スポーツ外傷と応急処置を知ろう|怪我への処置で予後が決まる!Part2

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こんにちは!!

福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川(いもかわ)です。

今回は【スポーツ外傷と応急処置を知ろう|怪我への処置で予後が決まる!Part2】に関して紹介していきます。

今回の記事を読む前にPart1を一緒に読んで頂けるとより理解が深まると思います。

Part1ではスポーツ外傷に関しての説明と、スポーツによってどのような外傷が起きるのかに関して説明しました。

Part2で紹介していくのは、スポーツ外傷が起きた時に行ってほしい処置です。

怪我が起きてすぐに行う処置を応急処置というのですが、これを❝知って行動できるか❞というのはとても重要な事です。

これらをしっかりと行っていけるだけで怪我の状態が全然違ってきます。

しかし応急処置といっても少し前と今とでは考え方が違ってきています。

今の考え方も前の考え方もどちらも大切なので、これらの移り変わりと一緒に内容を確認していきましょう。

目次

怪我が起きたらどうしたらいいの??応急処置と内容の移り変わり

『怪我をした時にどうしたらいいの??』というのは多くの方が感じる疑問だと思います。

冷やしたり温めたり安静にしたり色々と聞くと思いますが、どのようにしたらいいのか分からなくなってしまいますよね。

しかし怪我をしてすぐの処置というのはとても大切で、この時の❝処置をどうしたか❞でその後の状態が大きく変わっていきます。

そこで❝応急処置として最初に何を行っていくといいか❞という事を知っていきましょう。

《応急処置の移り変わり》

RICE(ライス)

PRICE(プライス)

POLICE(ポリス)

PEACE&LOVE(ピース&ラブ)

行っていく応急処置は身体への理解と共に次第に変わってきていて、一番最初に言われたRICEから始まって医学の発展で色々な事が解明されていくと一緒に、応急処置の重要性とそれにあたって行っていく内容に関しても変化をしています。

では『今ではRICEは応急処置ではダメなの??』という疑問が出ると思いますが、そういう訳ではありません。

RICEは応急処置を行う上で一番基本となる形でとても重要なので、移り変わりと合わせて順番に知っていきましょう。

RICE(ライス)

RICE(ライス)

ーRest(安静)
患部を動かさないように安静にする
ーIcing(冷却)

患部をアイスパックや氷嚢などで冷やして出血や腫れや炎症を抑える
ーCompression(圧迫)

弾性包帯等で患部を圧迫し出血と腫れを抑制する
ーElevation(挙上)

患部を心臓より高く挙げて血液循環を減らす

安静にする理由は、怪我をしてすぐに患部をむやみに動かしてしまうと怪我の状況を悪化させてしてしまう可能性が高くなるために行っていきます。

アイシング圧迫をする理由は、怪我をした場所は少なからず出血があるためにアイシングによる血管収縮や圧迫によって血液循環量を抑えて出血量を減らすために行います。

また出血量が多くなってしまうと怪我した部分から周りの組織に浸潤して二次的に周りの組織も悪くなってしまうために、それを最小限に抑える目的もあります。

挙上をする理由は、アイシングや圧迫と同様に出血量を抑えるために行います。

怪我をした部分を(心臓より)高く上げる事で重力によって血液が高い所から低い所に下がっていくので、怪我をした部分に血液循環が多くならないように防いでいます。

PRICE(プライス)

PRICE(プライス)

ーProtection(保護)
患部の悪化や負荷を減らすためにテーピングやサポーターやギプスなどで保護・固定をする
ーRest(安静)
ーIcing(冷却)
ーCompression(圧迫)
ーElevation(挙上)

基本的にはRICEと考え方は一緒です。

RICEの考え方にProtection保護)❞を新たに加えたのがPRICEです。

保護をするというのは、簡単にいうと安静を保つために固定をしていきます。

患部をギプス固定したりテーピングで固定や補助をしたり添木を当てて支える事で、患部を動かさないようにする事で悪化を防いでいます。

また固定を行う事で患部にかかる負荷の軽減をしたり体重がかからないように免荷の役割も果たしています。

POLICE(ポリス)

