野球肘とは|福岡県筑紫野市二日市杏鍼灸整骨院

「ボールを投げると肘が痛い」「投球後に肘が腫れる」こんな症状に心当たりはありませんか?

野球をしているお子さんや選手の方々にとって肘の痛みは決して軽く見てはいけない大切なサインかもしれません。

今回は野球肘について最新の医学研究に基づいた情報をできるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

野球肘ってどんな怪我なの?

野球肘の基本的な説明

野球肘というのは、実は一つの怪我の名前ではないんです。

野球などでボールを投げる動作を繰り返すことで起こる肘のさまざまな障害をまとめた呼び名なんですね。

投球動作では肘に想像以上に大きな力がかかっています。

その力が繰り返し加わることで、骨や軟骨、靭帯、筋肉などが少しずつダメージを受けていくのです。

特に成長期のお子さんは骨や軟骨がまだ完全に成長しきっていないため大人よりも野球肘になりやすいといわれています。

実は、小学生の野球選手の約4人に1人が、1年間で野球肘を経験しているという研究報告もあるんですよ。

どれくらいの人が野球肘になっているの?

医学的な調査によると成長期の野球選手では肘の痛みを経験したことがある人が50%を超えるという報告があります。

つまり、2人に1人以上が何らかの肘の問題を抱えたことがあるということになりますね。

また、全国各地で行われている野球肘検診では超音波検査で調べると痛みがなくても肘に異常が見つかることがあります。

特に「離断性骨軟骨炎」という状態は、検診を受けた小学生の約2〜4%に見つかっているんです。

野球肘の種類について知っておきましょう

野球肘は痛みが出る場所によって大きく3つのタイプに分けられます。

それぞれ原因も治療法も異なるのでまずはどのタイプなのかを知ることが大切になってきます。

1. 内側型野球肘(肘の内側が痛むタイプ)

内側型は、野球肘の中で最も多いタイプで、全体の約90%を占めるといわれています。

どんな仕組みで起こるの?

ボールを投げるとき特に腕を前に振り出す瞬間、肘の内側には強い引っ張る力がかかります。この力が繰り返し加わることで肘の内側にある靭帯や筋肉、骨の付着部分が傷ついてしまうんです。

具体的な病態

内側側副靭帯損傷 肘の内側で関節を支えている靭帯が、繰り返しの投球によって部分的に傷んだり、変性したりする状態です。高校生以上の選手に多く見られます。プロ野球選手でも悩まされることが多い障害で、場合によっては手術が必要になることもあります。

内側上顆障害 肘の内側の出っ張り部分を「内側上顆」といいますが、ここに筋肉や靭帯が付いています。投球動作で繰り返し引っ張られることで、この部分が傷ついたり、炎症を起こしたりします。小学生から中学生に多く見られる状態です。

内側上顆裂離骨折 投球時に内側上顆の骨が、筋肉に引っ張られて剥がれてしまう状態です。ある一球を投げた瞬間に、急に強い痛みが出ることが特徴的です。

症状の特徴

投球時やその後に肘の内側に痛みを感じます。初期のうちは投球をやめると痛みが引くことが多いので、つい我慢して投げ続けてしまうことがあるんですが、これは要注意です。症状が進むと、日常生活での動作でも痛みを感じるようになることがあります。

治療について

軽度から中等度の場合は、2〜4週間程度の投球中止で改善することが多いとされています。ただし、靭帯の損傷が重度の場合や、骨が大きくずれている場合には、手術が必要になることもあります。

2. 外側型野球肘(肘の外側が痛むタイプ)

外側型は内側型に比べると発生頻度は少ないのですが、実は最も注意が必要なタイプなんです。

どんな仕組みで起こるの?

投球動作の中で、肘の外側では上腕骨と橈骨という2つの骨が繰り返しぶつかり合います。この圧迫や捻りの力が繰り返されることで、骨や軟骨がダメージを受けてしまうのです。

離断性骨軟骨炎(OCD)という状態

外側型野球肘の代表的なものが、「離断性骨軟骨炎」です。これは英語で「Osteochondritis Dissecans」といい、頭文字をとって「OCD」と呼ばれることもあります。

