
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
足首を捻ってしまった経験は、多くの方がお持ちではないでしょうか。
スポーツ中はもちろん、日常生活の中でも起こりやすい足首の捻挫。痛みや腫れで日常生活に支障をきたすこともあり、できるだけ早く回復したいと願うのは当然のことですね。
そんな中、近年注目を集めているのが「微弱電流療法(マイクロカレント療法)」という治療法です。
プロスポーツ選手も取り入れているこの治療法について、今回は論文や研究データをもとに、わかりやすくご紹介していきます。
足首の捻挫とは

足首の捻挫は、足首の靭帯(じんたい)が傷ついてしまう怪我のことです。靭帯というのは、骨と骨をつなぐ強い組織で、足首が過度に動きすぎないように支えてくれています。
階段を踏み外したり、不安定な場所で足をひねったりすると、この靭帯が引き伸ばされたり、部分的に切れたりしてしまいます。すると、痛みや腫れ、内出血などの症状が現れるのです。
捻挫後に適切な治療を行わないと、「慢性足関節不安定症」という状態になることもあり、歩行時に突然足首の力が抜けてしまうような症状が出ることもあります。
そのため、初期の適切な治療がとても大切なのです。
微弱電流療法とは何か

微弱電流療法(マイクロカレント療法)は、その名の通り、非常に弱い電流を使った治療法です。
一般的な電気治療というと、ピリピリとした刺激を感じることが多いですよね。
しかし、微弱電流療法で使用される電流は、μA(マイクロアンペア)という単位の極めて弱い電流で、低周波治療などに用いられる電流の100万分の1程度の強さしかなく、電気をながしていても刺激を感じません。
電気の刺激が苦手な方でも、安心して受けられる治療法と言えるでしょう。
私たちの体に流れる「生体電流」
実は、私たちの体には元々「生体電流」という微弱な電流が流れています。これは細胞が活動するために必要な、自然な電気の流れなのです。
怪我をしたとき、体には「損傷電流」という弱い電流が流れ、傷ついた組織を修復する働きがあります。微弱電流療法は、この自然な治癒の仕組みを応用した治療法なのです。
科学的に証明された微弱電流の効果

それでは、微弱電流療法が実際に足首の捻挫にどのような効果をもたらすのか、研究データをもとに見ていきましょう。
ATP産生の促進:細胞のエネルギーを増やす
細胞が活動するためには「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質が必要です。怪我の治癒にも、このエネルギーがたくさん必要になります。
研究によると、500μAの微弱電流を流すことで、ATP産生が約500%増加することが示されています。つまり、細胞が活動するためのエネルギーが約5倍にも増えるということです。
これは1982年にNgok Chengらによって発表された研究で、医療分野で広く引用されている重要な知見です。
興味深いことに、電流が500μAを超えて1000μA(1ミリアンペア)以上になると、ATP産生はむしろ減少してしまうことも分かっています。つまり、弱い電流だからこそ効果的なのです。
腫れ(浮腫)の軽減効果
捻挫をすると、多くの場合、患部が腫れてしまいますね。この腫れを早く引かせることは、痛みの軽減と回復の促進に重要です。
廣重らの研究では、足関節外側靭帯損傷後72時間以内の患者に微弱電流を20分間使用した結果、使用群の足部の体積が有意に減少したことが報告されています。これは、微弱電流が腫れを抑える効果があることを示しています。
また、足関節骨折の手術後にシーネ固定(板状の固定具)を行った患者に対して、手術翌日から1日12時間、3〜4週間微弱電流を使用したところ、術後の腫れの抑制や関節可動域制限の進行を抑えられたという報告もあります。
タンパク質合成の促進
研究では、100〜500μAの微弱電流を使用することで、アミノ酸の取り込みが30〜40%増加することが示されています。アミノ酸はタンパク質の材料となり、タンパク質は傷ついた組織を修復するために不可欠な物質です。
つまり、微弱電流は傷の修復に必要な材料の供給を促進しているのです。
痛みの緩和効果
微弱電流療法は、痛みの軽減にも効果があることが示されています。
2021年に発表された膝の急性痛に関する研究では、微弱電流療法を1日3時間、4週間使用したグループで、痛みの軽減と機能の改善が見られました。
電流の刺激によって組織が活性化され、血行が促進されることで発痛物質が排出されるため、痛みの緩和にも有効とされています。
実際の治療現場での活用

