アキレス腱のリハビリ「アルフレッドソンプロトコル」とは?|福岡県筑紫野市二日市

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こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。

「朝起きて一歩目を踏み出したとき、アキレス腱がズキッと痛む」 「ランニング中にかかとの少し上が痛くて走れない」

こんな経験はありませんか?

アキレス腱の痛みはスポーツをされている方だけでなく日常生活でも起こりうる身近な症状です。

そしてこの痛みに悩む多くの方々に効果が期待できる治療法として世界中で注目されているのが「アルフレッドソンプロトコル(Alfredson Protocol)」です。

今回はこのアルフレッドソンプロトコルについて分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

目次

アキレス腱症(アキレス腱炎)ってどんな病気

まずアキレス腱症について簡単にご説明しますね。

アキレス腱はふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ太い腱です。

人間の体の中で最も強い腱なのですが、歩く、走る、ジャンプするといった動作のたびに大きな力がかかるため実は痛めやすい部分でもあるんです。

アキレス腱症の主な症状

  • アキレス腱の中央部分(かかとから2〜6センチくらい上)が痛む
  • 朝起きたときや運動開始時に特に痛みを感じる
  • 腱が腫れたり、触ると痛みがある
  • 運動を続けていると痛みが少し和らぐことがある

なぜアキレス腱症になるの?

主な原因としては以下のようなものが考えられています。

繰り返しの負担
ランニングやジャンプなど同じ動作を繰り返すことでアキレス腱に負担が積み重なります。特に、急に運動量を増やしたり、練習を休まずに続けたりすると起こりやすいとされています。

加齢による変化
40歳を過ぎるとアキレス腱の柔軟性が徐々に失われていくことが分かっています。これにより、運動をしていなくても痛みが出ることがあるんです。

体の構造的な問題
扁平足やハイアーチなど、足の形によってアキレス腱に余計な負担がかかることもあります。

アキレス腱症の「正体」

最近の研究で分かってきたことですがアキレス腱症は従来考えられていたような「炎症」だけの問題ではないことが明らかになっています。

実はアキレス腱の中で「余計な血管」や「神経線維」が増えてしまうことが痛みの主な原因だと考えられているんです。

研究によると炎症を抑える薬だけでは効果が限定的なことが多く、むしろ腱そのものを強くしていく運動療法が重要だということが分かってきました。


アルフレッドソンプロトコルとは?

誕生の背景

アルフレッドソンプロトコルは1998年にスウェーデンの整形外科医ハカン・アルフレッドソン先生が開発した運動療法プログラムです。

それまでのアキレス腱症の治療は「安静にする」「炎症を抑える」といった方法が中心でしたがアルフレッドソン先生は「エキセントリック運動」という特殊なトレーニングに注目しました。

最初の研究ではアキレス腱症に悩む15人のスポーツ選手全員がこのプロトコルによって以前のスポーツ活動レベルに戻ることができたと報告されています。

この画期的な結果によりアルフレッドソンプロトコルは世界中に広まっていきました。

「エキセントリック運動(遠心性収縮)」って何?

少し難しい言葉ですがとても大切な概念なのでできるだけ分かりやすくご説明しますね。

筋肉の収縮には、主に2つのタイプがあります。

コンセントリック収縮(求心性収縮)
筋肉が縮みながら力を発揮する動き。例えば、つま先立ちでかかとを上げる動きです。

エキセントリック収縮(遠心性収縮)
筋肉が伸びながら力を発揮する動き。

例えばつま先立ちの状態からゆっくりとかかとを下ろしていく動きです。

アルフレッドソンプロトコルで重視されるのはこの「エキセントリック収縮」なんです。

なぜかというと、ランニングの着地やジャンプの着地などスポーツの場面では筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する動作が非常に多いからです。

なぜエキセントリック運動が効くの?

研究から分かっている効果のメカニズムをご紹介します。

腱の強度が高まる
エキセントリック運動によってアキレス腱にコントロールされた負荷がかかります。

これにより、腱が徐々に強く、硬くなっていくことが分かっています。12週間のトレーニングで腱の剛性(硬さ)が改善するという研究報告があります。

余計な血管が減る
先ほどお話しした「余計な血管」ですがエキセントリック運動を続けることでこの異常な血管への血流が遮断され、血管が減少していくことが実証されています。

