スプラングバック(腰の棘上、棘間靭帯損傷)|福岡県筑紫野市二日市の杏鍼灸整骨院

ある日突然、腰の真ん中あたりに痛みを感じたことはありませんか。特に、前かがみになったときや寝返りを打ったときに、ピンポイントで痛む場所があるような感覚です。もしかしたら、それは「スプラングバック」という状態かもしれません。

今回は、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実はとても大切な腰の症状「スプラングバック」について、できるだけわかりやすく、丁寧にお話ししていきたいと思います。

スプラングバックって何だろう

基本的な理解

スプラングバックとは、腰の骨と骨をつなぐ「靭帯」という組織が傷ついたり、炎症を起こしたりする状態のことをいいます。

専門的には「棘上靭帯損傷」や「棘間靭帯損傷」と呼ばれます。

実は、この「スプラングバック」という名前は、英語の「Sprung back」から来ているという話だそうです。

「sprung」は「ばねが緩んだ」「損傷した」という意味で、腰の靭帯がまさにそのような状態になることを表しているんですね。

背骨の構造を理解しよう

私たちの背骨は、たくさんの骨(椎骨)が積み重なってできています。

ちょうど積み木のようにひとつひとつの骨が上下に並んでいるイメージです。

この骨と骨の間には、「椎間板」というクッションがあります。

そして骨同士がずれないように支えているのが今回お話しする「靭帯」なんです。

靭帯の役割

靭帯は、硬めのゴムバンドのようなもので、背骨を安定させる大切な働きをしています。

スプラングバックで問題になるのは次の二つの靭帯です。

棘上靭帯(きょくじょうじんたい) 背骨の後ろ側、一番外側を縦に走っている靭帯です。首の骨から腰の骨まで、背骨の突起部分(棘突起)の先端をつないでいます。

実は、この靭帯は腰の下の方(第3腰椎から第4腰椎あたり)までしか続いていないことが多いと研究でわかっています。

棘間靭帯(きょっかんじんたい) 背骨と背骨の突起の間を横につないでいる靭帯です。棘上靭帯よりも内側にあって、それぞれの背骨の間を支えています。

この二つの靭帯は、特に体を前に曲げたときに伸ばされて背骨が必要以上に曲がらないようにブレーキをかける役割を持っているんです。

どうしてスプラングバックになるの

主な原因

スプラングバックになる原因は、いくつか考えられます。

1. 強い衝撃を受けたとき

尻もちを強くついたとき、転んで腰を打ったとき、スポーツで激しくぶつかったときなど、腰に急激な力がかかると、靭帯が引き伸ばされて傷ついてしまうことがあります。

研究によると、特にアメリカンフットボールラグビーなどのコンタクトスポーツで、相手にタックルされて倒れたときに起こりやすいといわれています。体が強く後ろに反る(過伸展)ような動きで、靭帯に大きな負担がかかるんですね。

2. 重いものを持ち上げるとき

重い荷物を勢いよく持ち上げようとしたときに、「ぐきっ」という感じで痛めてしまうこともあります。特に、前かがみの姿勢から急に体を起こそうとするときに起こりやすいようです。

