスを整える作用があるとされます
- 後頭下筋群(こうとうかきんぐん):頭の付け根にある細かい筋肉。ここが硬くなると後頭神経を圧迫して頭痛を起こすことがあります
これらのツボに鍼を刺してそこに電気を流していきます。
鍼通電療法では、特に硬くなった筋肉の中心部分、押すと一番痛みを感じる場所(トリガーポイント)に鍼を刺すことが多いです。
電気の設定
鍼通電療法では症状に合わせて電気の周波数(リズム)を変えることができます。これは、周波数によって体に与える影響が変わるためです。
周波数の種類と効果
鍼通電療法は、大きく分けて3つのタイプがあります:
- 低頻度Hz(1〜10Hz):筋肉パルス
- 筋肉の緊張をほぐすのに適しています
- 筋緊張性頭痛には主にこの周波数が使われます
- ゆっくりとしたリズムで筋肉が収縮と弛緩を繰り返します
- 血流改善効果も期待できます
- 中頻度Hz(30〜60Hz)
- 腱の炎症や筋肉の疲労回復に使われることが多いです
- 筋肉が強く収縮します
- 高頻度Hz(80〜100Hz)
- 関節の痛みや腫れに対して使われます
- 筋肉の収縮は起こりませんが、局所的な鎮痛効果があります
筋緊張性頭痛に対しては、通常2Hz(1ヘルツ)という、ゆっくりとしたリズムの電気を15分程度流すことが多いです。この周波数は筋肉の緊張を和らげるのに適していると考えられています。
例えば、天柱(首の後ろのツボ)と肩井(肩のツボ)の間に電気を流したり、頸椎(首の骨)の横と肩甲骨周りの筋肉の間に流したりします。
電気の強さは、患者さんが「痛い」と感じない程度で、でもしっかりと筋肉が動く程度に調整します。
感覚としては、「トントントン」とリズミカルに筋肉が動く感じです。「気持ちいい」と感じる程度が理想的とされています。
個人差がありますので、治療中も「今の強さはいかがですか?」とお声がけしながらその方に合った強さに調整していきます。「もう少し強くても大丈夫」「少し弱めてほしい」など遠慮なくお伝えください。
ただ症状によって筋収縮を出さない方がいいこともありますのでお身体に合わせて変えていきます。
治療の回数と期間
効果を実感していただくにはある程度継続的に治療を受けていただくことが大切です。
研究では、最初の4週間は週に2回、その後の4週間は週に1回のペースで、合計8週間(計12回)治療を行ったところ、多くの方で効果が見られたと報告されています。
ただし、これはあくまで一例です。
頭痛の頻度が少ない段階の方はもっと早く効果が現れることもありますし慢性化している方は少し時間がかかることもあります。
杏鍼灸整骨院では週に1回から始めて頂くのが多いです。基本的にその状況で症状の変化をみて考えていきたいと思っています。
なぜ鍼灸治療が頭痛に効くのか?そのメカニズム

ここでもう少し詳しく鍼灸治療がなぜ頭痛に効くのかをご説明しましょう。
科学的な研究で明らかになってきたことをご紹介します。
筋肉の緊張が和らぐ
ある研究では筋電図(筋肉の活動を測定する検査)を使って調べたところ鍼治療を続けることで後頸部や肩甲上部の筋肉の過度な緊張が和らいでいくことが確認されています。
そしてその結果頭痛の症状も改善していったそうです。
興味深いことに頭痛と筋肉の関係についての研究では以下のようなことが分かっています:
筋肉の緊張と頭痛の悪循環
- ストレスや姿勢の悪さで筋肉が緊張する
- 緊張した筋肉が血管や神経を圧迫する
- 血流が悪くなり、痛みを感じる物質(発痛物質)が溜まる
- 痛みがさらに筋肉を緊張させる
- さらに血流が悪くなる…という悪循環
鍼通電療法はこの悪循環を断ち切る働きがあると考えられています。
電気刺激によって筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことでポンプのように血液を押し出し新鮮な血液を筋肉に送り込みます。
血管と神経への効果

筋肉が硬くなるとその中を通る血管が圧迫されます。
特に、首の筋肉の硬さは頭へ向かう血管を圧迫することで「筋緊張性頭痛」を引き起こすと考えられています。
鍼治療には次のような効果があります:
- 血管の圧迫を解除する:硬くなった筋肉をほぐすことで、圧迫されていた血管が広がり、血流が改善します
- 後頭神経の圧迫を解除する:頭の付け根にある「下頭斜筋(かとうしゃきん)」という筋肉が硬くなると、大後頭神経や小後頭神経を圧迫して頭痛(後頭神経痛)を引き起こすことがあります。鍼治療でこの筋肉の緊張を和らげることで、神経への圧迫が軽減されます
