
こんにちは!筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。
今回はラジオ波という機器の血流促進に対する効果の可能性をご紹介していきたいと思います。
皆さんは「ラジオ波」という治療法をご存知でしょうか。整骨院や整形外科、スポーツのリハビリテーションの現場で使われることがある電気治療の一種です。
ラジオ波治療は、体の外から高周波の電流を流すことで、体の中から熱を作り出し、組織の修復を助けるとされる治療法です。
今回は、スイスの研究チームが行った研究をもとに、ラジオ波治療が実際に血液の流れにどのような影響を与える可能性があるのかを、わかりやすくご紹介したいと思います。
ラジオ波治療ってどんな治療法?

ラジオ波治療は、300~500キロヘルツという高周波の電気エネルギーを使います。この電気を体に流すことで、体の深い部分に熱を発生させるのが特徴です。
従来の温熱療法、たとえばホットパックや赤外線などは、体の表面から温めるものでした。それに対してラジオ波治療は、体の中から熱を作り出すため、深い部分の組織まで効果的に温めることができると考えられています。
ラジオ波治療には主に2つのモードがあります:
1. RETモード(抵抗式)
金属製の電極を直接皮膚に当てて使用します。このモードでは、電気エネルギーが体の深い部分、つまり骨や靭帯といった、水分が少なく抵抗の高い組織に届きやすいとされています。
2. CETモード(コンデンサー式)
セラミックでコーティングされた電極を使用します。こちらは比較的浅い部分、つまり皮膚や筋肉、脂肪組織といった、水分が多く電気を通しやすい組織に作用すると言われています。
研究ではどんなことを調べたの?

今回ご紹介する研究は、スイスの南スイス応用科学芸術大学の研究チームによって行われました。この研究では、健康な成人10名(男性6名、女性4名、平均年齢約36歳)を対象に、ラジオ波治療が実際に血液の流れや皮膚の温度にどのような影響を与えるかを詳しく調べています。
研究に参加した方々は、それぞれ3回の実験に参加しました:
- 1回目:RETモード(抵抗式)での治療
- 2回目:CETモード(コンデンサー式)での治療
- 3回目:偽の治療(プラセボ)—機械のスイッチを入れずに、治療と同じ動作だけを行う
各治療は8分間、前腕に対して行われました。治療の前後で、以下の項目を測定しています:
- 皮膚の血流:レーザースペックルコントラストイメージング(LSCI)という特殊な機器を使用
- 筋肉内の血流:超音波検査(パワードップラー法)を使用
- 皮膚の温度:赤外線サーモグラフィーを使用
- 心拍数と血圧:全身の循環状態を確認するため
これらの測定は、治療の直後、2分後、10分後の3つの時点で行われました。
研究でわかったことは?

研究の結果、いくつか興味深いことがわかりました:
1. 皮膚の血流について
**RETモード(抵抗式)**では、偽の治療と比べて、皮膚の血流が平均で約23%増加する傾向が見られました。これは統計的にも意味のある変化だったとのことです。
一方、**CETモード(コンデンサー式)**では、予想に反して皮膚の血流がわずかに減少する傾向が見られました。この結果については、研究者たちも驚いていて、さらなる調査が必要だと述べています。
2. 筋肉内の血流について
**RETモード(抵抗式)**では、前腕の上部(肘に近い部分)で、治療後10分経過した時点で筋肉内の血流が増加する傾向が確認されました。ただし、前腕の下部(手首に近い部分)では明確な変化は見られませんでした。
**CETモード(コンデンサー式)**では、筋肉内の血流に統計的に意味のある変化は見られませんでした。
3. 皮膚の温度について
**RETモード(抵抗式)**では、治療後に皮膚の温度が平均で約2.8度上昇しました。これは偽の治療と比べて明らかな違いでした。
興味深いことに、**CETモード(コンデンサー式)**では皮膚温度の大きな変化は見られませんでした。つまり、抵抗式モードは深い部分を温めながらも、表面温度はそれほど上がらないという特性があると考えられます。
4. 全身への影響について
心拍数や血圧には、どのモードでも大きな変化は見られませんでした。このことから、テカール療法の効果は全身的なものではなく、治療した部分だけに現れる「局所的な効果」である可能性が高いと研究者たちは考えています。
結果をどう考えればいい?