この状態では肘の外側にある上腕骨小頭という部分の骨と軟骨が血流不足などによって徐々に傷んでいきます。

進行すると骨や軟骨が剥がれて、関節の中で遊離体(関節ねずみ)になってしまうことがあるんです。

特に注意が必要な理由

離断性骨軟骨炎が厄介なのは初期には痛みなどの症状がほとんど出ないことです。

そのため「沈黙の障害」とも呼ばれています。

症状が出たときにはすでに骨や軟骨が剥がれかけていて手術が必要な状態になっていることもあります。

また、治療に時間がかかることも特徴です。

早期に見つかれば投球を中止するだけで治ることが多いのですが進行してしまうと半年から1年以上の投球禁止が必要になることもあります。

最悪の場合適切な治療を受けないと将来的に肘の変形や動きの制限が残ってしまう可能性もあるんです。

年齢との関係

離断性骨軟骨炎は特に小学校高学年から中学生の時期に発生しやすいことが分かっています。

10歳前後の野球選手では、約2〜4%の頻度で見つかるという報告があります。

治療について

初期の場合 早期に発見できれば約90%は投球を中止して安静にすることで治るといわれています。

ただし、完全に治るまでには、数ヶ月から1年程度かかることもあります。

進行している場合 骨や軟骨が剥がれてしまっている場合には、手術が必要になることがあります。手術方法としては、骨に小さな穴を開けて血流を促す「ドリリング」や、膝などから採取した骨軟骨を移植する「骨軟骨柱移植術」などがあります。

3. 後方型野球肘(肘の後ろが痛むタイプ)

どんな仕組みで起こるの?

投球動作で腕を振り抜くとき肘の後ろ側では肘頭という骨が上腕骨の窪みに繰り返しぶつかります。

この衝突によって骨や軟骨が傷ついたり骨棘(骨のとげ)ができたりします。

具体的な病態

肘頭疲労骨折 繰り返しのストレスで肘頭に細かいひびが入ってしまう状態です。

骨棘形成 繰り返しの衝突によって骨の表面に新しい骨ができてとげのように出っ張ってしまう状態です。これが関節の動きを妨げることがあります。

症状と治療

投球時や肘を伸ばしたときに後ろ側に痛みを感じます。
治療は基本的に投球を中止して安静にすることですが骨棘が大きくなって関節の動きを妨げている場合には、手術で取り除くこともあります。

野球肘の原因を理解しましょう

投球による繰り返しの負荷

最も大きな原因はやはり投げすぎです。

医学的には「オーバーユース(使いすぎ症候群)」といいます。

投球動作では肘に体重の何倍もの力がかかっているといわれています。

この大きな力が繰り返し加わることで少しずつ組織が傷んでいくのです。

研究によると日本臨床スポーツ医学会では小学生の場合は1日50球程度を投球数の目安としています。

この数字を大幅に超えて投げ続けると、野球肘のリスクが高まることが分かっています。

特に成長期のお子さんの場合、骨や関節がまだ発達途中ですので、無理は禁物です。「もっと投げたい」という気持ちはわかりますが、将来のためにも、適切な量を守ることが大切です。

年齢・学年区分1日の投球数上限連投の制限・注意点
小学1~3年生50球以内原則連投は避ける/投球フォーム習得期
小学4~5年生70球以内2日連続登板は要注意
小学6年生80球以内連投は極力回避、肩肘の違和感は即中止
中学1年生90球以内翌日は投球禁止 or 軽め調整
中学2年生100球以内連投時は球数を大幅に減らす
中学3年生110球以内連投・完投は慎重に判断

主に 全日本軟式野球連盟(JSBB)系のガイドラインをベースに作った球数制限表ですがあくまでこれは「1日の球数」です。試合の中だけの球数じゃないことを知っておくのは重要です。

成長期特有の身体的特徴

早稲田大学の研究によると成長期の選手には特有の身体的特徴があることが分かってきました。

成長期の子どもは前腕や手の部分が体に対して相対的に重くなる時期があります。

特に12〜13歳頃にピークを迎えるそうです。

この時期は、腕の遠い部分が重いためにどうしても「手投げ」のような動作になりやすく肘への負担が増えてしまうんですね。

つまり成長期の子どもたちは身体の成長そのものが野球肘のリスクを高める要因になっているということなんです。

投球フォームの問題

正しい投球フォームでは下半身から体幹、肩、肘、手首へと順番に力が伝わっていきます。

しかし、フォームに問題があると肘に過剰な負担がかかってしまいます。

例えば、

  • 肩甲骨の動きが悪い
  • 体幹の回転が不十分
  • 股関節の柔軟性が低い

といった全身の問題が、結果的に肘への負担を増やしてしまうことがあるんです。

柔軟性の低下

肘周りの筋肉や、肩、股関節などの柔軟性が低下していると投球時の力を全身でうまく分散できなくなります。

その結果、肘に集中的に負担がかかってしまうことがあります。

研究でも、筋肉や関節が硬い選手ほど野球肘を発症しやすいことが報告されています。

症状から早期発見につなげましょう

こんな症状があったら要注意

野球肘の症状は、最初は軽いものから始まることが多いです。以下のような症状があったら、早めに専門機関を受診することをおすすめします。

初期の症状

  • 投球時に肘が痛む(投げるのをやめると痛みが引く)
  • 投球後に肘に違和感がある
  • 肘の特定の部分を押すと痛い
  • 全力で投げると痛みが強くなる

進行した症状

  • 安静にしていても肘が痛む
  • 肘が完全に伸びない、曲がらない
  • 肘が腫れている
  • 肘に力が入らない
  • 急に肘が動かなくなる(関節ねずみが挟まった場合)

