
こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
お子さんが「膝が痛い」と訴えたとき親御さんとして心配になりますよね。
特にスポーツを頑張っている成長期のお子さんであればなおさらです。
もしかしたらそれは「オスグッド病」かもしれません。
今回はオスグッド病がどのようなスポーツで起こりやすいのかまた男女でどのような違いがあるのかについて研究データをもとにわかりやすくお伝えしていきます。
オスグッドシュラッター病自体の詳しい記事はこちらをご覧ください。

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オスグッド病ってどんな病気?

オスグッド病は正式には「オスグッド・シュラッター病」といいます。
1903年にアメリカの整形外科医オスグッドさんと、スイスの外科医シュラッターさんがそれぞれ独立してこの病気について報告したことからこの名前がついているんですね。
膝のお皿の下すねの骨の上の方に痛みや腫れが出てくる病気で成長期のスポーツをしているお子さんに多く見られます。
どうして成長期に起こるの?
成長期には骨がぐんぐん伸びていきますよね。
身長が1年で10センチも伸びるお子さんもいらっしゃいます。
ところが骨は急速に成長するのですが筋肉や腱といった「やわらかい組織」は骨ほど早く成長することができないんです。
その結果太ももの前側にある「大腿四頭筋」という大きな筋肉が相対的に硬くなってしまいます。
この硬くなった筋肉が膝のお皿を通じてすねの骨の「脛骨粗面」という部分を強く引っ張ることになります。
成長期の骨はまだ完全に硬くなっておらず軟骨成分を多く含んでいるためこの引っ張る力に弱いんですね。
ジャンプやダッシュ、キックといった動作を繰り返すことでこの部分に小さな傷ができたり骨が剥がれたりすることで痛みや腫れが生じるのがオスグッド病です。
どのくらいの子どもがかかるの? 統計データから見る発症率

全体的な発症率
いくつかの研究から、オスグッド病の発症率についてわかってきたことがあります。
ブラジルで行われた大規模な研究では12歳から15歳の思春期の子どもたち956人を調査したところ全体の**約9.8%**の子どもがオスグッド病を発症していることがわかりました。
つまりこの年齢層の子ども約10人に1人がオスグッド病になっているということになります。
さらにスポーツを活発に行っている子どもたちに限定すると発症率は**約21%**まで上がることが報告されています。これは5人に1人以上という高い割合です。
一方スポーツをあまりしていない子どもたちでは発症率は**約4.5%**と低くなっています。
このことからスポーツ活動がオスグッド病の発症に大きく関係していることがわかりますね。
発症しやすい年齢
オスグッド病、成長のスピードが最も速い時期に発症しやすいことがわかっています。
男の子の場合はだいたい10歳から15歳、特に12歳から14歳くらいが最も発症しやすい年齢です。
女の子の場合は男の子よりも少し早く、8歳から13歳、特に10歳から11歳くらいが発症のピークになります。
これは女の子の方が男の子よりも成長期が早く訪れることと関係しています。
興味深いことに身長が最も急速に伸びる時期の前後6ヶ月間が特にオスグッド病を発症しやすい時期だということもわかってきました。
男の子と女の子、どちらが多いの?

男女比のデータ
多くの研究で、オスグッド病は男の子に多く見られることが報告されてきました。
男女比は、研究によって3:1から7:1の範囲で報告されています。つまり、男の子の発症が女の子の3倍から7倍多いということですね。
具体的な数字で見てみましょう。
12歳から15歳の子どもたちを対象にした研究では、
- 男の子の発症率: 約11.4%
- 女の子の発症率: 約8.3%
と報告されています。
オランダで行われた研究では、実際に医療機関を受診したオスグッド病の患者さんのうち、約64.7%が男の子でした。
男女差が縮まってきている?
ただし興味深いことに最近では男女の差が以前よりも小さくなってきているという報告もあります。
その理由として考えられているのが女の子のスポーツ参加の増加です。
以前は、激しいスポーツは男の子がするものという考え方がありましたが、現在では女の子も男の子と同じように、さまざまなスポーツに積極的に参加するようになってきました。
バスケットボールやバレーボール、サッカーなど、膝に負担のかかるスポーツに取り組む女の子が増えることでオスグッド病の発症も増えてきているんですね。
両膝に出ることもある
また、オスグッド病は片方の膝だけでなく、両方の膝に症状が出ることもあります。
研究によると、約20%から30%の患者さんが両膝にオスグッド病の症状を持っていることがわかっています。
つまり、3人から5人に1人は両膝に痛みが出るということですね。
どんなスポーツで起こりやすいの? スポーツ種目別の特徴

