こんにちは!!
福岡県筑紫野市二日市の杏鍼灸整骨院の妹川です。
今回は【アキレス腱の負荷を掛けながら運動と一緒に行う超音波の一例】について紹介していきます。
アキレス腱の痛みはよく聞くと思います。
〈アキレス腱炎〉〈アキレス腱周囲炎〉〈アキレス腱断裂〉など
アキレス腱は比較的多く起こりやすいですが、その反面、治りにくい怪我の一つだと思っています。
今回は、そのアキレス腱に関しての説明と超音波との有効性に関して紹介をしていきます。
アキレス腱とは??負荷のかかり方と治りにくい理由
アキレス腱は一番有名な腱だと思います。
ふくらはぎの踵付近にあって細くなっている部分です。
アキレス腱の由来は、ギリシャ神話だといわれています。
神話の中で登場する圧倒的な強さを誇った英雄アキレウスの唯一の弱点がアキレス腱だったとされています。
乳幼児の頃にアキレウスは、体が強くなるといわれる湖に体を浸されましたが、足首を持って逆さ吊りで湖に浸されたためにアキレス腱の部分は湖に浸る事がなかったようです。
そのため体は強いがアキレス腱だけが強くならずに弱点とされていたようです。
この事から、アキレス腱は鍛える事の出来ない弱い部分として例えられています。
実際にはアキレス腱は腱の中では太く強い方なのですが、外力によって損傷を起こしやすいという意味では弱い場所でもあります。
アキレス腱が受ける外力というのは、ふくらはぎや足底からの力が多く関わってきます。
外部から触れやすいために直接的に外力を受けて損傷を起こす場合もありますが、多くは介達外力といって他の所(ふくらはぎや足底など)からアキレス腱に負担をかけることによって損傷を起こすケースが多いです。
アキレス腱とふくらはぎ・足底との関係|負荷がかかりやすい理由
ふくらはぎとアキレス腱は密接な関係にあります。
ふくらはぎの筋肉は下腿三頭筋といいますが、下腿三頭筋は腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭・ヒラメ筋の3つに分けられます。
これらの3つの筋肉が踵に向かうにつれて合わさってアキレス腱となって踵に付着(停止)していきます。
結果、下腿三頭筋とアキレス腱は、筋線維➞腱線維に組織を変えながら一続きになっています。
そのため、アキレス腱は下腿三頭筋の影響を強く受けやすいです。
筋肉が起始部や停止部に付着する際には必ず腱に変わって付着していくために、腱は筋肉と付着部の繋ぎの役割をしています。
腱自体は伸びる組織ではないので、下腿三頭筋からの牽引が強くなるとアキレス腱にかかる負荷も増えるという事になります。
ランニングやウォーキングなどによる反復的負荷・ダッシュやジャンプなどによる腱反射による負荷など、下腿三頭筋に収縮の繰り返しや強く収縮する事でアキレス腱は強く負荷がかかっていきます。
また、足底からの影響も強く受けやすいです。
足底の筋肉は、踵の足裏側から始まって足趾の方に向かって走行していきます。
そのため足底の筋肉は踵骨を挟んで下腿三頭筋(アキレス腱)と引っ張り合っています。
下腿三頭筋の緊張が高まると、踵骨を上方に引き足底への牽引が強くなってしまいます。
逆に、足底の筋肉の緊張が高まると、踵骨を下方に引き下腿三頭筋への牽引が強くなってしまいます。
このように、踵骨を挟んで下腿三頭筋と足底の筋肉は引っ張り合っているために、足底の影響によってもアキレス腱にかかる負荷に影響が出やすくなります。
足底には問題がもう一つあり、扁平足などの足回りの形が影響してきます。
扁平足や回内足などの足の方は、足のクッションが上手く働かずに負荷が大きくなってしまいます。
また足の形の影響により、立位でアキレス腱を後方から見た時に健側と患側のアキレス腱の形の違いを診れる時もあり、この場合も負荷が変わってきます。
このように扁平足や回内足など足の形で、アキレス腱にかかる負荷の量が変わってきます。
アキレス腱が治りにくい理由
冒頭にも少し触れましたが、アキレス腱は治りにくい部位の一つだと思っています。
その理由の一つが血流です。
アキレス腱に限った事ではないですが、腱や靭帯は筋肉に比べると血流量が少ない部位になります。
損傷部位に治るための材料や栄養を血液が運んできてくれますが、腱や靭帯は血流が少ないためにそれだけ治っていくのに時間がかかってしまいます。
しかし、アキレス腱は他の腱や靭帯と比べると比較的血液量の多い方になります。
腱自体が太い事や、下腿三頭筋からの循環が行われやすい事や、パルテノンといってアキレス腱を包んでいる膜からの供給がある事などがあげられます。
それでも、筋などに比べると血液循環が少なく治りにくい事には変わりはないです。
もう一つの理由が負荷です。
怪我をした場合に安静や負荷を減らす事は鉄則ですが、アキレス腱はそれが難しい場所になります。
アキレス腱は足関節上方にあるために歩行等でも必ず負荷のかかる所です。
また、扁平足や回内足などの足の形の影響も受けやすいです。