脳の血の流れが改善する
最新の研究ではMRI(磁気共鳴画像装置)を使った調査も行われています。
ASL-MRIという特殊な撮影方法を使うと、造影剤を使わずに脳の血流を測定できるそうです。
片頭痛の患者さんに鍼治療を行ったところ視床(ししょう:脳の中で痛みを感じる部分)や視床下部(ししょうかぶ:自律神経を調整する部分)、島(とう:感覚を処理する部分)などの血流が増加することが分かりました。
また治療を続けることで左右の脳の血流のバランスも改善し健康な方と同じようなパターンに近づいていったそうです。これは非常に興味深い発見ですね。
痛みを抑える体の仕組みが働く
鍼通電療法の効果は1970年代の「鍼麻酔(はりますい)」の研究から始まりました。
中国で鍼に電気を流すことで、手術の痛みを抑えることができるという報告があり、世界中で研究が進められたのです。
その研究から、以下のことが分かってきました。
内因性オピオイドの分泌
体の中には、もともと痛みを抑える物質(エンドルフィンなど)が存在します。鍼通電療法は、この物質の分泌を促すことが明らかになっています。つまり、体が自分で痛みを抑える仕組みを活性化させるのです。
痛覚閾値の上昇
痛みを感じる基準(閾値:いきち)が高くなることも報告されています。簡単に言えば、少しの刺激では痛みを感じにくくなるということです。
体全体のバランスが整う
鍼灸治療の特徴は単に症状が出ている部分だけを治療するのではなく体全体のバランスを整えることにあります。
研究報告では、「鍼治療は高位中枢(脳の高次機能を司る部分)を介して、生体の恒常性(体のバランスを保つ働き)に寄与する」とされています。つまり、鍼治療によって体が本来持っている「バランスを取り戻す力」が引き出されるということですね。
自律神経の調整
鍼通電療法は自律神経(体の働きを自動的に調整する神経)のバランスを整える効果があることも分かっています。
- 交感神経(緊張・興奮の神経)が過剰に働いているとき → 副交感神経(リラックスの神経)を活性化
- 副交感神経が低下しているとき → バランスを整える
筋緊張性頭痛の方は頭痛だけでなく、手足の冷えや消化器の不調、自律神経の乱れなど、他の不調も抱えていることが多いです。
鍼灸治療では、こうした複数の不調にも同時にアプローチできる可能性があります。
免疫機能への影響
最近の研究では鍼通電療法が免疫機能にも影響を与える可能性が示されています。適切な刺激を与えることで、免疫機能を高める効果が期待できるそうです。
特に、手や足のツボ(合谷穴-孔最穴、足三里穴-三陰交穴など)に電気刺激を与えることで、全身の痛覚閾値の上昇や免疫機能の向上が見られたという報告もあります。
鍼通電療法の具体的な効果

実際に鍼灸治療、特に鍼通電療法を受けた方はどのような効果を感じているのでしょうか。研究データと合わせてご紹介します。
研究で示された具体的な効果
片頭痛に関する研究結果
日本の医療機関で行われた研究では神経内科などから紹介された難治性の片頭痛患者さん70名を対象に、鍼治療の効果を調べました。
その結果、2か月間の鍼治療で
- 中等度以上の頭痛日数が平均6.42日から1.84日に減少(約70%減少)
- 1か月後の時点でも3.17日に減少
- 首や肩の筋肉の圧痛(押すと痛む場所)も改善
- 圧痛の改善と頭痛の減少には相関関係がある
つまり、首や肩の筋肉がほぐれるにつれて、頭痛も良くなっていったということですね。
緊張型頭痛の大規模研究
Cochrane(コクラン)という国際的な医学研究の評価機関が行った大規模なレビューでは、2,349名の参加者を対象とした12件の研究を分析しました。
その結果:
- 鍼治療を受けたグループでは、48%の方が頭痛の頻度を半分以下に減らすことができた
- 通常の治療だけのグループでは、17〜19%の方のみが半分以下に
- つまり、鍼治療を加えることで、効果が約2.5〜11倍に
この差は統計的にも非常に有意(意味のある差)であることが確認されています。
治療効果が現れやすい人、現れにくい人
研究によると、以下のような傾向があることが分かっています。
効果が現れやすい傾向
- 頭痛の頻度がまだそれほど多くない段階(月に8〜14日程度)の方
- 発症してからの期間が比較的短い方
- 薬物乱用頭痛(薬の使いすぎによる頭痛)になっていない方
- 治療に対して前向きな気持ちで臨める方