血管が減れば一緒に増えていた神経線維も減り痛みが改善すると考えられています。

腱の組織が整う
繰り返しのコントロールされた負荷により乱れていた腱の組織構造が整理され修復されていくという仮説もあります。

アルフレッドソンプロトコルの実践方法

基本のプログラム

アルフレッドソンプロトコルはとてもシンプルな2つのエクササイズから成り立っています。

エクササイズ1:膝を伸ばしたまま行うヒールドロップ

準備

  1. 階段や段差の端に、痛みのある足のつま先(足の前3分の1程度)をかけて立ちます
  2. 反対側の足は地面から浮かせておきます
  3. 手すりや壁に手を添えて、バランスを取ります

動作

  1. 膝をまっすぐ伸ばしたまま、痛みのある足だけでつま先立ちをします
  2. そこから、ゆっくりと3秒くらいかけて、かかとを段差よりも下まで下ろしていきます
  3. かかとが十分に下がったら、反対側の足も使って元の位置に戻ります
  4. 動作を繰り返します

回数
15回 × 3セット

エクササイズ2:膝を曲げて行うヒールドロップ

準備

  1. エクササイズ1と同じ位置に立ちます

動作

  1. 膝を軽く曲げた状態で、つま先立ちをします
  2. 膝を曲げたまま、ゆっくりとかかとを段差よりも下まで下ろしていきます
  3. 反対側の足も使って元の位置に戻ります
  4. 動作を繰り返します

回数
15回 × 3セット

1日のスケジュール

  • エクササイズ1(15回×3セット):朝
  • エクササイズ2(15回×3セット):朝
  • エクササイズ1(15回×3セット):夕方または夜
  • エクササイズ2(15回×3セット):夕方または夜

合計:1日180回

期間

12週間(約3ヶ月)毎日続けることが推奨されています。

重要なポイント

痛みがあっても続ける
このプログラムの特徴的な点は「多少の痛みがあっても続ける」ということです。

ただし我慢できないほどの強い痛みや日常生活に支障が出るような痛みの場合は中止しましょう。

ゆっくり下ろす
かかとを下ろす動作は必ず「ゆっくり」行ってください。

これがエキセントリック運動の効果を最大限に引き出すポイントです。

負荷を徐々に増やす
慣れてきたらリ軽く重りをもつなど徐々に負荷を増やしてしきましょう。

痛い方の足だけ
エキセントリック動作(かかとを下ろす動作)は痛みのある足だけで行いますが元の位置に戻るときは両足を使って構いません。

研究で証明された効果

アルフレッドソンプロトコルは数多くの科学的研究によってその効果が検証されています。

短期的な効果(3〜6ヶ月)

2014年に発表された研究では6週間のアルフレッドソンプロトコルにより患者さんの痛みや身体機能を評価する「VISA-Aスコア」が統計的に有意に改善したことが報告されています。

また1日180回という多い回数をこなせない方のために、「できる範囲でやる」グループと比較した研究も行われました。

その結果、回数が少なくても同様の改善が見られたことが分かっています。

つまり完璧に180回こなせなくても効果は期待できるということです。

長期的な効果(5年後)

2012年に発表された5年間の追跡調査ではアルフレッドソンプロトコルを実施した患者さんのVISA-Aスコアが開始時の平均49.2点から5年後には83.6点まで改善したことが報告されています。

約40%の患者さんが完全に痛みがなくなり多くの方が長期的に良好な状態を維持できているという結果でした。

他の治療法との比較

アルフレッドソンプロトコルは衝撃波治療や低レベルレーザー治療など他の治療法と比較する研究も数多く行われています。

2022年のメタアナリシス(複数の研究結果をまとめて分析する方法)ではエキセントリック運動だけでも十分な効果があり他の物理療法を追加しても大きな違いはないという結果が出ています。

つまりアルフレッドソンプロトコルはアキレス腱症に対する治療の「第一選択」として推奨されるということです。

よくある質問(Q&A)

Q1:痛みがあるのに運動を続けても大丈夫ですか?

A:アルフレッドソンプロトコルでは「我慢できる程度の痛み」であれば運動を続けることが推奨されています。

実はこの「適度な痛みの範囲での運動」が余計な血管を減らして治療効果をもたらすと考えられているんです。

ただし痛みがあまりにも強い場合や日常生活に支障が出るような痛みの場合は無理をせず相談してください。

Q2:どのくらいの期間で効果が出ますか?

A:個人差はありますが多くの研究では6週間から12週間で効果が現れることが報告されています。早い方では2〜3週間で痛みの軽減を感じることもあります。

ただし長期的な改善のためには少なくとも12週間は続けることが推奨されています。

焦らず、じっくりと取り組むことが大切です。

Q3:スポーツはいつから再開できますか?