特に離断性骨軟骨炎の注意点

離断性骨軟骨炎は先ほどもお伝えしたように初期には痛みがないことが多いんです。

そのため定期的な検診がとても大切になります。

以下のような変化があったら痛みがなくても一度検査を受けることをおすすめします。

  • 以前より肘の伸びが悪くなった
  • 投球のコントロールが悪くなった
  • なんとなく肘に違和感がある
  • 投球後に肘が疲れやすい

診断方法について

問診と身体診察

まず詳しくお話を聞きます。いつから痛いのか、どんなときに痛むのか、どれくらい投球しているのかなど、丁寧に確認していきます。

その後、実際に肘を触って痛みがある場所を確認したり肘の曲げ伸ばしの範囲を調べたりします。

また肘に特別な力を加えてどこが傷んでいるかを確認する検査(ストレステスト)も行います。

画像検査(医師による)

レントゲン検査 基本的な検査として、必ず行われます。野球肘では、通常の正面と側面だけでなく、肘を45度曲げた状態での撮影も追加されることが多いです。この角度で撮ることで、より詳しく骨の状態を確認できるんです。

レントゲンでは、骨の変形や欠損、骨片の分離などを確認できます。

超音波検査(エコー検査) 最近では、野球肘検診でも広く使われるようになってきました。レントゲンでは分からない初期の軟骨の変化や、靭帯の損傷を見つけることができます。

また、検査に時間がかからず体への負担もないためスクリーニング検査として適しています。

MRI検査 より詳しい検査が必要な場合に行われます。骨や軟骨の状態、靭帯の損傷の程度などを非常に詳しく確認できます。特に離断性骨軟骨炎では、病気の進行度を正確に判断するために重要な検査です。

CT検査 骨の状態をより立体的に詳しく見る必要がある場合に行われます。手術が必要かどうかの判断や手術の計画を立てるときに役立ちます。

治療法について詳しく知りましょう

保存療法(手術をしない治療)

多くの場合、まずは手術をしない治療から始めます。

投球の中止と安静

これが最も基本的で最も重要な治療になります。

傷んだ組織を回復させるためにはまず負担をかけないことが必要なんですね。

投球中止の期間は、病態によって異なります。

  • 軽度の内側型:2〜4週間程度
  • 中等度の内側型:1〜3ヶ月程度
  • 初期の離断性骨軟骨炎:3ヶ月〜1年程度
  • 進行した離断性骨軟骨炎:場合によっては手術が必要

ただし、投球は中止しても野球を完全にやめる必要はないことが多いです。肘に負担がかからない範囲で、バッティング練習や守備練習、ランニングなどは続けられることがあります。

リハビリテーション

投球を中止している間も、ただ休んでいるだけではありません。積極的にリハビリを行うことが、早期復帰と再発予防につながります。

ストレッチ 肘周りだけでなく、肩、肩甲骨、体幹、股関節など、全身の柔軟性を高めることが大切です。研究によると、ストレッチは1回20秒程度行うのが最も効果的で、週に2回以上行うことが推奨されています。

筋力トレーニング 特に前腕の屈筋群(肘を曲げる筋肉)の強化が重要です。また、肩甲骨周りの筋肉を鍛えることで、投球時の肘への負担を減らすことができます。

投球フォームの見直し 指導者と一緒に投球フォームをチェックして肘に負担がかかりにくいフォームを身につけていきます。

PRP療法(再生医療)

最近注目されている治療法の一つです。患者さん自身の血液から、組織の修復を助ける成分を取り出して、傷んだ部分に注射する方法です。特に内側側副靭帯の損傷に対して行われることがあります。