- 生活習慣の改善にも取り組める方
時間がかかる可能性がある場合
- 慢性化して毎日のように頭痛がある方(慢性緊張型頭痛)
- 長年にわたって頭痛に悩まされている方
- 強いストレスや心理的な要因が大きく関与している方
ただし、時間がかかる場合でも、継続することで改善する可能性は十分にあります。実際の研究でも、慢性の方でも効果が見られることが報告されています。
他の治療法との比較
研究では、鍼灸治療と他の治療法を比較した調査も行われています。
薬物療法との併用効果
鍼灸治療の良いところは、薬物療法と併用できることです。研究では:
- 薬だけの治療より、鍼治療を加えた方が効果が高い
- 鍼治療を続けることで、薬の使用量を減らせる可能性がある
- 薬の副作用に悩んでいる方にも選択肢となる
理学療法やマッサージとの比較
鍼灸治療と、理学療法(リハビリ)やマッサージ、運動療法などを比較した研究もあります。それぞれに長所があり、一概にどれが優れているとは言えませんが、鍼治療の特徴としては:
- より深部の筋肉にアプローチできる
- ツボへの刺激により全身的な効果が得られる
- 1回の治療時間が比較的短くて済む
- 効果の持続期間が長い傾向がある
どのくらいの期間で効果を実感できる?
個人差はありますが、研究データから以下のような目安が示されています:
短期的な効果(治療開始から2〜4週間)
- 頭痛の強さが和らぐ
- 頭痛の持続時間が短くなる
- 首や肩のこりが楽になる
中期的な効果(治療開始から4〜8週間)
- 頭痛の頻度が減少する
- 頭痛薬の使用量が減る
- 全体的な生活の質が向上する
長期的な効果(治療開始から3か月以降)
- 頭痛が起こりにくい体質になる
- ストレスに対する耐性が高まる
- 自律神経のバランスが安定する
研究では、治療終了後も効果が持続することが報告されています。つまり、治療期間中に体質改善が図られ、その後も良い状態が保たれやすいということです。
どんな人に鍼灸治療がおすすめ?

鍼灸治療、特に鍼通電療法が向いているのは、次のような方です。
こんな方におすすめです
- 薬だけではなかなか症状が改善しない方
- 薬を頻繁に飲むことに抵抗がある方
- 薬を減らしたいと考えている方
- 首や肩のこりも同時に抱えている方
- ストレスを感じることが多い方
- 自律神経の乱れも気になる方
- できるだけ体に負担の少ない方法で治療したい方
ただし、こんな場合は注意が必要です
以下の方は、鍼通電療法を受けられない場合があります。事前に必ず医師や鍼灸師にご相談ください。
- ペースメーカーなど医療機器を使用している方
- 妊娠中の方(時期や状態によります)
- 体内に金属(人工関節など)が入っている方
- 心臓疾患のある方
- てんかんの既往がある方
また、鍼治療に強い恐怖心がある方や、感染症のリスクが高い方なども、治療を受ける前に相談が必要です。
東洋医学的な視点:頭痛のタイプと体質

鍼灸治療では西洋医学的なアプローチに加えて東洋医学独特の考え方も取り入れることがあります。
東洋医学では、頭痛を痛む場所や体質によっていくつかのタイプに分類します。
頭痛のタイプ別分類
太陽経頭痛(たいようけいずつう)
- 後頭部が痛むタイプ
- 首や背中、腰の筋肉の緊張が関係していることが多い
- 姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢が原因となりやすい
- 治療では、腰や背中も含めて広い範囲を治療する
少陽経頭痛(しょうようけいずつう)
- こめかみや側頭部が痛むタイプ
- 目の疲れ(眼精疲労)が関係していることが多い
- パソコン作業や細かい作業をする方に多い
- 目の周りの筋肉や後頭下筋群(目の動きと連動する筋肉)の治療が効果的
陽明経頭痛(ようめいけいずつう)
- 前頭部(おでこ)が痛むタイプ
- 胃腸の不調と関係していることが多い
- ストレスや食生活の乱れが原因となりやすい
- 胃腸の調子を整える治療も併せて行う
厥陰経頭痛(けついんけいずつう)
- 頭頂部が痛むタイプ
- ストレスや精神的な疲労が関係していることが多い
- リラックスを促す治療が中心となる
体質に合わせた治療
東洋医学では、同じ頭痛でも、その人の体質によって治療法を変えることがあります。
気血の不足タイプ
- 疲れやすい、顔色が悪い
- 立ちくらみがある
- 治療:体力を補う、血を増やす
気の滞りタイプ
