
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
練習中や練習後に足の甲が痛くなったことはありませんか?ひょっとしたらそれは『中足骨疲労骨折』かもしれません。
特に第三中足骨(足の中指につながる骨)は、剣道選手に疲労骨折が起こりやすい場所として知られています。
「ぶつけた覚えもないのに、なぜか足が痛い…」「レントゲンでは異常なしと言われたけど、痛みが続く…」そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は剣道で起こりやすい中足骨の疲労骨折について、そして最新の治療法である「LIPUS(ライプス)」と「3DMENS(スリーディーメンス)」という2つの治療法が、どのように骨の回復をサポートしてくれるのかをわかりやすく実際ご来院された方を例にあげご説明していきたいと思います。
中足骨疲労についてはこちらもお読みください!

剣道と中足骨疲労骨折の関係

なぜ剣道で足の骨が折れやすいの?
剣道では踏み込みや素早い足さばきを繰り返し行います。
そのたびに足の骨には大きな力が加わっているんです。
特に足の甲にある5本の中足骨のうち第2中足骨と第3中足骨は繰り返される衝撃によって疲労が蓄積しやすい部位とされています。
実は中足骨の疲労骨折は「行軍骨折」とも呼ばれていて長時間歩いたり走ったりすることで起こることが知られています。
剣道、陸上競技、バスケットボール、バレーボールなど、足に繰り返し負担がかかるスポーツで多く見られる傾向があります。
疲労骨折ってどんなもの?
通常の骨折は転んだりぶつけたりといった一度の強い衝撃で起こります。
でも、疲労骨折はちょっと違います。小さな力が何度も何度も同じ場所に加わることで、少しずつ骨が傷んでいき、最終的に骨折に至ってしまうのです。
日本臨床スポーツ医学会の報告によると下肢(足)の疲労骨折の中でも中足骨は脛骨(すねの骨)に次いで多く発症する部位とされています。
こんな症状があったら要注意
- 足の甲に慢性的な痛みがある
- 押すと痛い場所がある
- 腫れている
- ぶつけたり捻ったりした記憶がないのに痛みが続く
- 練習後に痛みが強くなる
これらの症状がある場合は疲労骨折の可能性があるかもしれません。早めに医療機関を受診されることをおすすめします。
診断の難しさ
疲労骨折の診断で注意したいのは初期段階ではレントゲンに写らないことが多いという点です。
骨折が起こってから2週間以上経過するとレントゲンでも変化が見られるようになることがありますが初期の段階ではMRI検査や超音波検査が必要になることもあります。
「レントゲンで異常なしと言われたけど、やっぱり痛い」という場合は遠慮せずに相談してみてください。
従来の治療法とその課題
一般的な治療期間
疲労骨折の基本的な治療は「安静」です。骨折が生じた部位に負担をかけないことが何よりも大切になります。一般的には、1.5〜2ヶ月程度のスポーツ活動の中止が必要とされています。
部活動や試合を控えている選手にとって2ヶ月間も練習を休むというのはとても長く感じられるかもしれません。
チームメイトと一緒に練習できない期間が長引くほど精神的にもつらくなってしまいますよね。
アスリートが抱える悩み
日本臨床スポーツ医学会の論文では「競技中止による安静期間をいかに短縮できるかどうかということが求められることが多く医療現場で忸怩たる思いをすることも少なくなかった」と記されています。
特に若い選手の場合、同級生やチームメイトと一緒にプレーできる時間は限られています。
大会や試合のタイミングによっては、長期間の離脱が選手生活に大きな影響を与えてしまうこともあるのです。
杏鍼灸整骨院での施術
実際におこなっている施術の一部をご紹介します。
この方は剣道をしている高校一年生で当院に来院される二週間前程から痛みを感じてきたそうです。
だんだん痛みが強くなってきたそうで稽古の途中からはうまく足運びが出来なくなるそうでした。
限局性の痛みがあったのと介達痛があったので整形外科を紹介したところ疲労骨折との診断でした。
その後経過を整形外科で診てもらいながら当院ではLIPUSや3DMENSといった特殊な微弱電流をおこないながら回復を早くするように施術をしていきました。
ここからはLIPUSや3DMENSについてご紹介します。
LIPUS(低出力超音波パルス)治療とは?