これらの改善が行われないと仮に生活での痛みが無くなってもスポーツなど負荷のかかる事に復帰した際には『最初は良かったのに、動いているとまた痛みが出てきた』なんて事も多くみられます。
もう一つの理由が痛みの出かたです。
正直、これが一番厄介だと思っています。
アキレス腱の痛みの特徴として《朝起きて足を着いた時だけが痛い》《運動時に最初が痛くて途中から無くなる》などをよく聞きます。
これらの痛み方はアキレス腱の症状の初期~中期にかけて出やすい痛みです。
初期~中期にかけては痛みが無くなるので動く事が出来るので軽視されやすいですが、この時点で黄色信号です。
後期になって炎症がいよいよ強くなると運動時には常に痛みが出てきます。
この時にはアキレス腱の肥厚(変性)・脂肪体の炎症・パルテノンの炎症などを起こしている可能性が高くなってきます。
こうなってしまうと、アキレス腱は治りにくくなってしまいます。
これらの理由からアキレス腱は治りにくい状態に移行しやすいです。
しかし、しっかりと必要な処置をしていく事で痛みは改善していきます。
●血液循環を良くするために温める
●足の負荷を減らすために足底のケアとトレーニングを行う
●しっかりと痛みを見極めてストップ(運動の休止)をする
これらの事が大切になってきます。
超音波の効果とアキレス腱に対して運動を用いた使用例
当院ではアキレス腱に対して超音波治療器を使用する事が多いです。
その理由が超音波振動による温熱効果です。
超音波の温熱効果とは『超音波振動を与える事で細胞・組織が振動し、その摩擦や抵抗によって温度上昇を起こし、温熱による効果と振動による効果を狙ったもの』です。
また、この温熱効果は細かく様々な効果があります。
- 血流の促進
- 軟部組織(筋・腱・靭帯・関節包など)の伸張性増大
- 関節可動域の増大
- 疼痛の軽減
などが、効果として挙げられます。
また超音波は、水分が少なくて膠原(コラーゲン)線維の多く含む組織の方が温度上昇を出しやすい特徴があります。
↓↓超音波に関してはこちらに詳しく紹介しています↓↓
これらの超音波の効果や特徴はアキレス腱に凄く有効だと考えています。
アキレス腱は筋肉に比べて膠原繊維が多く、水分(血液)が少ないために温度上昇を起こしやすくなります。
温度上昇を起こす事で《血流の促進》を起こし血液量が増え、《軟部組織の伸張性増大》で腱部の伸張性が上がります。
また、筋膜は粘性(粘り気)のある組織ですが温度上昇によって粘性が下がります。
そのため、筋・腱の筋膜との滑走性の改善が温度上昇によって起こされやすいです。
今回紹介している動画は、上記のような効果を狙っています。
そこに運動を合わせる事で、より効果が高まるように考えています。
《軟部組織の伸張性増大》《筋膜の滑走改善》は運動やストレッチを一緒又は直後に行わないと効果は半減してしまいます。
そこで、アキレス腱を動かしながら照射をしています。
また、運動への復帰を考えて少し負荷を掛けながら行っています。
少しでも競技や負荷がかかる瞬間に近い形で行う事で、いざ負荷がかかった時に痛みが出にくいようにな状態に近づけています。
また靭帯や腱は損傷部位が治っていく時に、負荷がある事でより強く治ろうとしていきます。
《アキレス腱の超音波》
陸上のハードルをしています
走りの中で痛みが出る動作に近い形で照射しています
患部(アキレス腱)を動かしながら照射する事で伸張性も出しやすくなり滑走性も改善されやすいと思います内外側両方から照射して反対に当てている手に温度上昇を感じます#超音波 #物療好き pic.twitter.com/tSD3SdsfCQ
— 妹川 和志 (@kazuyuki_imo) August 24, 2022
まとめ
今回は【アキレス腱の負荷を掛けながら運動と一緒に行う超音波の一例】について紹介しました。
アキレス腱は起こりやすいケガではありますが、その反面治りにくい怪我でもあります。
痛みが出始めた最初の時点でしっかりと適切な処置が出来る事で、長引かずに早い段階で治っていく事も多いです。
また競技復帰をした際など、動き出すとまた痛みが出てくる事が多いのもアキレス腱の特徴です。
アキレス腱に対して負荷を掛けている要因をしっかりと改善させていかないと、なかなか上手くいかない事も多いです。
アキレス腱の痛みを簡単に考えていると、治りにくい状況になってしまうケースも多いので気を付けてください。
杏鍼灸整骨院の妹川でした。
投稿者プロフィール
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柔道整復師
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業
陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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