- ストレスが多い
- イライラしやすい
- 治療:気の流れを整える、リラックスを促す
冷えタイプ
- 手足が冷たい
- 温めると楽になる
- 治療:体を温める、血行を促進する
熱タイプ
- のぼせやすい
- 冷やすと楽になる
- 治療:熱を冷ます、上った気を下げる
このように、東洋医学的な診察も行うことで、その方に最適な治療を見つけることができます。西洋医学と東洋医学、両方の良いところを組み合わせられるのが、鍼灸治療の大きな特徴です。
治療を受けるときの心構えと注意点

効果の現れ方には個人差があります
研究では多くの方に効果が見られたと報告されていますがすべての方に同じように効果が現れるわけではありません。
症状の程度や期間、体質などによって、効果の現れ方や必要な治療回数は異なります。
早い方では数回の治療で改善を実感される方もいますし数か月かかる方もいらっしゃいます。
焦らず、根気よく続けることが大切です。
治療後の過ごし方
治療後は一時的にだるさを感じたり、眠気が出たりすることがあります。
治療後は無理をせず、以下のことに気を付けてお過ごしください。
- 激しい運動は控える
- 十分な水分を取る
- アルコールは控えめに
- ゆっくり休息を取る
生活習慣の改善も大切
鍼灸治療と並行して日常生活でも頭痛の原因となる要素を減らしていくことが大切です。
治療院での治療だけでなく、ご自身での取り組みも症状改善の鍵となります。
姿勢の改善
現代人の頭痛の多くは、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による姿勢の悪化が関係しています。
- デスクワークの合間に30分〜1時間ごとに立ち上がって軽くストレッチをする
- パソコンの画面は目線と同じ高さか、やや下になるように調整する
- 椅子に深く腰掛け、背もたれを使って背筋を伸ばす
- スマートフォンを見るときは、下を向きすぎないよう意識する(首への負担が大きいため)
- 枕の高さを見直す(高すぎても低すぎても首に負担がかかります)
ストレス対策
ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、頭痛の大きな原因となります。
- 深呼吸やリラクゼーション法を取り入れる(腹式呼吸を1日数回行うだけでも効果的です)
- 趣味やリラックスできる時間を意識的に作る
- 適度な運動(ウォーキングなど)でストレスを発散する
- 睡眠時間を十分に確保する(7〜8時間が理想的)
- お風呂にゆっくり浸かって体を温める
食生活の見直し
栄養バランスの偏りも頭痛に影響することがあります。
- 規則正しい時間に食事を取る(食事を抜くと頭痛が起こりやすくなることがあります)
- カフェインの取りすぎに注意する(適量は良いですが、過剰摂取や急な中断は頭痛を引き起こすことがあります)
- 水分を十分に取る(脱水も頭痛の原因になります)
- ビタミンB群やマグネシウムを意識的に摂取する(神経や筋肉の働きをサポートします)
セルフケアの方法
杏鍼灸整骨院ではセルフケアなどもお伝えしています。
例えば:
- ツボ押し(風池や肩井などを優しく押す)
- 首や肩の簡単なストレッチ
- 温めるとよい場所、冷やすとよい場所
- 呼吸法やリラクゼーション法
このようなセルフケアを日常的に行うことで、治療効果をより長く維持しやすくなります。ぜひ相談してみてください。
頭痛日記をつけることもおすすめ
いつ、どんなときに頭痛が起こるかを記録することで、ご自身の頭痛のパターンが見えてきます。これは治療方針を立てる上でも非常に役立つ情報となります。
- 頭痛が起こった日時
- 頭痛の強さ(10段階評価など)
- どんな状況だったか(仕事中、休日、天気など)
- 食べたもの、睡眠時間
- 頭痛薬を飲んだかどうか
このような記録を治療院に持参すると、より的確な治療につながります。
アプリなども活用しましょう♪

Q&A:よくあるご質問

Q1:鍼は痛くないですか?
A:鍼灸で使う鍼は注射針よりもずっと細く髪の毛くらいの太さです。
そのため、刺すときの痛みはほとんど感じないか、あってもチクッとする程度です。
電気を流している間も、「痛い」というよりは「トントンとマッサージされているような心地よい刺激」と感じる方が多いです。もし痛みを感じたら、すぐに伝えてください。
刺激の強さは調整できますので、ご安心ください。
Q2:どのくらいで効果が出ますか?