最近、骨折治療で注目されているのがより積極的な保存治療として「患部」へ直接アプローチできるLIPUS(Low Intensity Pulsed Ultrasound:低出力超音波パルス)という治療法です。
LIPUSってどんな治療?
LIPUSは体の表面に置いた治療ヘッドから断続的な超音波(パルス波)を骨折部位に照射する治療法です。
この超音波が骨折部を機械的に刺激することで骨の癒合(くっつくこと)を早めてくれる効果が期待できます。
どうして骨が早く治るの?
LIPUSの作用メカニズムについて、研究で明らかになっていることをご紹介します。少し専門的な内容になりますが、できるだけわかりやすくお伝えしますね。
- 超音波が細胞を刺激 低出力超音波パルスの波動が「ナノモーション」という非常に小さな動きを引き起こし骨折部の細胞に物理的な刺激が伝わります。
- 細胞が信号をキャッチ 細胞膜の表面にある「インテグリン」という受容体がこの刺激を感知してその情報を細胞の中に伝えます。
- 骨をつくる物質が増える 細胞内での信号伝達の結果、「COX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)」という酵素が働いて、骨形成に重要な「PGE2」という物質が作られます。
- 骨が活発につくられる このPGE2が色々な経路を通じて骨の代謝を活性化することで、骨折が治っていくというわけです。
また、LIPUSには以下のような効果も報告されています。
- 骨芽細胞(骨をつくる細胞)の活性化
- コラーゲン(骨の基本となるタンパク質)の生成促進
- 新しい血管ができるのを助ける
- 炎症反応を適切に調節して骨癒合をスムーズにする
効果はどのくらい?
臨床研究では治癒期間が約30〜40%短縮されたという報告があります。
つまり通常であれば50日かかる骨癒合がLIPUSを使用することで30〜35日程度に短縮できる可能性があるということです。
明石医療センターの報告によると「骨癒合期間を約40%も短縮させる事ができるということが臨床的に実証されました」とされておりその効果の高さから平成20年4月より保険適用されるようになりました。
どうやって治療するの?
治療自体はとてもシンプルです。
- 1日20分間、治療器を骨折部位にあてるだけ
- 痛みや違和感を感じることはほとんどありません
- 電気のピリピリした刺激もありません
- 固定(ギプスなど)をしながらでも使用できます
- 年齢制限はなく、小学生から大人まで幅広く使用できます
整骨院で骨折の施術をおこなう場合医師の同意が必要です。
骨折が疑われる場合は医師への紹介状を杏鍼灸整骨院ではお書きしますのでご相談ください。
効果を最大限に引き出すために
日本臨床スポーツ医学会の論文では、LIPUSの効果を得るために「ターゲティング(照射位置の正確性)」が重要だと指摘されています。
骨以外への効果も
最近の研究では、LIPUSが骨だけでなく、関節軟骨、椎間板、腱、靭帯の修復にも効果があることが報告されています。変形性膝関節症の炎症や痛みへの対応にも有効とされており、幅広い応用が期待されています。
3DMENS(スリーディーメンス)治療とは?
LIPUSと合わせて知っておきたいのが「3DMENS」という治療法です。これは「マイクロカレント療法」とも呼ばれる治療法の一種です。
3DMENSってどんな治療?
3DMENSは、「微弱電流刺激療法」という電気治療の一つです。「3D」は三次元的に電流を流すことを意味し、「MENS」はMicro Electric Neuro Stimulation(微弱電流神経刺激)の略です。
体にもともとある電気を利用

私たちの体には実は「生体電流」という微弱な電流がもともと流れています。
そしてケガをしたときには「損傷電流」という弱い電流が流れて傷ついた組織を修復しようとする仕組みが備わっているんです。
3DMENSはこの損傷電流と同じくらいの微弱な電流を人工的に流すことで傷ついた組織の修復を早める治療法なのです。
電気なのにピリピリしない?
「電気治療」と聞くと、ピリピリした刺激を想像される方もいらっしゃるかもしれません。でも、3DMENSで使用する電流は「マイクロアンペア(μA)」という単位の極めて弱い電流です。
一般的な低周波治療で使われる電流の単位が「アンペア(A)」であるのに対し、マイクロカレントは1Aのわずか100万分の1程度の強さしかありません。そのため触ってもほとんど刺激を感じないのです。
どんな効果があるの?
3DMENSには以下のような効果が期待できます。
- 組織の修復促進
- 細胞のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の産生が何倍にも増える
- 細胞が活性化される
- 損傷部の治癒が促進される
- 炎症の抑制
- 腫れや炎症を抑える効果
- 痛みの緩和
- 疼痛を和らげる効果
LIPUSとの違いは?
LIPUSが「超音波」を使って骨の形成を促進するのに対し、3DMENSは「微弱電流」を使って細胞レベルでの修復を促します。
また低周波治療は炎症を起こして熱を持っている部位には使えませんが3DMENSはほとんど刺激がないためケガをした直後の急性期でも使用できるという利点があります。
こんな症状に効果的
3DMENSは以下のような症状に効果が期待できます。
- 骨折
- 捻挫
- 打撲
- 肉離れ
- 腱鞘炎
- ぎっくり腰
- 寝違え
治療の進め方
3DMENSの治療も、LIPUSと同様にシンプルです。
- 治療部位に電極を貼る
- 10〜20分程度の照射
- 痛みや強い刺激はほとんど感じない
- 炎症がある急性期でも使用可能
- LIPUSと3DMENSの併用効果
疲労骨折の予防も大切