A:痛みの程度によりますが一般的には痛みが10段階評価で2以下になるまでは高負荷の運動は控えた方が良いとされています。

段階的な復帰が推奨されておりまずは軽いジョギングから始めて徐々にスピードや距離を伸ばしていくという方法が安全です。

Q4:両足が痛い場合はどうすればいいですか?

A:両足に症状がある場合は片足ずつ同じプログラムを行います。

両足同時に行うのは難しいのでまずは症状が強い方の足から始めてある程度改善してからもう片方も開始するという方法が現実的かもしれません。

Q5:180回は多すぎて時間がかかります。減らしても大丈夫ですか?

A:2014年の研究では「できる範囲で行う」グループでも標準的な180回のグループと同様の改善が見られたことが報告されています。

完璧を目指すよりも、継続すること」の方が大切です。まずは無理のない回数から始めて、徐々に増やしていく方法でも十分に効果が期待できます。

Q6:エクササイズ以外に何かできることはありますか?

A:以下のようなことを併せて行うとより効果的だと考えられています。

  • アキレス腱とふくらはぎのストレッチ
  • アキレス腱周辺の優しいマッサージ(特にカッピングなどの牽引的なアプローチ)
  • 足首の可動域を広げるエクササイズ
  • 適切なインソール(足底板)の使用
  • ヒールリフト(かかとを少し高くするもの)の使用

Q7:高齢でもできますか?

A:年齢制限は特にありません。研究では18歳から70歳まで幅広い年齢層で効果が確認されています。

ただし高齢の方や運動習慣がなかった方はまず少ない回数から始めて徐々に増やしていくことが大切です。

またバランスを崩して転倒しないよう必ず手すりや壁につかまって行ってください。

Q8:妊娠中でもできますか?

A:妊娠中のアキレス腱症の治療については個別の判断が必要です。

必ず産婦人科医と整形外科医の両方に相談してから開始してください。

一般的には妊娠中期以降はバランスを崩しやすくなるため転倒のリスクがあるエクササイズは避けた方が良いとされています。

Q9:効果がない場合は、どうすればいいですか?

A:18ヶ月以上保存療法(運動療法や薬物療法など、手術をしない治療)を続けても効果がない場合は、手術を検討することもあります。

また、アルフレッドソンプロトコルが効かない場合、他の疾患が隠れている可能性もあります。例えば、足底腱膜炎や腱付着部の問題などです。効果が感じられない場合はご相談ください。

まとめ

アルフレッドソンプロトコルはアキレス腱症に対する科学的根拠のある効果的な治療法です。

ポイントをまとめますと:

  1. エキセントリック運動が核心
    筋肉を伸ばしながら力を発揮する運動が、腱を強くし、余計な血管を減らす
  2. 基本は1日180回、12週間
    ただし、完璧にこなせなくても継続することが大切
  3. 多少の痛みがあっても続ける
    我慢できる範囲の痛みであれば、むしろ治療効果につながる
  4. 長期的な効果が期待できる
    5年後も良好な状態を維持している方が多い
  5. 他の治療との併用も可能
    ストレッチやマッサージなどを併せて行うことでより効果的

アキレス腱の痛みは日常生活やスポーツ活動に大きな影響を与えますが正しい知識と継続的な努力によって改善できる可能性が高い症状です。

アルフレッドソンプロトコルは、特別な器具も必要なく、自宅でできるシンプルな運動療法です。しかも効果がかなり高い事が立証されている方法です。ただきちんとやらないと効果が出ない事もあります。

最後までご覧くださりありがとうございました!

杏鍼灸整骨院の陣内由彦でした。

また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。

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注意事項
この記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の症状に対する診断や治療を保証するものではありません。アキレス腱に痛みや違和感がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門家の診断と指導を受けてください。

参考文献

  • Alfredson H, et al. Heavy-load eccentric calf muscle training for the treatment of chronic Achilles tendinosis. Am J Sports Med. 1998
  • Stevens M, Tan CW. Effectiveness of the Alfredson protocol compared with a lower repetition-volume protocol for midportion Achilles tendinopathy: a randomized controlled trial. J Orthop Sports Phys Ther. 2014
  • De Jonge S, et al. A 5-year follow-up study of Alfredson’s heel-drop exercise programme in chronic midportion Achilles tendinopathy. Br J Sports Med. 2011
  • Arora NK, et al. Physical therapy with eccentric exercises is no better than eccentric exercises alone in the management of chronic Achilles tendinopathy: A systematic review and meta-analysis. Foot. 2022

投稿者プロフィール

陣内由彦
陣内由彦柔道整復師、鍼灸師
院長  柔道整復師  鍼灸師

福岡医健専門学校卒業

株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。

陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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