手術療法

保存療法で改善しない場合や、最初から手術が必要と判断される場合には、手術を行います。

内側型野球肘の手術

靭帯再建術(トミージョン手術) 内側側副靭帯が完全に断裂している場合などに行われます。手首の腱を採取して、傷んだ靭帯の代わりに移植する方法です。

1974年にアメリカの整形外科医フランク・ジョーブ医師によって考案され、最初に手術を受けた投手の名前から「トミージョン手術」と呼ばれています。

復帰までには通常1年以上かかりますが、プロ野球選手など、高いレベルでの競技継続を希望する場合に選択されることがあります。

外側型野球肘(離断性骨軟骨炎)の手術

関節鏡視下手術 最近では小さな傷で行える関節鏡を使った手術が主流になっています。

傷が小さいため、術後の回復が早くリハビリもスムーズに進められます。

具体的な方法としては、

ドリリング(骨穿孔術) 傷んだ部分に細い穴を開けて、骨髄からの血流を促し、軟骨の修復を促す方法です。比較的軽度の場合に選択されます。

骨釘固定術 剥がれかけた骨軟骨片を、骨で作った釘や吸収性のピンで固定する方法です。まだ骨軟骨片の状態が良い場合に行われます。

骨軟骨柱移植術 骨軟骨片の状態が悪く、修復が難しい場合に行われます。膝の関節から、使用されていない部分の骨軟骨を円柱状に採取して、肘の欠損部分に移植します。採取した膝に関しては、これまで問題が起きた報告はほとんどないそうです。

病巣郭清術 すでに骨軟骨片が完全に剥がれて遊離体になっている場合、これを取り除き、関節面を滑らかに整える手術です。

術後のリハビリと復帰時期

手術方法や病態によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • ドリリング:術後3〜4ヶ月で投球再開
  • 骨釘固定術:術後4〜6ヶ月で投球再開
  • 骨軟骨柱移植術:術後6〜9ヶ月で投球再開
  • 靭帯再建術:術後12ヶ月以上で投球再開

予防が何より大切です

野球肘は適切な予防によって発症のリスクを大きく減らすことができます。

投球数の管理

これが最も基本的で、最も重要な予防法です。

日本臨床スポーツ医学会の提言では、以下のような目安が示されています。

  • 小学生:1日50球以下
  • 中学生:1日70球以下
  • 高校生:1日100球以下

また、週に2日以上は完全休養日を設けることが推奨されています。連投も避けるべきとされています。

実際にはこの基準を超えて投げている選手も多いのが現状ですが指導者や保護者の方々の理解と協力が必要ですね。

十分なウォーミングアップとクールダウン

ウォーミングアップ 投球前には、全身の筋肉を温め、関節の可動域を広げることが大切です。特に肩、肩甲骨、体幹、股関節などを丁寧にストレッチしましょう。

クールダウン 投球後は、使った筋肉をストレッチして、疲労回復を促します。特に前腕の筋肉をしっかり伸ばすことが重要です。

日常的なストレッチ

練習がない日でも、定期的にストレッチを行うことが予防につながります。

研究によると、ストレッチは週に2回以上行えば効果があることが分かっています。毎日できれば理想的ですが、週に2回でも続けることが大切なんですね。

おすすめのストレッチ

前腕のストレッチ

  1. 腕をまっすぐ前に伸ばします
  2. 手のひらを下に向けて、手首を起こします
  3. 反対の手で指先を体の方に引き寄せます
  4. 20秒キープします
  5. 同じように手のひらを上に向けても行います

肩甲骨のストレッチ

  1. 指先を肩に添えます
  2. 肘で大きな円を描くように回します
  3. 前回し10回、後ろ回し10回行います

体幹のストレッチ 体を左右にひねる動作を、ゆっくり丁寧に行います。これにより、投球時の体幹の回転がスムーズになります。

筋力トレーニング

肘周りだけでなく、肩甲骨周り、体幹、下半身の筋力を強化することが、肘への負担軽減につながります。

ただし、成長期の子どもの場合は、過度な筋力トレーニングは逆効果になることもあります。専門家の指導のもとで、適切な強度で行うことが大切です。

正しい投球フォームの習得

正しいフォームを身につけることは予防の基本です。

理想的な投球フォームでは、

  1. 下半身で生み出した力が
  2. 体幹を通って
  3. 肩、肘へと伝わり
  4. 最後に指先からボールへ伝わります

この連鎖がスムーズに行われることで、肘への負担を最小限にできます。

専門的な指導を受けることも、とても有効ですね。

定期的な検診

全国各地で、少年野球検診や野球肘検診が行われています。超音波検査を使って、痛みが出る前の段階で異常を見つけることができます。

研究によると、定期的な検診を受けることで、

  • 早期発見・早期治療が可能になる
  • 指導者の意識が変わり、投球数管理が改善される
  • 重症化を防ぐことができる

といった効果があることが分かっています。

機会があればぜひ積極的に受けることをおすすめします。

十分な休養と栄養

睡眠 成長期の子どもにとって、睡眠は骨や筋肉の成長、疲労回復に欠かせません。十分な睡眠時間を確保することが大切です。

栄養 バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、

  • たんぱく質(筋肉の材料)
  • カルシウム(骨を強くする)
  • ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)