さて、ここからが皆さんが最も気になるところではないでしょうか。どんなスポーツがオスグッド病になりやすいのでしょうか?
ジャンプ動作が多いスポーツ
研究で一貫して報告されているのがジャンプ動作の多いスポーツでオスグッド病が起こりやすいということです。
特に発症率が高いとされているのは
バレーボール
ジャンプの連続であるバレーボールはオスグッド病が非常に起こりやすいスポーツの代表格です。スパイクやブロックのたびに膝に大きな負担がかかります。
バスケットボール
シュート、リバウンド、ディフェンスなど試合中に何度もジャンプを繰り返すバスケットボールも膝への負担が大きいスポーツです。
ダッシュやキック動作が多いスポーツ
ジャンプと同じくらいオスグッド病のリスクが高いのがダッシュやキック動作が多いスポーツです。
サッカー
ボールを蹴る動作はもちろんダッシュとストップの繰り返し方向転換など膝の曲げ伸ばしが頻繁に行われます。日本の研究でも、サッカー選手のオスグッド病発症が多く報告されています。
野球
意外かもしれませんが野球でもオスグッド病は起こります。
特にピッチャーやキャッチャーは投球動作や捕球姿勢で膝に負担がかかります。
また、ダッシュや急なストップも多いですよね。
その他のリスクの高いスポーツ
陸上競技
特に短距離走や跳躍種目では膝への負荷が非常に大きくなります。ハードルなども注意が必要です。
バドミントン
素早いフットワークとジャンプスマッシュなどで膝に負担がかかります。
フィギュアスケート・体操
ジャンプの着地時に膝に大きな衝撃が加わります。特に体操では、着地動作が頻繁にあります。
テニス
ダッシュ、ストップ、方向転換が多く膝への負担が大きいスポーツです。
共通するポイント
これらのスポーツに共通しているのは
- 膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作が多い
- ジャンプや着地で衝撃が加わる
- ダッシュやストップなど、急な動きが多い
- 練習量が多く、膝を酷使する
という特徴です。
日本の研究ではスポーツクリニックを受診した若いアスリート586人のうち、68人(約11.6%)がオスグッド病だったという報告があります。
また別の研究では成長期のスポーツ選手の膝の痛みの原因240例のうち、55例(23%)がオスグッド病だったというデータもあります。
なぜスポーツをすると発症しやすいの?

スポーツをしている子どもとしていない子どもでこんなに発症率に差があるのはなぜでしょうか?
繰り返しの負荷(オーバーユース)
オスグッド病は医学的には「オーバーユース症候群」「使いすぎ症候群」と呼ばれることがあります。
一度の大きなケガで起こるのではなく小さな負担が何度も何度も繰り返されることで徐々に組織が傷ついていくんですね。
たとえば、1回のジャンプでは何ともなくても、練習で100回、200回とジャンプを繰り返すうちに、膝の骨の付着部に小さな傷ができ、それが修復される前にまた傷がつく…という繰り返しになってしまいます。
筋肉の硬さとの関係
ブラジルの研究では興味深いことがわかっています。
オスグッド病の子どもたちを調べたところ76%の子どもが太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が硬くなっていたことがわかりました。
さらに、統計的な分析でオスグッド病の発症に関係する要因として:
- 定期的なスポーツ活動(発症リスクが約2倍)
- 太ももの前の筋肉の硬さ(発症リスクが約7倍!)
の2つが特定されました。
つまりスポーツをしていることに加えて筋肉が硬くなっていることがオスグッド病の大きなリスク要因になっているということですね。
足首の硬さも関係している
最近の研究では膝だけでなく足首の硬さもオスグッド病に関係していることがわかってきました。
足首が硬くてしゃがむ動作がうまくできない子どもはジャンプの着地などで衝撃をうまく吸収できずその負担が膝にかかってしまうんです。
たとえるならスキーブーツのように足首が固定された状態でジャンプするようなもので膝の筋肉が突っ張って衝撃を止めなければならなくなってしまいます。
どんな症状が出るの?

主な症状
オスグッド病の典型的な症状は:
- 膝のお皿の下の骨の部分が痛む
- 押すと痛い(圧痛)
- 運動すると痛い
- 膝の下の骨が出っ張ってくる
- こぶのような隆起ができる
- 腫れや熱感を伴うこともある
- 特定の動作で痛みが強くなる
- ジャンプやダッシュ
- 階段の昇り降り
- 正座や膝立ち
- スクワット
- 運動後に足を引きずることがある
痛みのパターン
オスグッド病の痛みには特徴的なパターンがあります。
- スポーツをすると痛みが増す
- 休むと痛みが和らぐ
- スポーツを再開するとまた痛くなる
この繰り返しが続くのが特徴です。
また、片方の膝だけに症状が出ることが多いですが前述のように両膝に出ることもあります。
予防するにはどうすればいいの?

