親指の突き指(MP関節捻挫)に微弱電流|福岡県筑紫野市二日市

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こんにちは。福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。

指の付け根の関節医学的にはMP関節と呼ばれる部分の捻挫はスポーツや日常生活の中でよく起こるケガです。

特に親指のMP関節は、ボールを受け止めたり、転んだときに手をついたりすることで、思わぬ方向に曲がってしまい、靭帯を痛めてしまうことがあります。

最近、このようなケガの回復を早める方法として「微弱電流療法(マイクロカレント)」という治療法が注目されています。

今回はこの治療法について研究論文のデータをもとに、できるだけわかりやすくお伝えしていきますね。

目次

MP関節捻挫ってどんなケガ?

まず、MP関節について簡単にご説明します。

MP関節とは、手の甲側から見て、指の付け根にある関節のことです。正式には「中手指節関節(ちゅうしゅしせつかんせつ)」といいますが、英語の頭文字をとってMP関節(MP:metacarpo phalangeal)と呼ばれています。

この関節には、横方向に関節がぐらつかないように支える「側副靭帯(そくふくじんたい)」という組織があります。

指が無理な方向に曲がると、この靭帯が傷ついてしまうのです。

主な症状

MP関節を捻挫すると、次のような症状が現れることがあります。

  • 関節の部分が腫れて、熱を持つ
  • 動かすと痛い
  • 押すと痛みがある
  • 物をつまんだり、ペットボトルのふたを開けたりするときに痛む
  • 力が入りにくい
  • 指がぐらぐらして不安定な感じがする

特に親指のMP関節の捻挫は、スキーのストックを握った状態で転んだときに多く起こるため、「スキーヤー母指(スキーヤーズサム)」とも呼ばれています。そのはかバレーボールやバスケットボールなど、他のスポーツでも起こりやすいケガです。

当院に受診される方はバレーボールでブロックをした際に怪我することが多いです。

微弱電流療法(マイクロカレント)とは?

さて、ここからが本題です。微弱電流療法とはどのような治療法なのでしょうか。

私たちの体にはもともと「生体電流」というとても弱い電気が流れています。これは、細胞が活動するために欠かせないものです。

特にケガをしたときには「損傷電流」と呼ばれる電流が流れて傷ついた組織を修復しようと働きます。

微弱電流療法は、この体の中を流れる電流とほぼ同じレベルの、非常に弱い電流を外から流す治療法です。

電流の強さは、マイクロアンペア(μA)という単位で表されます。

これは、一般的な低周波治療器の100万分の1程度の強さしかありません。

普通の電気治療との違い

「電気治療」と聞くとピリピリとした刺激を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。

でも、微弱電流療法は違います。

一般的な低周波治療器は筋肉を強制的に動かして血流を良くすることで痛みやコリをやわらげます。

そのためどうしてもピリピリとした刺激を感じます。

炎症を起こして熱を持っている部分には使えないことも多いのです。

一方、微弱電流は刺激がほとんど感じられないほど弱い電流です。

そのため、ケガをした直後の炎症がある時期でも使うことができます。

電気の刺激が苦手な方や小さなお子さんでも安心して受けられる治療法といえるでしょう。

研究論文が示す微弱電流の効果

では、実際に微弱電流療法には、どのような効果が期待できるのでしょうか。いくつかの研究データをご紹介しますね。

捻挫への効果を示す研究

聖マリアンナ医科大学のスポーツ医学講座では、約10年にわたって微弱電流の効果について研究を重ねてきました。

その成果は2019年にNHKの「クローズアップ現代」でも紹介されたほどです。

研究チームは、足首の靭帯損傷(捻挫)を対象とした研究で、興味深い結果を報告しています。

ケガをしてから72時間以内の患者さんに、微弱電流を20分間使用したところ、足の腫れが明らかに減少したというのです。

また、膝の靭帯を傷めた患者さんに、1日5時間以上の微弱電流治療を行った研究では、早い段階から痛みがやわらぎ、膝の機能評価も改善したと報告されています。

治療期間の短縮効果

従来の治療法では2〜3ヶ月かかっていた肉離れが、微弱電流療法を取り入れることで1〜2ヶ月で回復したという報告もあります。これは長く当てるほど効果が期待できるという特徴があるためです。

もちろん、個人差はありますが、多くのケースで治療期間の短縮が見られているようです。

なぜ効果があるのか?メカニズムの解明

聖マリアンナ医科大学の研究では、動物実験を通じて、微弱電流が組織の修復を助けるメカニズムも明らかにされています。

微弱電流を使うことで、筋肉が再生するときに活躍する「筋衛星細胞」という細胞が増えることがわかりました。さらに、筋肉を作るタンパク質の量も増え、筋肉の繊維も太くなったそうです。

また、細胞が活動するために必要なエネルギー「ATP」の生成を助ける働きもあると考えられています。ケガをして炎症が起こると、このATPが十分に作られなくなり、回復が遅れてしまいます。微弱電流は、このエネルギー不足を補う形で働くため、組織の修復が早まると考えられているのです。

MP関節捻挫への応用

ここまで、微弱電流の効果について研究データをもとにお伝えしてきました。では、MP関節捻挫に対しては、どのように役立つのでしょうか。

急性期から使える安心感

MP関節を捻挫した直後は、関節が腫れて熱を持ち、強い痛みがあります。

従来の電気治療は、炎症がある急性期には使いにくいのですが、微弱電流は違います。刺激がほとんどないため、ケガをした直後から使うことができるのです。

実際に、スポーツの現場では、2007年のアメリカンフットボール・ワールドカップで、試合中に捻挫をした選手に微弱電流を使ったところ、痛みが早く回復したという報告があります。