POLICE(ポリス)

 ーProtection(保護)
OLーOptimal Loading(適切な負荷)
患部の状態に合わせて適切な負荷を掛ける事で早く回復しやすくなる
 ーIcing(冷却)
 ーCompression(圧迫)
 ーElevation(挙上)

POLICEからは少し考えが変わってきます。

基本的なRICEの考え方は怪我が起きた急性期のものでしたが、POLICEからは中長期的な考えも含まれるようになりました。

Rest(安静)を外して新しくOptimal Loading適切な負荷)❞が追加されました。

Restが外れた理由としては、過度に長期に渡って安静にしている事は怪我の治りを悪くする事が知られるようになり、逆に患部に対して早期から適切な負荷を掛ける事が患部の治りを早く強くする事が分かってきたためです。

これは決して安静がダメというものではなく怪我をした直後は保護による安静が必要ですが、それが長期に渡って行われる事が良くないという事を理解していてください。

近年では手術後のリハビリなども『次の日からリハビリしたよ!!』など、なるべく早期から行う事は知られてきていると思います。

これらも理由はPOLICEも同様で早期から適切な負荷を掛ける事で、患部の癒着を防いだり筋の委縮や関節の拘縮を防ぐ事が出来ます。

また身体の特徴として患部に対して負荷がかかる事で組織は早く治ろうとしますし強く治ろうとしていきます。

この特徴も踏まえて患部には過度な安静よりも適度な負荷が治るためには必要だといわれています。

しかし負荷であればいつでもどれだけでもかけていいという訳では無いので、病院等の専門機関でしっかりと検査をしてもらって、その時期に合った適切な負荷❞のリハビリを行っていく事がとても大切になります。

PEACE&LOVE(ピース&ラブ)

この考えが近年では一番推奨されている考え方になります。

今までのRICEやPRICEやPOLICEの考え方も取り入れながら、もっと細かくより効果を出しやすい考え方に変わっています。

また急性期の数日間から長期的な回復期にかけてまでの考えも含まれています。

そのため今までの考え方も残ってはいますが、また違うものだと思っていいと思います。

今の考え方のPEACE&LOVEでは《急性期の応急処置としてPEACEとPEACE後の《急性期を過ぎた後の処置としてLOVEの二つに分けて考えられて、行う事が段階的になっています。

PEACE(ピース)~急性期の応急処置~

ーProtection(保護)
ーElevation(挙上)
ーAvoid anti-inflammatory drug(抗炎症薬の回避)
抗炎症薬は患部の治癒を妨げる事があるため多量・長期の服用を避ける
ーCompression(圧迫)
ーEducation(教育)
患部の状態に適した対処法を教える事で、過剰な薬の服用や医療機関に頼り切った受動的な過度の施術などを避ける

PEACEは急性期の応急処置として行われていくので、怪我をした直後から3日程を目安に考えてください。

ここで大きく変わったのはアイシングが外れて❝Avoid anti-inflammatory drug抗炎症薬の回避❞と❝Education教育❞が新たに含まれた事です。

アイシングが外れた事が以外に思う方も多いと思いますが、最近の研究では過度のアイシングが治癒を遅らせる可能性があると発表されています。

長期に過剰にアイシングを繰り返していると血管の収縮が起きて必要な血液循環が阻害されてしまう事が一つの理由です。

またアイシングの目的は出血などを抑えて炎症を強く出させない事でしたが、実際には身体が治っていく過程には炎症が起きる事が引き金になり身体の中では治そうとする活動が始まっていきます。

そのため長期に過剰にアイシングを行って炎症を出さないように処置をしていく事は治癒を遅らせる可能性を高くしてしまいます。

抗炎症薬の回避が追加されたのは炎症に関してアイシングが外れたのと同様の理由です。

『痛くて疼くから・・・』と抗炎症薬をいつまでも服用していると炎症を長期に抑えてしまうので、その後の治癒過程が遅れてしまう可能性が高くなてしまいます。

教育に関しては本人が怪我に関して対応の仕方を知る事がとても大切です。

様々な医療機関に受診して『薬を渡されたからずっと飲んでいる』とか『この施術が効くって聞いたから』など受動的な対応ばかりになってしまうと、いつの間にか身体にとっては様々な事が過剰な量になってしまい治癒を遅らせてしまう可能性や逆に悪化させてしまう可能性が高くなってしまいます。

