疲労骨折とは?早く治すために知ろう|福岡県筑紫野市二日市の杏鍼灸整骨院

スポーツをされている方や日常的に運動をされている方の中には「なんだか最近、同じ場所が痛むな」と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

もしかしたら、それは疲労骨折のサインかもしれません。

疲労骨折は一度の大きな衝撃で起こる通常の骨折とは違い繰り返しの負荷によって少しずつ骨にダメージが蓄積されて起こる骨折です。

今回は疲労骨折について研究データなどに基づきながらできるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

そもそも疲労骨折とは何か

疲労骨折は英語で「stress fracture」と呼ばれています。

骨に繰り返し小さな力が加わることで骨の修復が追いつかなくなり最終的に小さなひびが入ってしまう状態を指します。

私たちの骨は日々の活動の中で微細な損傷を受けていますが通常は休息を取ることで自然に修復されていきます。

しかし、休息が十分に取れなかったり過度なトレーニングを続けたりすると骨の修復が損傷に追いつかず疲労骨折が発生してしまうことがあるのです。

研究によると疲労骨折はアスリートの方々に多く見られ特に長距離ランナーの方では全体の約20%もの方が経験すると報告されているものもあります。

また、海外の論文データによると軍隊の新兵訓練中にも比較的多く発生することが知られています。

疲労骨折が起こる仕組み

骨は常に「破壊」と「再生」を繰り返しています。

これを「骨のリモデリング」と呼びます。

運動をすると骨には小さなストレスがかかり古い骨が少しずつ壊されます。

そして休息期間中に新しい骨の細胞が作られて修復されていくのです。

ところがトレーニングの量が急に増えたり休息が不足したりすると骨の破壊のスピードが再生のスピードを上回ってしまいます。

この状態が続くと、骨の一部に小さなひびが入り、疲労骨折へと進展していく可能性があります。

医学研究では、このプロセスは大きく三つの段階に分けられるとされています。

第一段階では骨に微細な損傷が蓄積し、第二段階では骨の表面に小さなひびが生じ始め、第三段階で完全な骨折へと進行します。

早期に発見できれば、第一段階や第二段階で治療を開始できる可能性があります。

※疲労骨折では完全に骨折する事は稀ですが「疲労骨折」なら大丈夫と甘くみると大変な事態を引き起こしてしまう事もあります。

どんな人に起こりやすいのか

疲労骨折は、特定の条件や状況下で起こりやすいことが分かっています。

スポーツ選手

特に陸上競技、バスケットボール、バレーボール、サッカーなど走ったりジャンプしたりする動作が多いスポーツをされている方に多く見られます。

研究では、長距離ランナーの方に最も多く発生すると報告されています。

女性アスリート

女性の方、特に若い女性アスリートの方は男性と比べて疲労骨折のリスクが高いことが知られています。

これは、月経不順や栄養不足、骨密度の低下といった要因が関係していると考えられています。

医学界では「女性アスリートの三主徴」という概念がありこれは①利用可能エネルギー不足、②運動性月経機能異常、③骨密度低下の三つを指します。

これらが重なると、疲労骨折のリスクが高まる可能性があるとされています。

トレーニング方法の変更

急にトレーニングの量を増やしたり新しいスポーツを始めたりした時も疲労骨折が起こりやすくなります。

体がまだ新しい負荷に適応していない状態で無理をすると、骨への負担が大きくなってしまうのです。

このせいで初心者病などという間違った見解もしていた時代があったようです。

その他のリスク要因

栄養不足、特にカルシウムやビタミンDが不足している方、喫煙習慣のある方、過去に疲労骨折の経験がある方なども、リスクが高まる可能性があると研究で示されています。

疲労骨折が起こりやすい部位

疲労骨折は体のさまざまな部位に発生しますが、特に起こりやすい場所があります。ここでは、代表的な部位をご紹介します。

脛骨(けいこつ/すねの骨)

疲労骨折の中で最も多いのが、脛骨の疲労骨折です。すねの内側に起こることが多く、ランニングをされる方に特によく見られます。研究によると、疲労骨折全体の約20〜75%が脛骨に発生するとされています。

中足骨(ちゅうそくこつ/足の甲の骨)

足の甲にある五本の細長い骨を中足骨と言います。特に第二中足骨と第三中足骨に疲労骨折が起こりやすく、「行軍骨折」という別名もあります。これは、軍隊の長距離行軍中に発生しやすかったことから名付けられました。

腓骨(ひこつ/ふくらはぎの外側の骨)

ふくらはぎの外側にある細い骨で、ランナーやジャンプ動作の多いスポーツをされる方に起こりやすい部位です。

大腿骨(だいたいこつ/太ももの骨)