腫れを早く引かせる効果

MP関節捻挫で困るのは、腫れがなかなか引かないことです。腫れが長引くと、関節が固まってしまい、指が動かしにくくなることもあります。

前述の研究では、足首の捻挫で腫れが明らかに減少したことが示されています。MP関節も同じように靭帯の損傷ですから、同様の効果が期待できると考えられます。

痛みの軽減と機能回復

膝の靭帯損傷の研究では、早い段階から痛みがやわらぎ、関節の機能が改善したことが報告されています。

MP関節捻挫でも、物をつまむ動作や握る動作ができるようになることが、生活の質を大きく左右します。微弱電流によって痛みが早く引けば、日常生活への復帰も早まる可能性があります。

治療を受ける際のポイント

微弱電流療法に興味を持たれた方へ、いくつかのポイントをお伝えします。

専門家の指導を受けましょう

微弱電流の機器は家庭用のものも市販されています。

しかし、まずは整形外科や整骨院などを受診して、専門家の診断と指導を受けることをおすすめします。

なぜなら、MP関節捻挫の中には、靭帯が完全に切れてしまっていたり、骨折を伴っていたりするケースもあるからです。レントゲンやMRIなどの検査で、ケガの程度をしっかり確認することが大切です。

特に、断裂した靭帯が反転して引っかかってしまう「ステナー損傷」という状態では、手術が必要になることもあります。自己判断せずまずは医療機関を受診しましょう。

他の治療法との併用

微弱電流療法は、単独で使うこともできますが、他の治療法と組み合わせることで、より良い効果が期待できることもあります。

例えば、固定やテーピングで関節を安定させながら、微弱電流で組織の修復を促すといった使い方です。また、痛みが落ち着いてきたら、リハビリとして関節を動かす練習も必要になります。

あんずちゃんでは時期に合わせた物理療法や運動療法も加えていきます。

継続が大切

研究データでは、1日に1回20分〜数時間、継続して使用することで効果が見られています。1回だけでは、目に見える効果は感じにくいかもしれません。

当院は貸出機器もございますので早く治したい方はご相談ください。

微弱電流療法の限界と注意点

良いことばかりをお伝えしてきましたが、注意点もあります。

あくまで回復をサポートする治療法

微弱電流療法は、組織の修復を早めることが期待できる治療法ですが、魔法のように一瞬で治るわけではありません。あくまで、体が本来持っている治癒力をサポートする治療法です。

基本的な治療、つまり適切な固定や安静、リハビリテーションなども併せて行うことが大切です。

メカニズムはまだ研究途上

微弱電流が効果を発揮するメカニズムについては、少しずつ解明されてきていますが、まだ完全にはわかっていない部分もあります。

今後、さらに研究が進めば、より効果的な使い方が見つかるかもしれません。現時点では、多くの臨床経験と研究データに基づいて、効果が期待できる治療法として位置づけられています。

すべての人に効果があるわけではない

どんな治療法にも言えることですが、すべての人に同じように効果があるわけではありません。ケガの程度や個人の体質によって、効果の現れ方は異なります。

スポーツ選手も使っている治療法

微弱電流療法は、プロスポーツの世界でも広く使われています。

2002年のワールドカップで、イングランド代表のベッカム選手が骨折から短期間で復帰したときに使用したことで有名になりました。その後、多くのトップアスリートが、ケガの治療だけでなく、日頃のコンディショニングにも活用しています。

サッカーチームのトレーナーさんの話では、「ケガをしていなくても、疲労がたまりやすい部分に使っている」とのこと。早期回復だけでなく、予防的なケアにも役立つのですね。

まとめ

長くなりましたので、ポイントをまとめますね。

MP関節捻挫は指の付け根の靭帯を傷めるケガで腫れや痛み、握る力の低下などの症状が現れます。

微弱電流療法は体の中を流れる電流とほぼ同じレベルの弱い電流を使う治療法です。

刺激がほとんどないためケガの直後から安心して使うことができます。

研究データでは、靭帯損傷に対して次のような効果が報告されています。

  • 腫れを早く引かせる効果
  • 痛みを和らげる効果
  • 組織の修復を促進する効果
  • 治療期間を短縮できる可能性

MP関節捻挫に対しても同様の効果が期待できると考えられますがまずは専門家の診断を受けることが大切です。

微弱電流療法はあくまで回復をサポートする治療法であり適切な固定やリハビリと併用することでより良い結果が期待できます。

指のケガは日常生活に大きく影響します「たかが捻挫」と思わず早めに適切な治療を受けてしっかり治していきましょう。

この記事が、MP関節捻挫でお困りの方の参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございます。杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。

ご相談したいなという方はご気軽にお電話ください‼


参考文献

  • 聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座「スポーツにおける微弱電流刺激療法」
  • 廣重ら「足関節外側靭帯損傷急性期の腫脹に対するマイクロカレント刺激の効果」
  • 宮﨑ら「微弱電流刺激(MENS)の臨床的効果」
  • 横山ら「マイクロカレントによる損傷骨格筋再生促進メカニズムの検討」

この記事は医学的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

投稿者プロフィール

陣内由彦
陣内由彦柔道整復師、鍼灸師
院長  柔道整復師  鍼灸師

福岡医健専門学校卒業

株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。

陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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