こんにちは!!
福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川です。
今回は【足関節捻挫に対してオステオトロンⅤ(LIPUS)と微弱電流(MCR)で治癒促進】に関して紹介していきたいと思います。
足関節捻挫をした後は、基本は安静をする事が第一の選択肢だと思います。
もちろん、それはそれで正解です。
しかし当院の考えは、そこに少し加療をしていくと損傷部位の治りを早くしていく事が出来ると考えています。
安静にして患部に負荷を掛けずに炎症を悪化させない事は、怪我をした時に最初に行う一番大切な事です。
そこに、今回紹介ているオステオトロンⅤ(LIPUS)や微弱電流(MCR)を行う事で、損傷部位の炎症が引いていくまでの過程を早めてくれたり、損傷部位の傷口が治っていく過程を早めてくれます。
もちろん動けない状態の時に無理矢理に行うものではなく、動ける状態になってから行ってく事でより早い回復を狙った施術になります。
今回は、オステオトロンⅤ(LIPUS)と微弱電流(MCR)についての説明を含めて紹介していきたいと思います。
オステオトロンⅤとは何なのか??その効果は??
オステオトロンⅤ(LIPUS)と言っても何の事なのか分からないと思います。
オステオトロンⅤとは商品名で正式には低出力パルス超音波(LIPUS:Low Intensity Pulsed Ultra Sound)という照射を行う超音波治療器になります。
超音波治療器の効果は大きく分けて《温熱効果》《非温熱効果》の二つに分けられます。
その効果の中でもオステオトロンⅤは《非温熱効果》のみを狙った超音波治療器になります。
非温熱効果の効果内容
●炎症の軽減
●疼痛の軽減
●浮腫の軽減
●軟部組織の治癒促進
●骨折に対する骨癒合促進
などが非温熱効果として期待できます。
この効果の中でもオステオトロンⅤは低出力パルス超音波によって《骨折に対する骨癒合促進》に特化した超音波治療器として知られています。
しかし、今回は紹介している症例には骨折に対してオステオトロンⅤは使用しておりません。
非温熱効果の効果内容には上記しているように他にも沢山の効果が期待できます。
そこで今回紹介している一例はオステオトロンⅤの非温熱効果(炎症の軽減・浮腫の軽減・軟部組織の治癒促進)を期待して照射しています。
オステオトロンⅤは骨折に特化した超音波治療器といわれていますが、同時に非温熱効果を狙うのにも優れた治療器といえると思います。
↓オステオトロンⅤに関してはこちらでも詳しく紹介しておりますので参考にしてみてください↓
微弱電流とは何なのか??その効果は??
微弱電流(MCR)も聞きなれないと思います。
微弱電流とは簡単にいうと、感じないくらいの弱い電気の事で、身体に常に流れている電気と同様な強さの電気の事をいいます。
身体には静止膜電位と言って常に凄く弱い電気が常に流れています。
この静止膜電位と同じ位の出力(強さ)の電気を体内に流す事で様々な効果を期待したものになります。
この静止膜電位は細胞内がマイナス電位(-)で細胞外がプラス電位(+)の状態に常に一定に保たれています。
しかし細胞に傷(損傷)が入ると細胞内からマイナス電位が細胞外へ流出し、マイナスとプラスのバランスが崩れていきます。
そこでマイナス電位の流出によって崩れたバランスの差を埋めるために、周囲からプラス電位が集まっていきます。
この現象を損傷電流といいます。
損傷電流によって集まってくるプラス電位は細胞の修復のために必要な材料を多く含んでいます。
それによって傷の修復が行われていきます。
微弱電流は、この損傷電流が起こる事を助ける働きがあり傷の修復を行いやすい環境に整えていきます。
また傷の修復には体内のエネルギー(ATP)を必要としますが、微弱電流を流す事でこのエネルギーの産生を促すともいわれています。
これらの効果により、微弱電流は損傷部位の治癒を行っていく上では効果的だと考えています。
※微弱電流に関しては文献が少なく分からない事も多いですが上記の事は証明されています
↓微弱電流に関してはこちらも合わせて参考にしてみてください↓
オステオトロンⅤ(LIPUS)と微弱電流(MCR)を使った組み合わせ
実際に当院で行った施術の一例を紹介します。
今回の症例はバレーボールをしている大学生で、足関節(前足部)を捻挫して来院されました。
患部には腫脹(腫れ)とズキズキと疼く様な炎症反応が診られ、損傷部位も前足部の関節(リスフラン関節)の靭帯を損傷していました。
- オステオトロンⅤ(LIPUS)で期待した効果
①炎症の軽減
②浮腫の軽減
③軟部組織の治癒促進 - 微弱電流(MCR)で期待した効果
①損傷部位周辺の治りやすい環境への整備
②エネルギー(ATP)の産生
これらの効果を期待して施術しています。
オステオトロンⅤと微弱電流は違う効果で、実際同時に行うと相乗効果があるかどうかは証明されておらず文献はありません。
しかし、それぞれの効果は高く損傷部位やその周辺が早く治っていくように働きかけてくれる事を期待しています。
《LIPUSで軟部組織損傷》
リスフラン関節にLIPUSを照射しています
骨折の治療器として有名ですが、軟部組織損傷の治癒促進を狙っても効果は十分あると思っています一緒にMCRを行う事で治癒促進効果を同時に狙っています#超短波 #物療好き pic.twitter.com/qorptJVliJ
— 妹川 和志 (@kazuyuki_imo) November 15, 2022
まとめ
今回は【足関節捻挫に対してオステオトロンⅤ(LIPUS)と微弱電流(MCR)で治癒促進】に関して紹介しました。
物理療法(電気療法・超音波など)は身体に対して他のエネルギーを体外から入れる事になります。
それにより様々な良い効果を発揮するのですが、使い方によっては逆に悪くする可能性もあります。
しっかりと必要な時に必要なエネルギーを与える事が出来ると、身体はいい方向に進んでいくと考えています。
杏鍼灸整骨院の妹川でした。
投稿者プロフィール
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柔道整復師
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業
陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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