大腿骨の疲労骨折は、骨の首の部分(大腿骨頸部)や骨幹部に起こることがあります。特に大腿骨頸部の疲労骨折は、完全骨折に進行するリスクがあるため、注意が必要とされています。

肋骨(あばら骨)

意外かもしれませんが、肋骨にも疲労骨折は起こります。特にゴルフやボート競技、野球の投球動作などで発生することがあります。

腰椎(ようつい/腰の骨)

腰椎の後方部分、特に腰椎分離症として知られる状態は、実は疲労骨折の一種と考えられています。体操選手やバレーボール選手など、腰を反らす動作が多いスポーツで起こりやすいとされています。

舟状骨(しゅうじょうこつ/足首の骨)

足首の内側にある小さな骨で、診断が難しく、見逃されやすい部位です。治りにくい疲労骨折の一つとして知られています。

種子骨(しゅしこつ/親指の付け根の骨)

足の親指の付け根にある小さな骨で、バレエダンサーやバスケットボール選手に起こりやすいとされています。

仙骨(せんこつ/骨盤の中心の骨)

骨盤の後方の中心にある三角の骨で、陸上長距離ランナーなどに起きやすいとされています。

疲労骨折の症状

疲労骨折の症状は、通常の骨折とは少し異なります。

初期の症状

最初は、運動中や運動後に特定の部位に痛みを感じる程度かもしれません。

この段階では、休むと痛みが和らぐことが多いため、「ちょっとした筋肉痛かな」と思われる方も少なくありません。

進行した場合の症状

状態が進むと、痛みが徐々に強くなり、運動を始めてすぐに痛みを感じるようになります。

さらに進行すると、日常生活の中でも痛みを感じるようになり、歩くだけで痛むこともあります。

研究によると、疲労骨折の典型的な症状としては、以下のようなものが報告されています。

  • 局所的な圧痛(押すと痛む)
  • 運動によって悪化する痛み
  • 休息によって改善する痛み(初期)
  • 腫れや熱感を伴うこともある

重要なのは、痛みを我慢して運動を続けないことです。

早期に適切な対処をすれば、回復も早くなる可能性があります。

診断方法

疲労骨折の診断には、いくつかの方法があります。

問診と身体診察

まず、医師は症状がいつから始まったか、どのような運動をしているか、どのような時に痛むかなどを詳しく聞きます。そして、痛む部位を実際に触診して、圧痛があるかどうかを確認します。

X線検査(レントゲン)

最も一般的な検査方法ですが、実は疲労骨折の初期段階では、X線写真に異常が写らないことが多いのです。研究によると、疲労骨折が発生してから2〜3週間経たないと、X線で確認できないこともあるとされています。

MRI検査(磁気共鳴画像検査)

MRI検査は、疲労骨折の早期発見に非常に有用とされています。骨の内部の変化や周囲の軟部組織の状態まで詳しく観察できるため、X線では分からない初期の疲労骨折も見つけることができます。

CT検査(コンピュータ断層撮影)

骨の詳細な構造を立体的に観察できるため、疲労骨折の程度や位置を正確に把握するのに役立ちます。

骨シンチグラフィー

特殊な検査薬を使って、骨の代謝が活発になっている部位を見つける検査です。疲労骨折の早期発見に有効とされていますが、現在ではMRI検査が優先されることが多くなっています。

治療方法

疲労骨折の治療の基本は、まず「休息」です。骨が自然に治癒するための時間を与えることが最も重要とされています。

安静と活動制限

痛みを感じる活動を中止し、骨に負担をかけないようにすることが第一歩です。研究では、完全に運動を休止する期間は、疲労骨折の部位や程度によって異なりますが、通常は6〜8週間程度とされています。

ただし、完全に動かないということではなく、骨に負担がかからない範囲での活動は続けることが推奨される場合もあります。例えば、下肢の疲労骨折の場合、水泳や自転車こぎなど、体重がかからない運動は許可されることがあります。

補助具の使用

部位によっては、ギプスや装具、松葉杖などを使用することがあります。特に大腿骨頸部や舟状骨など、治りにくい部位や完全骨折のリスクがある部位では、しっかりとした固定が必要になることもあります。

栄養管理

骨の治癒には適切な栄養が欠かせません。カルシウム、ビタミンD、タンパク質などを十分に摂取することが大切です。研究では、ビタミンDの血中濃度が低い方は、疲労骨折のリスクが高いことが示されています。

女性アスリートの方で月経不順がある場合は、エネルギー摂取量が不足している可能性があります。栄養士さんと相談しながら、適切な食事内容を検討することも重要かもしれません。

薬物療法

痛みが強い場合は、痛み止めのお薬が処方されることがあります。ただし、一部の痛み止め(NSAIDs)は骨の治癒を遅らせる可能性があるという研究もあるため、医師の指示に従って使用することが大切です。

手術療法

ほとんどの疲労骨折は保存的治療(手術をしない治療)で治りますが、以下のような場合には手術が検討されることもあります。

  • 大腿骨頸部の疲労骨折で完全骨折のリスクが高い場合
  • 保存的治療で治らない場合
  • 早期復帰を希望するアスリートの場合(一部の疲労骨折)

LIPUSという選択肢

近年、骨の回復を積極的にサポートする「LIPUS(ライプス)」という治療法が注目を集めています。

LIPUSって何ですか?