治療と同じくらい大切なのが疲労骨折を予防することです。
予防のポイント
- 練習量の調整
- 急激に練習量を増やさない
- 適切な休息を取り入れる
- 体の疲労のサインに注意を払う
- 栄養管理
- カルシウムやビタミンDなど骨の健康に必要な栄養をしっかり摂る
- バランスの取れた食事を心がける
- フォームの見直し
- 足への負担が少ない踏み込み方を身につける
- 指導者からのアドバイスを受ける
- 適切なシューズ選び
- クッション性のある適切なシューズを使用する
- 消耗したシューズは早めに交換する
- 体のケア
- 足のストレッチを習慣にする
- 筋疲労を放置しない
- 違和感を感じたら早めに休息を取る
順天堂大学医院の報告では高校生や大学生のサッカー選手を対象に予防啓発活動を行った結果、疲労骨折の発生を減らすことができたとされています。
予防の取り組みは確実に効果があるのです。
早期発見・早期治療が何より大切

「痛み」は体からの大切なメッセージ
「これくらいなら大丈夫」と思って無理を続けてしまうと疲労骨折が悪化してしまうことがあります。痛みは体からの「休んでほしい」というメッセージです。そのサインを見逃さないでください。
診断が遅れると…
診断が遅れると、当然治療も遅れます。そうすると、スポーツ復帰までに長期間を要することになり選手にとっては大きな問題となってしまいます。
早めに医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが早期復帰への一番の近道なのです。
よくある質問

Q: LIPUSや3DMENSは保険適用されますか?
A: まず骨折について整骨院で保険適応になるためには医師の同意が必要になります。
その後ご来院ください。
Q: 治療はどのくらいの期間続けるのですか?
A: 骨折の程度や個人の回復状況によって異なりますが一般的にはLIPUSの場合骨癒合が確認できるまで(通常4〜8週間程度)継続します。
定期的にレントゲンや診察を受けながら回復状況に応じて治療計画を調整していきます。
Q: 痛みはありますか?
A: LIPUSも3DMENSも、治療中の痛みはほとんどありません。LIPUSは超音波を当てるだけですし、3DMENSも微弱な電流なのでピリピリとした刺激もほとんど感じません。安心して治療を受けていただけます。
Q: 部活の練習は完全に休まないといけませんか?
A: 骨折部位に負担をかけない範囲であれば、できる練習もあるかもしれません。
例えば足を使わない上半身のトレーニングなどです。ただし、どの程度の活動が可能かはご相談ください。
まとめ
剣道で起こりやすい第三中足骨の疲労骨折について実例とともにLIPUSと3DMENSという2つの最新治療法についてご紹介してきました。
ポイントのおさらい
- 剣道では繰り返しの衝撃で中足骨に疲労骨折が起こりやすい
- 初期段階ではレントゲンに写らないことも多い
- 従来の治療では1.5〜2ヶ月のスポーツ活動中止が必要
- LIPUSは超音波で骨の形成を促進し、治癒期間を約30〜40%短縮できる可能性がある
- 3DMENSは微弱電流で細胞レベルの修復を促し、炎症の抑制や痛みの緩和が期待できる
- 2つの治療法を併用することで、より高い効果が期待できる
- 予防のためには練習量の調整、栄養管理、適切なケアが大切
- 早期発見・早期治療が早期復帰への近道
最後に
足の痛みを我慢しながら練習を続けるのは、とてもつらいことだと思います。でも、適切な診断と治療を受けることで多くの場合また剣道を楽しめるようになります。
最新の治療法であるLIPUSや3DMENSは科学的な研究に基づいて開発された骨や組織の回復をサポートしてくれる心強い味方です。
「足が痛いな」と感じたらまずはご気軽にご相談ください。
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramやYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。
ご予約はこちらからどうぞ!
【参考文献・情報源】
- 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.28 No.3, 2020「下肢の疲労骨折に対する低出力超音波パルスの効果」
- 骨折治療に関する臨床研究報告
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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