こんにちは!
福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川です。
今回は【足関節捻挫後の可動域制限(底屈)に対して足関節前面への超音波アプローチ】について紹介をしていきます。
足関節の捻挫は多くの方が経験があると思います。
また、痛みが無くなった後に『足関節の動く範囲が狭くなった』『何か動きが硬く感じる』などの経験をされた方も多いと思います。
足関節の周りには筋肉や靭帯が多くあります。
これらにより、足関節の可動域制限を起こすケースが多くみられます。
今回は足関節周りの筋肉や靭帯の説明もかねて紹介していきたいと思います。
足関節の周りには何があるのか?捻挫で損傷しやすい筋肉や靭帯について
足関節捻挫を起こした場合、多くの場合は靭帯損傷をイメージする方も多いと思います。
もちろん靭帯の損傷を起こす場合が多いですが、一緒に筋肉の損傷を起こす事も多くあります。
足関節の周りには多くの筋肉や靭帯があります。
靭帯は関節可動域を越えないように制御をしたり、関節運動時に変な方向に行かないように誘導をしています。
筋肉は関節を動かすためには必要なもので、筋肉が働く事で関節が動いていきます。
また、筋肉は靭帯の補助の役割もしていて、靭帯が制御をしている方向を筋肉が収縮する事で一緒に制御しています。
そのため靭帯を損傷した場合、一緒に働いている筋肉も損傷を起こしているケースが多く起きます。
足関節周りにある靭帯で損傷を起こしやすいのは、外側靭帯損傷(前距腓靭帯・後距腓靭帯・踵腓靭帯)・内側靭帯損傷(三角靭帯)・前足部損傷(二分靭帯・リスフラン関節部の靭帯)を起こしやすいです。
その中でも足裏が内側に向くように捻ってしまう内反捻挫を起こす事が多く、内反捻挫時に外側靭帯損傷を起こす事が多いです。
靭帯損傷と同時に筋肉の損傷を起こす場合、靭帯が引き伸ばされるのと同時に筋肉も引き伸ばされて損傷をする事が多いです。
内側靭帯を損傷した場合は内側の筋肉を一緒に損傷している事が多く、外側靭帯を損傷した場合は外側の筋肉を同時に損傷している事が多いです。
足関節外側では腓骨筋、内側では後脛骨筋、前面では前脛骨筋・趾伸筋群、後面ではアキレス腱・長母趾屈筋などが損傷を起こしている事が多く、靭帯損傷を重なっているために見落とされる事も多くあります。
足関節捻挫後に可動域制限が起こる理由|大切なのは軟部組織
足関節捻挫を起こした後に、関節の可動域制限が起こる事が多くあります。
この可動域制限が残ってしまうと、炎症が引いた後にも痛み・違和感・詰まった感じなどが残こりやすいです。
では『なぜ関節可動域制限がおきるのか??』という所が疑問だと思います。
可動域制限を起こしやすい原因は《軟部組織》にあります。
軟部組織とは、関節面にある筋肉・靭帯・関節包・腱・脂肪体などの骨を除いた柔らかい組織の事をいいます。
これらの組織に問題が起きると可動域制限を起こしやすくなります。
靭帯・筋・腱の損傷に関しては損傷が治癒していくと痛みが無くなっていきます。
しかし、筋肉・腱に関しては損傷だけが問題では無く、それ以外の理由で可動域制限を起こしているケースが多いです。
靭帯損傷など急性外傷を起こした場合、直後から筋委縮といって筋肉の筋力低下と機能低下が起きていきます。
また、足関節捻挫を起こした後の処置としては固定をする事が多いですが、これによって筋や腱の伸張性の低下がみられやすくなります。
これらの理由により、筋肉・腱は損傷を起こす以外にも、筋委縮が起きたり、伸張性の低下が起きたりします。
結果、可動域制限を起こしていきます。
関節包とは関節を包んでいる袋状になっている組織です。
この組織は線維で出来ているために、損傷によって固定をしていると伸びにくくなっていきます。
また、治癒をしていく過程で癒着といって損傷部位とくっついてしまう事があるために、関節包が動きにくくなるために可動域制限を起こしてしまいます。
脂肪体とは、関節面や関節と靭帯や腱との間に存在していて、緩衝の役割や摩擦を防ぐような役割や関節の動きの補助の役割をしています。
この組織も損傷後の固定によって動きが悪くなり、関節面に挟まってしまったり動きが悪くなてしまいます。
また、関節包を同様に癒着を起こす事もあるために可動域制限を起こしていきます。
これらの理由により、軟部組織の筋肉・腱・関節包・脂肪体などにより可動域制限を起こしていきます。
足関節捻挫後の可動域制限(底屈)に対して行った施術例
今回紹介している施術例は足関節捻挫後に可動域制限(底屈)をおこした患者様に対して行った一例です。
足関節の前面には前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋が通ります。
これらの筋肉の作用は以下の通りです。
- 前脛骨筋・・・足関節の背屈(足首を上げる)
- 長母趾伸筋・・・母趾の伸展(足の親指を上げる)
- 長趾伸筋・・・2~4趾の伸展(足の示指~小指を上げる)
通常であればストレッチは筋の作用と反対の動きをすると筋肉は伸びてきます。
しかし筋肉・腱の伸張性の低下が起きている状態であれば、筋肉が通常よりも硬くなりストレッチを掛けようとしても、筋肉・腱が伸びきらず途中で止まってしまったり強く突っ張り痛く感じてしまうような状態になってしまいます。
このような状態が起きると、関節の動かす範囲にも影響し、筋肉や腱が伸びないために関節可動域制限が起きていまいます。
そこで関節可動域制限が起きている時に当院が行っているのは、超音波治療器による温熱効果を狙った施術になります。
超音波治療器の温熱効果の中に軟部組織の伸張性の増大という効果があります。
これは超音波振動により超音波が照射されている部位に温度上昇が起き温める効果と振動による細かいマッサージ効果が期待でき、その結果、軟部組織(筋肉・腱・靭帯・関節包など)が伸びやすい状態になっていくというものです。
この効果を狙って、足関節前面にある筋肉や腱に超音波を照射する事で、伸張性の低下により関節可動域制限を起こしていた部位の筋肉や腱の硬さを改善しやすくなります。
まとめ
今回は【足関節捻挫後の可動域制限(底屈)に対して足関節前面への超音波アプローチ】について紹介しました。
足関節捻挫は痛みが無くなった後にも様々な症状を残しやすいです。
その一つが関節可動域制限です。
原因は様々ありますが、しっかりと処置をする事で快方に向かって行くと思います。
杏鍼灸整骨院の妹川でした。
投稿者プロフィール
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柔道整復師
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業
陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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