スポーツ現場での実績
微弱電流療法は、特にスポーツ現場で積極的に取り入れられています。
2002年にイングランド代表のベッカム選手が骨折したときに微弱電流を取り入れ、短期間で復活したことは有名なエピソードです。プロアスリートたちは、怪我からの早期復帰のためにこの治療法を活用しているのです。
従来の応急処置との併用
医療の現場では、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上の4つの処置)とマイクロカレントを併用した治療も取り入れられています。
微弱電流療法は、怪我をした直後から使用できるという大きな利点があります。通常の電気治療では刺激が強すぎて急性期には使えないことが多いのですが、微弱電流は刺激がほとんどないため、受傷直後からでも安心して使用できるのです。
使用時間と効果
微弱電流を流している間は損傷した組織の治癒を促進させることから、使用時間は長ければ長いほど効果があるとされており、練習や試合終了後から翌日朝まで使用する方もいます。
ただし、実際の使用方法については、適切な指導のもとで適切に行うことが大切です。
治療のメカニズムをもう少し詳しく

細胞レベルでの修復促進
怪我によって細胞の電位が変化すると、その部分の生体電気活動が低下し、細胞機能が乱れます。微弱電流を流すことで体の自然な電気バランスを再確立し、細胞機能を回復させ、ATPの供給を増やすことで、治癒に必要な代謝エネルギーが提供されます。
他の電気治療との違い
一般的なTENS(経皮的電気神経刺激療法)は、ミリアンペア(mA)という単位の電流を使い、神経を刺激することで痛みを和らげます。一方、微弱電流療法は神経や筋肉を興奮させないため、怪我をした直後の痛みや、トレーニング後のケアにも使用できます。
微弱電流療法が適している症状
微弱電流療法は、以下のような症状に効果が期待できるとされています。
- 足首の捻挫
- 突き指
- 打撲
- 肉離れ
- ぎっくり腰
- 寝違え
- 骨折後の回復促進
捻挫や骨折、肉離れ、むちうちといった外傷に対して、炎症を抑えて治癒を早める効果が期待できます。
安全性について
微弱電流療法は、一般的に安全性の高い治療法とされています。
刺激がほとんど感じられないほど弱い電流のため、子どもや電気刺激が苦手な方でも安心して受けられます。ただし、以下のような方は使用できない場合がありますので、必ず医療従事者にご相談ください。
- ペースメーカーを使用している方
- 妊娠中の方
- 治療部位にがんがある方
効果的な治療を受けるために
適切なタイミング
微弱電流療法は、怪我をした直後から使用できます。早期に治療を開始することで、より効果的な回復が期待できます。
継続的な使用
一度の治療で劇的な効果が現れることもありますが、多くの場合、継続的な治療によって徐々に改善していきます。医療従事者の指導に従って、根気よく治療を続けることが大切です。
水分補給の重要性
微弱電流療法を受ける際は、十分に水分を摂取しておくことが推奨されています。体内の電解質バランスが整っていることで、より効果的に電流が伝わるとされています。
杏鍼灸整骨院での微弱電流の例
まとめ
足首の捻挫に対する微弱電流療法は、多くの研究データによって以下のような効果が示されています。
- ATP産生の促進:細胞のエネルギー生産を約5倍に増加させる可能性
- 腫れの軽減:受傷後早期からの使用で浮腫を減少させる効果
- タンパク質合成の促進:組織修復に必要な材料の供給を促進
- 痛みの緩和:血行促進による発痛物質の排出
微弱電流療法は、刺激がほとんどなく、受傷直後から使用できるという大きなメリットがあります。
ただし、個人差もありますし、捻挫の程度によって適切な治療法は異なります。
微弱電流療法に興味を持たれた方は是非ご相談ください。
怪我の治療には適切な休養も欠かせません。焦らず、でも前向きに、回復を目指していきましょう。
杏鍼灸整骨院でも様々な症状に合わせてを物理療法を行っています。何かございましたらご相談くださいね。
参考文献
- 聖マリアンナ医科大学雑誌『スポーツにおける微弱電流刺激療法』
- Cheng N, et al. (1982) “The effects of electric currents on ATP generation, protein synthesis, and membrane transport”
- 日本物理療法学会『交流微弱電流刺激が足関節骨折術後に与える影響』
- その他、国内外の医学論文および研究報告
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
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院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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