などを意識して摂取することが推奨されています。

野球肘になってしまったら

まず何をすべきか

肘に痛みや違和感を感じたら、すぐに以下のことを行いましょう。

  1. 投球を中止する 痛みを我慢して投げ続けるのは絶対に避けてください。症状が悪化する可能性があります。
  2. アイシング 投球後は、氷や保冷剤で15〜20分程度、肘を冷やします。これにより、炎症を抑えることができます。
  3. 整形外科を受診する 自己判断せず、なるべく早く専門医の診察を受けましょう。できれば、スポーツ整形外科や野球肘に詳しい医療機関を選ぶとよいでしょう。

治療中の過ごし方

投球を中止している間も、できることはたくさんあります。

野球を続ける工夫

  • バッティング練習(肘に痛みが出ない範囲で)
  • 守備練習
  • ランニング
  • 下半身のトレーニング
  • 野球に関する勉強(ルール、戦術など)

このように野球から完全に離れるのではなくできることを続けることでモチベーションを保つことができます。

全身のコンディショニング 投球を休んでいる間に、全身の柔軟性や筋力を高めることで、復帰後の再発予防につながります。

段階的な復帰

許可が出たら段階的に投球を再開していきます。急に全力投球から始めるのではなく、

  1. 軽いキャッチボール
  2. 距離を伸ばしていく
  3. 投球数を増やしていく
  4. 強度を上げていく

というように、少しずつステップアップしていくことが大切です。

よくある質問

Q1. バッティングは続けてもいいの?

肘の状態によります。相談して、痛みが出ない範囲であれば続けられることが多いです。ただし、バッティングでも肘に負担がかかるため痛みが出る場合は中止する必要があります。

Q2. 野球肘は完治するの?

多くの場合適切な治療を受ければ完治します。ただし、離断性骨軟骨炎が進行してしまった場合など、完全には元に戻らないこともあります。だからこそ、早期発見・早期治療が大切なんです。

Q3. 野球以外のスポーツでも起こるの?

はい、起こります。テニス、やり投げ、バレーボール、体操など、腕を使うスポーツで同じような障害が起こることがあります。

Q4. 大人になっても野球肘になるの?

成人でも野球肘は起こります。ただし、成長期とは傷む場所が異なることが多く、主に内側側副靭帯の損傷が中心になります。

Q5. 手術をすると元のように投げられるの?

手術方法や病態、リハビリの状況によって異なりますが、

多くの場合適切な治療とリハビリによって競技復帰が可能です。実際、プロ野球選手でも手術後に活躍している選手は多くいます。

まとめ

野球肘は適切な予防と早期発見・早期治療によって、多くの場合は克服できる障害です。

大切なポイントをまとめると、

  1. 予防が何より重要
    • 投球数の管理
    • 十分な休養
    • 日常的なストレッチ
    • 正しいフォームの習得
  2. 早期発見のために
    • 定期的な検診を受ける
    • 痛みや違和感を見逃さない
    • すぐに投球を中止する
  3. 適切な治療
    • 自己判断せず、専門医を受診
    • 医師の指示に従った治療
    • 焦らず段階的に復帰
  4. 全身のバランスが大切
    • 肘だけでなく、全身のケア
    • 柔軟性と筋力のバランス
    • 成長期の身体的特徴を理解

野球を長く楽しむためには、肘を大切にすることが欠かせません。少しでも「おかしいな」と思ったら早めに専門家に相談です。

また指導者の方々や保護者の方々も、選手の体を守るために、投球数の管理や定期的な検診の重要性をご理解いただければと思います。

医学研究も日々進歩していて、診断方法や治療法も改善されてきています。早期に適切な対応をすれば、多くの選手が野球を続けられるようになってきているんです。

この記事が、野球肘に悩む選手の皆さんや、そのご家族、指導者の方々の参考になれば幸いです。


参考文献

  1. 日本整形外科学会「野球肘」
  2. 慶應義塾大学病院KOMPAS「野球肘」
  3. 江戸川病院スポーツ医学科「野球肘:離断性骨軟骨炎」
  4. 早稲田大学スポーツ科学研究センター「成長期特有の身体的特徴は投動作パターンと肘関節にかかる負荷の双方に影響を与える」
  5. 関節外科「野球肘の画像診断」(2025年)

※この記事は医学的な情報提供を目的としたものです。実際の診断や治療については、必ず医療機関を受診して、医師の指示に従ってください。

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