3. 日常的な負担の積み重ね

実は一度の大きな衝撃だけでなく長年の積み重ねで靭帯が弱くなることもあります。

長時間のデスクワーク、パソコンやスマートフォンを使い続ける姿勢、同じ姿勢を続けることなどが、少しずつ靭帯に負担をかけていきます。

研究では、長時間座る仕事をしている方や体を繰り返し曲げ伸ばしする動作が多い方に起こりやすいことが報告されています。

4. 踏みとどまったとき

転びそうになって、とっさに踏みとどまったとき。このような、急激に力を入れる動作でも靭帯を傷めることがあります。

発生のメカニズム

専門的な研究からスプラングバックが起こるメカニズムも少しずつわかってきています。

体を前に曲げると背骨の後ろ側にある靭帯は引き伸ばされます。

このとき、棘間靭帯と棘上靭帯は背骨が過度に曲がらないように抵抗するんです。

しかし、この抵抗する力以上の力が急にかかると靭帯の繊維が部分的に切れてしまったり(部分断裂)、炎症を起こしたりします。

これがいわゆる「捻挫」のような状態なんですね。

特に腰の下の方(第4腰椎と第5腰椎の間、第5腰椎と仙骨の間)は、日常の動作で最もよく動く場所なので靭帯にかかる負担も大きくなります。

そのため、この部分の靭帯が傷みやすいと考えられています。

スプラングバックの症状

特徴的な痛み

スプラングバックにはいくつかの特徴的な症状があります。

1. 背骨の真ん中が痛む

「腰の筋肉が痛い」というよりも、「背骨の真ん中、骨のあたりが痛い」という感じです。指で押すと、まさにそこ!という場所がわかることが多いです。

2. 前かがみで痛みが増す

体を前に曲げる動作(前屈)をすると、痛みが強くなります。

靴下を履く、物を拾う、顔を洗うといった、日常のちょっとした動作でも痛みを感じるかもしれません。

3. 腰の下の方に痛みが出やすい

多くの場合、腰仙部(腰の一番下の部分)に痛みを感じます。第4腰椎と第5腰椎の間、または第5腰椎と仙骨の間に圧痛(押すと痛む場所)があることが多いんです。

4. 寝返りで痛むこともある

症状がひどくなると、寝返りを打つだけで痛みを感じたり、椅子の背もたれが当たるだけで痛かったりすることもあります。

他の腰痛との違い

スプラングバックは、ぎっくり腰の一種ともいえますが、一般的な筋肉の痛みとは少し違います。

筋肉の痛みとの違い 筋肉が原因の腰痛は腰全体や横の方が痛むことが多いのですが、スプラングバックは背骨の真ん中、それも特定の場所がピンポイントで痛むのが特徴です。

椎間板ヘルニアとの違い 椎間板ヘルニアは足のしびれや痛みを伴うことが多いですがスプラングバックは基本的に腰の局所的な痛みで、足への症状は出ないことが多いといわれています。

椎間関節の痛みとの違い 椎間関節炎も背骨の痛みを引き起こしますが体を後ろに反らすと痛むことが多いです。一方、スプラングバックは前屈で痛みが出やすいという違いがあります。

診断について

病院での診察

スプラングバックの診断は、なかなか難しいことがあります。なぜなら、普通のレントゲン検査では、靭帯は写らないからです。

問診と触診が大切

医師は、まず詳しくお話を聞きます。いつから痛いのか、どんなときに痛むのか、どんな動作をしたときに痛みが始まったのかなど、丁寧に確認していきます。

そして、実際に痛む場所を触って(触診)、背骨と背骨の間を押したときに痛みがあるかどうかを調べます。スプラングバックの場合、この押した痛み(圧痛)が、診断の大きな手がかりになるんです。

画像検査の限界と可能性

レントゲン検査では、骨の異常(骨折など)は見つけられますが、靭帯の損傷は直接見ることができません。

MRI検査では、靭帯の状態をある程度確認できることもありますが、軽い損傷の場合は、はっきりと写らないこともあります。特に、造影剤を使ったMRI検査でないと、靭帯の炎症を見つけにくいという報告もあります。

最近では、超音波(エコー)検査で靭帯の損傷を見つけられることもわかってきました。超音波検査は、体への負担も少なく、リアルタイムで靭帯の状態を確認できるという利点があります。