LIPUSとは「低出力パルス超音波」という治療法のことです。正式には「Low Intensity Pulsed Ultrasound」といい、その頭文字をとってLIPUSと呼ばれています。

簡単に言えば、体に優しい弱い超音波を、骨折した部分に当てる治療です。この超音波は耳には聞こえませんが、1秒間に数万回という細かな振動として骨に届き、骨が新しく作られるのを促してくれます。

治療はとてもシンプルで、1日20分ほど、専用の機器を骨折部位に当てるだけ。ピリピリした感じや痛みもほとんどなく、骨折を固定したギプスの上から穴をあければ治療できるのが特徴です。

研究で明らかになった効果

LIPUSの効果については、さまざまな研究が行われてきました。

動物実験では、ラットを使った研究で骨密度や骨の強度が良くなることが確認されています。また、人間の手首の骨折を対象とした研究では、LIPUSを使ったグループは使わなかったグループより骨がくっつくまでの日数が短くなったことが示されています。

1983年には、ウサギを使った実験で骨折の治りが促進されることが初めて報告され、それをもとにアメリカで治療機器が開発されました。日本では1998年から保険診療として使えるようになり、現在では多くの医療機関で導入されています。

どのくらい早く治るの?

多くの臨床報告によると、LIPUSを使うことで骨がくっつくまでの期間が約40%短くなる可能性があることが実証されています。

たとえば、通常であれば50日かかる骨折の場合、約30日程度で骨がくっつく可能性があるということです。ただし、これはあくまでも一つの目安で、骨折の種類や部位、患者さんの年齢や健康状態によって効果は異なります。

杏鍼灸整骨院でも取り入れていますが骨折に行うためには医師の同意が必要となります。

これは当院だけではなく日本中の整骨院、接骨院で骨折の施術を受けるためには必要な手順となります。

復帰までの道のり

疲労骨折から競技復帰するまでには、段階的なプロセスが大切とされています。

段階的な運動復帰

急に元のトレーニング量に戻すのではなく、少しずつ負荷を増やしていくことが重要です。研究では、「10%ルール」という考え方が提唱されており、これは週あたりのトレーニング量を前週の10%以上増やさないという原則です。

一般的な復帰プログラムの例としては、以下のような流れが考えられます。

  1. 痛みがなくなるまで完全休養
  2. 水中歩行や自転車など、負担の少ない運動から開始
  3. 平地でのウォーキング
  4. 軽いジョギング
  5. ランニング
  6. スポーツ特有の動作
  7. 完全復帰

各段階で痛みが出ないことを確認しながら、次のステップに進んでいきます。

リハビリテーション

杏鍼灸整骨院ではリハビリテーションなども行っています。復帰には筋力トレーニングや柔軟性の改善、バランストレーニングなどを行うことも大切です。疲労骨折の原因となった体の使い方や筋力のアンバランスを改善することで、再発予防につながる可能性があります。

予防方法

疲労骨折を予防するためには、いくつかのポイントがあります。

トレーニングの管理

急激にトレーニング量を増やさないことが重要です。前述の「10%ルール」を意識して、徐々に負荷を上げていくことが推奨されています。

また、同じ動作ばかりを繰り返さず、クロストレーニング(複数の種類の運動を組み合わせる)を取り入れることも有効とされています。

適切な休息

休息日を設けることは、骨の修復にとって非常に重要です。「休むことも練習のうち」という考え方を持つことが大切かもしれません。

栄養の確保

十分なカロリー摂取と、カルシウム、ビタミンD、タンパク質などの栄養素をバランスよく摂ることが推奨されています。

研究では、成人の場合、1日あたりカルシウム1000〜1300mg、ビタミンD 600〜800IUの摂取が推奨されています。日光に当たることでビタミンDは体内で作られますが、日照時間が少ない地域や季節では、食事やサプリメントでの補給が必要になることもあります。