A:個人差がありますが、研究では8週間(週2回を4週間、その後週1回を4週間)継続することで、多くの方に効果が見られたと報告されています。
ただし、頭痛の頻度がまだ多くない方ではもっと早く効果を実感できることもあります。
まずは数回治療を受けてみて、ご自身の体の変化を感じていただくことをおすすめします。
Q3:頭痛薬と併用しても大丈夫ですか?
A:基本的には併用可能です。
実際、研究でも鍼治療と通常の治療(頭痛薬など)を組み合わせることで、より良い効果が得られることが示されています。
ただし、服用しているお薬がある場合は伝えてください。
また、鍼灸治療を続けることで、将来的には薬の量を減らせる可能性もありますが鍼灸師は服用の指示は出来かねますのでかかりつけ医の指示に従ってください。
Q4:副作用はありますか?
A:鍼灸治療は、薬物療法に比べて副作用のリスクが非常に低いとされています。
ただし、治療後に一時的にだるさや眠気、治療部位の軽い痛みを感じることがあります。これらは多くの場合、1〜2日で自然に治まります。万が一、気になる症状が続く場合は、治療院に相談してください。重篤な副作用の発生率は1%未満という調査結果もあり、安全性の高い治療法と言えます。
Q5:どのくらいの頻度で通えばいいですか?
A:初期段階では週1〜2回の治療が効果的とされています。症状が改善してきたら、徐々に間隔を空けていくことが一般的です。ご自身のライフスタイルや症状の程度に合わせて、相談しながら考えていきましょう。
Q6:保険は使えますか?
A:医師の同意書があれば、健康保険が適用される場合があります。ただ杏鍼灸整骨院では現在受け付けておりません。
Q7:片頭痛にも効きますか?
A:この記事では主に筋緊張性頭痛について説明しましたが、研究によると片頭痛に対しても鍼灸治療の効果が報告されています。「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、片頭痛の予防療法として鍼治療が推奨されています。ただし、片頭痛と筋緊張性頭痛では治療のアプローチが異なる場合もありますので、専門家に相談することをおすすめします。
Q8:電気を流さない普通の鍼ではダメですか?
A:普通の鍼治療でも十分に効果は期待できます。
ただし、鍼通電療法は、より深い部分の筋肉にアプローチしやすく、血流改善や鎮痛効果がより強く得られる可能性があるといわれています。症状の程度や患者さんの希望に応じて治療法を選択していきましょう。
まとめ
ここまで、筋緊張性頭痛に対する鍼灸治療特に鍼通電療法の効果についてお伝えしてきました。
重要なポイントをまとめると:
- 筋緊張性頭痛は日本人の約3人に1人が経験する一般的な頭痛
- 「頭痛の診療ガイドライン2021」でも鍼灸治療が推奨されている
- 研究では、鍼治療を受けた方の約半数が頭痛の頻度を半分以下に減らせたと報告されている
- 鍼通電療法は、筋肉の緊張緩和、血流改善、痛みの軽減、自律神経の調整など多方面から効果が期待できる
- 低周波の電気刺激(通常2Hz、15分程度)により、深部の筋肉にもアプローチできる
- 副作用のリスクが低く、薬物療法が合わない方にも選択肢となりうる
- 継続的な治療(週1〜2回、8週間程度)が効果的
つらい頭痛を「仕方ない」とあきらめて、痛み止めを飲み続けている方も多いかもしれません。
でも薬だけに頼らない治療法もあるということを知っていただきたいのです。
鍼灸治療は2000年以上の歴史を持つ伝統医療であると同時に、現代の科学的な研究でも効果が確認されている治療法です。体に本来備わっている「治る力」を引き出すことで症状を改善に導いていきます。
もちろん、すべての方に必ず効果があるとは言い切れません。
でも、多くの方が実際に症状の改善を実感されています。
頭痛のない、すっきりとした毎日を取り戻すために鍼灸治療という選択肢を一度検討してみてはいかがでしょうか?
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
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【参考文献】
- 頭痛の診療ガイドライン作成委員会「頭痛の診療ガイドライン2021」医学書院, 2021
- Linde K, et al. “Acupuncture for the prevention of tension-type headache.” Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016
- 菊池友和ほか「頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状」全日本鍼灸学会雑誌, 2014
- 日本医事新報「頭痛治療において鍼灸の活用は有効か?」2021
- 厚生労働科学研究費補助金「統合医療に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究事業」報告書
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数