他の病気との区別

背中や腰の痛みには、様々な原因があります。骨折、感染症、がんの転移など、重大な病気が隠れていないかを確認することも大切です。

ですので症状を疑う場合は先に整形外科などを受診して当院に来院するのがスムーズかもしれません。

これらの心配な病気を否定した上で、症状や触診の結果からスプラングバックと診断されることが多いんですね。

治療の方法

基本的な治療

スプラングバックの治療は、基本的に保存的な治療(手術をしない治療)から始めることが多いです。

1. 安静

まず大切なのは、痛めた靭帯を休ませることです。ただし、完全に動かないというよりも、痛みを強くする動作を避ける「相対的な安静」が推奨されています。

研究によると、適度に体を動かしながら治療する方が、完全に安静にしているよりも回復が早いこともわかってきています。

2. 痛みのコントロール

痛みが強いときは、無理をせず、適切に痛みをコントロールすることが大切です。

  • 湿布や塗り薬:患部に直接貼ったり塗ったりして、炎症を抑えます
  • 鎮痛薬の服用:必要に応じて、医師の指示で痛み止めを使います
  • アイシング:急性期(痛めた直後)は、冷やすことで炎症を抑えることができます

3. 専門的な注射治療

痛みが強く、日常生活に大きな支障がある場合は、注射による治療が行われることもあります。

ステロイド注射は、炎症を抑える効果が高く、症状を劇的に和らげることができる場合があります。ただし、これは対症療法なので、根本的な治療と併せて行うことが大切です。

最近の研究では、血小板を多く含む血漿(PRP)を注射する治療法も注目されています。これは、自分の血液から取り出した成分を使うことで、靭帯の修復を促進する可能性がある治療法です。

リハビリテーション

理学療法の重要性

痛みが少し落ち着いてきたら、理学療法(リハビリ)を始めることが推奨されています。

  1. 靭帯をほぐす運動:適度な体操で、靭帯を少しずつ動かしていきます
  2. 姿勢の改善:腰に負担のかかりにくい姿勢を身につけます
  3. 体幹の筋力強化:腰を支える筋肉を鍛えることで、靭帯への負担を減らします

研究では、腰痛患者さんの約60%が3ヶ月以内に症状が改善したという報告があります。ただし、残りの40%は慢性的な痛みに移行する可能性があるため、早期からのリハビリが大切だとされています。

運動療法の実際

具体的には、次のような運動が行われることがあります。

  • ストレッチ:腰や股関節の柔軟性を高めます
  • コアトレーニング:体の中心部の筋肉を鍛えて、腰椎を安定させます
  • 姿勢の訓練:日常生活での正しい姿勢や動作を練習します

ただし、運動療法は、それぞれの方の状態に合わせて、専門家の指導のもとで行うことが重要です。特に急性期には、無理な運動は逆効果になることもあるので注意が必要です。

鍼灸治療

日本では、鍼灸治療もスプラングバックに対して行われることがあります。

杏鍼灸整骨院では細かい触診で、痛めている靭帯の場所をピンポイントで見つけ出し、そこに鍼を刺して治療します。場合によっては、鍼に電気を流す「電気パルス療法」も行われます。

また、靭帯をかばって硬くなっている周りの筋肉をマッサージで緩めることで、血液循環を良くして、回復を促す効果も期待されています。

日常生活での工夫

治療と並行して、日常生活でも次のような工夫が大切です。

姿勢の注意

  • 長時間、同じ姿勢を続けない
  • デスクワークでは、適度に休憩を取って体を動かす
  • 前かがみの姿勢を長く続けない

動作の工夫

  • 物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰への負担を減らす
  • 急な動きを避ける
  • 痛みを強くする動作は無理をしない

生活環境の調整

  • 体に合った椅子や机を使う
  • 適度な硬さのマットレスを選ぶ
  • 腰に負担のかかりにくい靴を履く

予防について

スプラングバックを予防するためには、日頃からの心がけが大切です。

体幹筋の強化

研究によると、体幹の筋肉量と腰痛には関連があることがわかっています。体幹の筋肉(お腹や背中の深いところにある筋肉)を鍛えることで、腰椎への負担を減らすことができます。