こうならないためにも医療機関はしっかりとした説明と、怪我をした方はしっかりと知ろうとする事が大切になってきます。

LOVE(ラブ)~急性期を過ぎた後の処置~
ーLoad(負荷)
痛みのない範囲で患部の状態に合わせた適度な負荷を掛ける
ーOptimism(楽観思考)

前向きな考えを持つ事で身体の回復が行われやすくなる
ーVascularisation(血流を促す)

痛みが伴わない範囲で有酸素運動を行う事で組織への血流が促進され回復が早くなる
ーExercise(運動)

時期に合わせた積極的な運動で筋力・協調性・可動域・受容器などの回復を促す

LOVEに関してはPEACEが過ぎた後の期間に行っていくので、受傷から数日たったくらいから開始していくと考えてください。

ここで大切な事は❝いかに早く強く回復させていくための処置を取っていくか❞という事です。

LOVEで行っている処置はこれらを起こしやすいようにするために必要な事です。

この時期には常に❝Optimism楽観思考❞を意識させていく事が大切です。

楽観思考とは簡単にいうとポジティブな考えやプラス思考をしっかりと持つようにしていきましょう。

身体は精神状態からの影響を受けやすいので精神にマイナスが強くなると身体の治りは遅くなりますし痛みを強く感じやすくなりますが、逆にポジティブに考えられている人の方が回復もスムーズに早く進みやすくなります。

どうしても怪我をすると気持ちは落ち込みやすくなりますが、なるべく前向きな考えに切り替えていきましょう。

次に❝Load負荷❞と❝Vascularisation血流を促す❞です。

この時期の身体の中では組織回復がどんどん行われています。

そこで適度な負荷を掛けていくと組織は早く治ろうとしていくのと同時に強く治そうとしていきます。

そのため組織回復が行われている時期に適度な負荷を掛けていくと新しい組織がより多く集まりやすくなります。

※負荷は無理な運動ではなく免荷の状態から体重を掛け始めるなどの事を指しています

また組織回復を行っていくためには血液が必要不可欠で、血液に乗って酸素や治るための新しい組織や栄養素が運ばれてきます。

なので血液循環を良くする事がとても重要です。

❝温めて血流をよくする❞など方法は色々あるので、行いやすい形で患部にどんどん血液を流していきましょう。

もう一つは❝Exercise運動❞です。

ここで気を付けて欲しいのが負荷と運動は違います。

負荷は患部に負担を掛けないようにしていた状態から、少しずつ体重を掛けたり固定から動かしだしたりと負荷をかけていきます。

では運動は簡単にいうと生活やスポーツなどに復帰をしていくためのトレーニングやエクササイズです。

大きな怪我をすると周りの筋肉は弱くなり、靭帯や腱や関節包は硬くなりやすく関節可動域は下がり、関節運動や筋肉運動の協調性や深部感覚などが下がってしまいます。

これらを回復させるために行ていくのが運動です。

これを行っていく事で再発防止になりますし、スポーツ復帰がスムーズにいきやすくなります。

結局、何をどうしたらいいの??