この研究から、いくつかの重要なポイントが見えてきます:
ラジオ波治療は血流を改善する可能性がある
特にRETモード(抵抗式)では、皮膚と筋肉の両方で血流が増える傾向が確認されました。血流が良くなることで、酸素や栄養が組織に届きやすくなり、老廃物も流れやすくなると考えられます。これが、痛みの軽減や組織の修復を助ける可能性があります。
深い部分を温めながら表面温度は適度に保たれる
RETモード(抵抗式)では、深い部分の血流を増やしながらも、皮膚表面の温度上昇は適度に抑えられていました。これは患者さんにとって快適で、やけどのリスクも低いという利点があります。
2つのモードには異なる特性がある
CETモード(コンデンサー式)とRETモード(抵抗式)では、効果の現れ方が違うことがわかりました。治療する部位や目的に応じて、モードを使い分けることが大切だと言えそうです。
効果は治療した部分に限定される
全身の血圧や心拍数には変化がなかったことから、ラジオ波治療の効果は治療した場所だけに現れる「局所効果」であると考えられます。これは安全性という点では良いニュースです。
他の研究からわかっていること
ラジオ波治療についての研究は、まだそれほど多くありませんが、いくつかの研究で効果が報告されています。
腰痛への効果
イタリアで行われた研究では、慢性的な腰痛を持つ患者さんにラジオ波治療を行ったところ、痛みの軽減と機能の改善が見られたという報告があります。
温熱効果の持続
イギリスの研究チームによる別の研究では、ラジオ波治療によって筋肉の温度が上昇し、その効果が治療後もしばらく続くことが確認されています。
スポーツ選手への応用
筋肉の疲労回復や柔軟性の向上、運動パフォーマンスの改善に役立つ可能性が指摘されています。
ただし、これらの研究も規模が小さかったり、研究の質にばらつきがあったりするため、さらに大規模で質の高い研究が必要だというのが専門家の間での共通認識です。
どんな人に向いている可能性がある?

現時点での研究を総合すると、ラジオ波治療は以下のような症状に対して試してみる価値があるかもしれません:
- 筋肉の慢性的な痛み
- スポーツによる怪我の回復期
- 変形性関節症による痛み
- 慢性的な腰痛や首の痛み
- 筋肉のこわばりや緊張
ただし、以下のような方は使用できない場合があります:
- 妊娠中の方(特にお腹や骨盤周り)
- ペースメーカーなどの電子機器を体内に入れている方
- がんの治療中の方
- 血栓症や静脈瘤のある方
- 感染症や発熱のある方
- 皮膚に傷や炎症がある方
- てんかんのある方
必ず専門の医療従事者に相談してから治療を受けるようにしてください。
まとめ
今回ご紹介した研究では、ラジオ波治療、特にRETモード(抵抗式)が血流を改善する可能性があることが示されました。これは、この治療法が痛みの軽減や組織の修復を助ける仕組みの一つを説明するものとして興味深い結果です。
ラジオ波治療は、従来の温熱療法と比べて、深い部分まで効果的に熱を届けられる可能性があり、しかも表面温度の過度な上昇を抑えられるという利点があります。これは患者さんにとって快適で安全な治療になる可能性を示しています。
参考文献
- Clijsen R, Leoni D, Schneebeli A, et al. Does the Application of Tecar Therapy Affect Temperature and Perfusion of Skin and Muscle Microcirculation? A Pilot Feasibility Study on Healthy Subjects. J Altern Complement Med. 2020;26(2):147-153.
- Kumaran B, Watson T. Thermal build-up, decay and retention responses to local therapeutic application of 448 kHz capacitive resistive monopolar radiofrequency: A prospective randomised crossover study in healthy adults. Int J Hyperthermia. 2015;31(8):883-895.
- Notarnicola A, Maccagnano G, Gallone MF, et al. Short term efficacy of capacitive-resistive diathermy therapy in patients with low back pain: A prospective randomized controlled trial. J Biol Regul Homeost Agents. 2017;31(2):509-515.
- Osti R, Pari C, Salvatori G, Massari L. Tri-length laser therapy associated to tecar therapy in the treatment of low-back pain in adults: A preliminary report of a prospective case series. Lasers Med Sci. 2015;30(1):407-412.
- Rabini A, Piazzini DB, Bertolini C, et al. Effects of local microwave diathermy on shoulder pain and function in patients with rotator cuff tendinopathy in comparison to subacromial corticosteroid injections: A single-blind randomized trial. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(4):363-370.
- Laufer Y, Dar G. Effectiveness of thermal and athermal short-wave diathermy for the management of knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis. Osteoarthritis Cartilage. 2012;20(9):957-966.
- 最新のTECARセラピー研究レビュー:TECAR Therapy: A Clinical Commentary on its Evolution, Application, and Future in Rehabilitation. 2024年発表の文献より
投稿者プロフィール

- 柔道整復師、鍼灸師
-
院長 柔道整復師 鍼灸師
福岡医健専門学校卒業
株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。
陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
最新の投稿
お知らせ2025年11月29日ラジオ波治療は血流を改善する可能性がある?最新研究からわかること
鍼灸治療2025年11月28日五十肩と鍼治療:科学的な研究から見えてくること
施術2025年11月27日動けないときも筋肉を守れる?電気刺激(NMES)がもたらす新しい可能性
施術2025年11月26日微弱電流の治療効果:体に優しい最新電気治療のお話