特に、「コアマッスル」と呼ばれる深層の筋肉を鍛える運動が効果的だといわれています。ただし、すでに腰痛がある方は、専門家の指導のもとで行うことをお勧めします。

柔軟性の維持

股関節や背中の柔軟性を保つことも大切です。体が硬いと、日常の動作で腰に余計な負担がかかってしまいます。

無理のない範囲で、毎日少しずつストレッチを続けることが推奨されています。

正しい姿勢

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、知らず知らずのうちに背骨の靭帯に負担をかけています。

正しい姿勢を意識して、適度に休憩を取りながら作業することが、予防につながります。

体重管理

適切な体重を維持することも、腰への負担を減らすために大切です。体重が増えすぎると、それだけ腰にかかる負担も増えてしまいます。

スポーツ選手と腰痛

スポーツをされている方は、特に注意が必要かもしれません。

研究によると、体操競技、野球、サッカー、バレーボール、ダンスなどの選手は、腰痛の発生率が高いことが報告されています。

特に体を繰り返し曲げたり反らしたりする動作、回旋(ひねる)動作が多いスポーツでは腰の靭帯に継続的な負担がかかります。

アスリートの腰痛では、軟部組織(筋肉や靭帯)の損傷が最も多いことが、大規模な研究でわかっています。そして、適切な体幹トレーニングとコンディショニングが、腰痛の予防に効果的だと考えられています。

もし痛みを感じたら、無理をせずに休養を取り、専門家に相談することが大切です。

慢性化を防ぐために

スプラングバックは、適切に治療すれば、多くの場合改善が期待できます。

しかし、放っておくと慢性的な痛みに移行してしまうこともあります。

これはどの怪我でも共通する問題です。

早期の対応が大切

痛みを感じたら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

「そのうち治るだろう」と我慢していると、症状が悪化したり、慢性化したりすることがあります。

心理的な要因

実は、腰痛には心理的な要因も関係していることが、研究でわかってきています。

仕事に対する不満、ストレス、不安などが、腰痛を長引かせる要因になることがあるんです。

痛みが長引いている場合は身体的な治療だけでなく心理的なサポートも大切になってくることがあります。

再発予防

一度良くなっても、再発することがあります。

研究では、腰の靭帯損傷は、再発率が比較的高いことが報告されています。

完全に治ってからも体幹のトレーニングを続けたり正しい姿勢を意識したりすることで再発のリスクを減らすことができます。

よくある質問

Q1: どのくらいで治りますか?

個人差はありますが、軽い損傷であれば、適切な治療を行うことで、数週間から1〜2ヶ月程度で改善することが多いといわれています。

ただし、損傷の程度や年齢、生活習慣などによって、回復にかかる時間は変わってきます。

Q2: 手術が必要になることはありますか?

スプラングバックは、基本的には保存的な治療で改善することが多いです。手術が必要になることは、非常に稀だといわれています。

Q3: スポーツや仕事にはいつ復帰できますか?

痛みの程度や職業・スポーツの種類によって異なります。

軽い症状であれば、比較的早く復帰できることもありますが、痛みが強い場合や、腰に負担の大きい動作が必要な場合は、もう少し時間がかかるかもしれません。

Q4: 日常生活で気をつけることは?

前かがみの姿勢を長く続けない、重いものを持つときは膝を曲げて持ち上げる、同じ姿勢を長時間続けないなど、腰への負担を減らす工夫が大切です。

また、適度な運動で体幹の筋肉を維持することも、再発予防につながります。

まとめ

スプラングバックは、腰の靭帯が傷つくことで起こる腰痛の一つです。

背骨の真ん中がピンポイントで痛む、前かがみで痛みが強くなるといった特徴があります。

診断には、詳しい問診と触診が大切で、適切な治療を行えば、多くの場合改善が期待できます。

治療の基本は安静と痛みのコントロール、そして適切なリハビリテーションです。

日常生活での姿勢や動作に気をつけること、体幹の筋肉を鍛えることも、予防と再発防止に役立ちます。

腰の痛みが2〜3週間以上続く場合や、日常生活に支障が出るような痛みがある場合は、早めに医療機関を受診をしましょう。

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