研究から明らかになってきた予防法をご紹介します。
1. ストレッチが最も重要!
すべての研究で共通して強調されているのが太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)のストレッチです。
硬くなった筋肉をしっかり伸ばすことで骨の付着部への負担を減らすことができます。
いつやるの?
- 練習前のウォームアップで
- 練習後のクールダウンで
- お風呂上がりの体が温まったときに
継続することが大切です。
2. ふくらはぎのストレッチも忘れずに
前述したように足首の硬さもオスグッド病に関係しています。
ふくらはぎの筋肉をしっかり伸ばして足首の柔軟性を保つことも予防につながります。
3. 運動後のアイシング
練習後に膝を冷やすことで炎症を予防する効果があることがわかっています。
- 氷嚢や氷枕を使用
- 膝のお皿の下の骨の部分を中心に
- 20分程度、感覚がなくなるまでしっかり冷やす
- 2時間様子を見て、まだ熱を持っているようなら再度アイシング
4. 適切な休養
練習のしすぎ試合の詰め込みすぎはオーバーユースの原因になります。
成長期の子どもは、体が疲れていても「もっとやりたい!」と思ってしまうことがあります。保護者の方やコーチの方が適切に練習量をコントロールしてあげることが大切です。
たとえば:
- 複数のチームで同じスポーツをしている場合は、一つに絞ることを検討
- 週に1〜2日は完全休養日を設ける
- 成長スパート期(急に背が伸びる時期)は特に注意
5. ウォームアップとクールダウンを習慣に
急に激しい運動を始めたり運動後に何もせずに終わったりするのではなく:
- 練習前には軽いジョギングやストレッチで体を温める
- 練習後にはストレッチとアイシングでケアする
これを習慣化することが将来の競技生活にとっても重要です。
6. 姿勢にも注意
最近の研究では、姿勢もオスグッド病と関係していることがわかってきました。
背中が丸く、骨盤が後ろに傾いている姿勢だと、重心が後ろ気味になり、スポーツ動作で膝の前側に負担がかかりやすくなります。
背骨や太ももの裏側のストレッチも大切ですね。
7. サポーターの活用
オスグッド用の膝サポーターやベルトを使用することも、予防や症状の軽減に役立つことがあります。
膝のお皿の下の部分に圧力をかけて骨への牽引力を軽減するタイプのものが市販されています。
親御さんができること

お子さんがオスグッド病になってしまったら、あるいは予防したいと思ったら、親御さんにできることがたくさんあります。
1. 早期発見のために観察を
- 膝を押して痛がらないか
- スポーツ後に足を引きずっていないか
- 膝の下の骨が出っ張ってきていないか
日頃から注意して見てあげてください。
2. ストレッチを一緒に
お子さん一人では、なかなかストレッチを継続できないこともあります。
「一緒にストレッチしようか」と声をかけて家族の習慣にしてしまうのもいいですね。
3. アイシングのサポート
練習後のアイシングを習慣づけるお手伝いをしてあげてください。
氷嚢の準備や、アイシングの時間を計ってあげるなど、サポートがあると続けやすくなります。
4. 練習量の調整を相談
痛みがある場合はコーチや監督と相談して練習量を調整することも必要です。
「痛いと言ったら怒られる」「チームに迷惑をかける」と思ってお子さんが痛みを隠してしまうこともあります。
大人がしっかりとコミュニケーションを取ってお子さんの健康を第一に考えてあげてください。
5. 焦らず見守る
オスグッド病は適切に対処すれば必ず治る病気です。
「大事な試合が近いのに」「レギュラーから外されるかも」と焦る気持ちもあるかもしれませんが今無理をして症状を悪化させてしまうと結果的にスポーツから離れる期間が長くなってしまいます。
長い目で見てお子さんが将来も楽しくスポーツを続けられることを第一に考えてあげてください。
まとめ
オスグッド病は成長期のスポーツをする子どもたちにとって、決して珍しくない病気です。
統計的には:
- 12〜15歳の子どもの約10%が発症
- スポーツをしている子どもでは約21%に達することも
- 男の子の方がやや多いが、女の子のスポーツ参加増加で差は縮小傾向
- 男子11.4%、女子8.3%程度の発症率
発症しやすいスポーツは:
- ジャンプの多い競技(バレーボール、バスケットボール)
- ダッシュやキックの多い競技(サッカー、陸上競技)
- 膝の曲げ伸ばしを繰り返す全てのスポーツ
予防と早期対処が重要:
- 太ももの前とふくらはぎのストレッチ
- 運動後のアイシング
- 適切な休養
- 早めの受診と治療開始
多くは自然に治る:
- 適切に対処すれば、成長期が終わる頃には改善する
- 早期発見・早期治療で、スポーツ復帰も早くなる
日頃からのストレッチとアイシング、適切な休養を心がけてオスグッド病を予防していきましょう。
最後までご覧くださりありがとうございました!
杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。
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【参考文献】
- de Lucena GL, et al. Prevalence and associated factors of Osgood-Schlatter syndrome in a population-based sample of Brazilian adolescents. Am J Sports Med. 2011
- Vaishya R, et al. Apophysitis of the tibial tuberosity (Osgood-Schlatter Disease): a review. Cureus. 2016
- Watanabe H, et al. Pathogenic Factors Associated With Osgood-Schlatter Disease in Adolescent Male Soccer Players. Orthop J Sports Med. 2018
- 鈴木英一ほか:Osgood-Schlatter病の成因と治療・予防 -身体特性と成長過程の観点から-. 臨床スポーツ医学 23(9): 1035-1043, 2006
- その他、複数の医学論文および医療機関の公開情報
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数