ここまで長々と応急処置の話をしてきて、応急処置の大切さと何を行っていくのかは分かって頂けたかと思います。

ですが『結局、何をどうしたらいいの??』と思っている人も多いと思います。

極論いうとすべて大切です。

しかし怪我をする前提で生活はしていませんし、ましてや準備なんて常に出来ている訳では無いと思います。

そこで急な時でも簡単に出来る方法を含めて、今の新しい考えのPEACEをもとに説明していきましょう。

グキッッッッッッッッ!!!
『痛いっ!!怪我をした!!痛い痛い・・・』

まずは安静に出来る場所でゆっくりと出来る体勢にしてあげましょう。

立っているならゆっくりと座らせてあげて、人や車が通って危ない場所ならゆっくりと端の方に避けていきましょう。

この時に寝るくらいのスペースがあるとより良いです。

落ち着ける場所に移動できた!!
『安静に出来たのは良いけどここからはどうしたらいいんだろう・・・』

ここから行っていくのが保護・挙上・圧迫です。

保護は固定をしていきたいのですが、なかなか固定具は持っていないと思います。

そのような時は最悪周りを見渡して使える物を探しましょう。

太めの枝で支えにしたり段ボール箱を二重三重にして支えにするなどを行うと固定になり保護になります。

また固定具の安定に包帯もないと思いますので、タオルを広げて包んで結んであげると固定の出来上がりです。

圧迫は弾性包帯が理想ですがなかなか持っていないと思いますので、タオルの枚数に余裕があるなら一枚を広げて患部を包むように巻いてその上から固定を行う形でも良いと思います。

そして挙上しましょう。

足の怪我の場合は仰向けなど楽な姿勢になってもらって足の下にクッションやバッグなどを置いて心臓より高い位置に上げて、腕などの場合も同様で心臓より高い位置に腕を挙げましょう。

スペースが狭く椅子に座る程度の場合は反対側にも椅子を用意して椅子の上に足を置き下げないようにしましょう。

『ズキズキ痛い・・・何とかならない??』
『どうしよう!!アイシングしようか?湿布でも貼ろうか?痛み止め飲む?』

ここで考えるのが抗炎症薬の回避基本的には何もしないで安静にする事を考えてもらうといいですが、どうしても痛みが耐えられない場合があると思います。

そのような場合はアイシングは受傷直後のその時だけで、抗炎症薬の服用はどうしても痛みが苦しい時だけで考えてもらえると良いと思います。

最近では過剰なアイシングや抗炎症薬は治癒を遅らせる可能性があると考えられているために、アイシングや痛み止めはあまり勧められていません。

しかしこれはあくまでも『過剰な~』という事がポイントで、タイミングと時間を考えれば大きな問題ではないと思います。
※あくまでも薬の処方と服用の許可は医師の診断にて行うものです

『はぁ~~不安だ・・・これからどうしたらいいの??』

ここで大切なのが教育です。

相手は不安に思っているので今の怪我の状況が分かる範囲で教えてあげましょう。

もちろん分からない事を知ったかぶりをするのは絶対に避けましょう。

相手を余計に不安にさせるだけですし簡単に考えてしまうと状態の悪化を引き起こす可能性もあります。

整形外科など専門機関の受診を勧めた上で、それまで自分で出来る処置として保護・圧迫・挙上や抗炎症薬の回避の必要性をしっかりと説明して理解してもらいましょう。

また❝早く治るためにはどのようにするといいか❞なども分かる範囲で教えてあげれるとより良いですね。

Part2のまとめ

今回は【スポーツ外傷の応急処置を知ろう|最初の処置で予後が決まる!!Part2】に関して紹介しました。

今回は二部構成でPart1ではスポーツ外傷に関して知ってもらい、今回のPart2ではそこに対する応急処置の内容に関して説明していきました。

Part1に関しては下のリンクから読んでみてください。

自分がどんな怪我をしたのかを知る事はとても大切ですし、怪我に対して応急処置を知っておく事もとても大切です。

また怪我に対する応急処置を知っていてこれを実行できるかどうかで、怪我が予後が全然違ったものにると思います。

タイトル通り《怪我の応急処置が予後を決める!!》といっても過言ではないと思うくらい重要な事です。

怪我をすると相手は不安になりますし、その時に今回の内容を思い出して落ち着いて対応出来るといいなと思います。

しかしこれはあくまでも応急処置なので、相手には『なるべく早いタイミングで必ず病院へ行くように!!』と整形外科などの専門機関への受診を促してください。

それが相手を守るために一番大切な事になります。

そして最終的には相手が病院に行って受診した事を聞くと自分が一番ホッと一安心しますよ。

相手のためにも今回の記事が少しでも役に立てるといいなと思います。

杏鍼灸整骨院の妹川でした。

投稿者プロフィール

妹川 和志
妹川 和志柔道整復師
柔道整復師

福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業

陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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