適切なシューズと環境

運動する際は、クッション性の良いシューズを選び、できれば硬いコンクリートよりも土や芝生の上で運動することが望ましいとされています。

シューズは定期的に交換することも大切です。研究によると、ランニングシューズは500〜800キロメートル走ると、クッション性が低下すると言われています。

定期的なメディカルチェック

特に女性アスリートの方は、定期的に月経の状態や骨密度をチェックすることも予防につながる可能性があります。月経不順がある場合は、早めに医師に相談することが大切です。

フォームの改善

走り方や動作のフォームを改善することで、特定の部位への負担を減らすことができる場合があります。専門のコーチや理学療法士さんに相談してみることも一つの方法かもしれません。

女性アスリートと疲労骨折

女性アスリートの方は、男性と比べて疲労骨折のリスクが高いことが多くの研究で示されています。

女性アスリートの三主徴

先ほども触れましたが、「女性アスリートの三主徴」は以下の三つから成り立っています。

  1. 利用可能エネルギー不足:運動で消費するエネルギーに対して、食事からの摂取が不足している状態
  2. 運動性月経機能異常:無月経や月経不順
  3. 骨密度低下:骨がもろくなっている状態

これらは互いに関連しており、一つが起こると他の二つも起こりやすくなります。そして、骨密度が低下すると、疲労骨折のリスクが高まってしまうのです。

対策

適切なエネルギー摂取を心がけ、月経が3か月以上止まっている場合は、必ず医師に相談することが大切です。場合によっては、ホルモン療法や栄養指導が必要になることもあります。

疲労骨折と間違えやすい症状

疲労骨折と似た症状を示す病気もあります。

シンスプリント

脛骨の内側に沿って痛みが出る症状で、疲労骨折の前段階とも言われています。ランナーに多く見られ、「脛骨過労性骨膜炎」とも呼ばれます。

コンパートメント症候群

運動中に筋肉の圧力が高まり、痛みやしびれが出る状態です。休むと症状が改善するのが特徴です。

腱炎や筋肉の炎症

腱や筋肉の炎症でも、疲労骨折と似たような痛みが出ることがあります。

正確な診断のためには、やはり医療機関を受診することが大切です。

疲労骨折の予後

疲労骨折の予後は、一般的には良好とされています。

治癒期間

部位や程度によって異なりますが、多くの場合、6〜8週間程度で骨は治癒に向かうとされています。ただし、完全に元のトレーニングレベルに戻るまでには、さらに時間がかかることもあります。

治りにくい疲労骨折としては、以下のような部位が知られています。

  • 大腿骨頸部
  • 舟状骨
  • 第五中足骨の基部
  • 脛骨の前面

これらの部位では血流が少なかったり繰り返しストレスがかかりやすかったりするため治癒に時間がかかることがあります。

再発のリスク

一度疲労骨折を起こした方は、再発のリスクが高いという研究結果があります。そのため、原因となった要因を改善し、予防策をしっかり実践することが大切です。

よくある質問

疲労骨折と通常の骨折の違いは何ですか?

通常の骨折は、一度の大きな力(転倒や衝突など)によって骨が折れる状態です。一方、疲労骨折は、小さな力が繰り返し加わることで、徐々に骨にダメージが蓄積して起こる骨折です。

疲労骨折でもギプスは必要ですか?

部位や程度によって異なります。多くの場合は、単に運動を休むだけで治ることもありますが、治りにくい部位や完全骨折のリスクがある場合は、ギプスや装具が必要になることもあります。

どのくらいで運動に復帰できますか?

これも部位や程度によって大きく異なりますが、一般的には6〜8週間の休養後、段階的にトレーニングを再開していくことが多いようです。完全復帰までには、数か月かかることもあります。

痛みがなくなれば運動を再開してもいいですか?

痛みがなくなっても、骨の治癒が完全に終わっているとは限りません。

必ず医師の許可を得てから、段階的に運動を再開することが大切です。

疲労骨折は予防できますか?

完全に予防することは難しいかもしれませんが、適切なトレーニング計画、十分な休息、バランスの取れた栄養摂取などによって、リスクを減らすことは可能と考えられています。

まとめ

疲労骨折は、適切に対処すれば治る病気です。しかし、無理をして運動を続けると、完全骨折に進行したり、治りが遅くなったりする可能性があります。

少し痛いけど、我慢すれば大丈夫」と思わずに、早めに医療機関を受診することが大切です。

特に、以下のような症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

  • 運動中や運動後に特定の部位が繰り返し痛む
  • 痛みが徐々に強くなってきている
  • 日常生活でも痛みを感じるようになった
  • 押すと強く痛む場所がある

スポーツを楽しむためには体からのサインに耳を傾け無理をしないことが何より大切だと考えています。

疲労骨折は「オーバートレーニング症候群」の一つとも言われており、体が「休みが必要です」と教えてくれているサインとも考えられます。