女性アスリートの腰痛とラジオ波治療について

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こんにちは!筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。

今回は頭痛に対する鍼灸の効果の可能性をご紹介していきたいと思います。

スポーツをされている女性の方で、腰の痛みに悩まれている方は少なくありません。

実は、腰痛はスポーツをする方にとって最も一般的な悩みの一つとされており、特に女性アスリートでは男性よりも発生率が高いという報告があります。

今回は、2024年に発表された研究論文をもとに、ラジオ波という治療法が女性アスリートの腰痛にどのような効果をもたらす可能性があるのかについて、わかりやすくご紹介したいと思います。

目次

腰痛を抱える女性アスリートの腰の筋肉について

腰には「多裂筋(たれつきん)」と「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」という重要な筋肉があります。これらの筋肉は、背骨を支え、体を動かすときに重要な役割を果たしています。

研究によると、腰痛がある女性アスリートの方や、以前に腰痛を経験したことがある方では、これらの腰の筋肉が硬くなっている傾向が見られるようです。特に、体を前に曲げたときに多裂筋が硬くなりやすいことがわかっています。

筋肉が硬くなるということは、筋肉の弾力性が失われて、伸び縮みがしにくくなっている状態だと考えられています。このような状態が続くと、腰に負担がかかりやすくなり、痛みが生じやすくなる可能性があります。

ラジオ波治療とは

ラジオ波治療は、300~500キロヘルツという周波数の電気エネルギーを使って、体の深い部分に熱を届ける治療法です。日本では「ラジオ波」という呼び方が親しまれています。

この治療法には、いくつかの特徴があります。

まず、体の表面だけでなく、深い部分の組織まで温めることができる点です。ホットパックのような温熱療法は主に皮膚の表面を温めますが、ラジオ波はもっと深い筋肉の層まで熱を届けることができるとされています。

また、ラジオ波は従来の電気治療と比べて、過度な発熱を起こしにくいという安全性の面での利点も報告されています。

研究の内容

今回ご紹介する研究では、腰痛を抱えている女性の大学生アスリート20名を対象に、以下の3つの治療を異なる日に受けてもらい、その効果を比較しました。

  1. ラジオ波治療
  2. ホットパック(温熱パック)
  3. 偽のラジオ波治療(機械は作動させるが、実際には電気を流さない)

それぞれの治療の間には2日以上の間隔を空けて、前の治療の影響が残らないように配慮されていました。

治療の効果は、超音波の特殊な機器を使って、腰の筋肉の硬さを測定することで評価されました。測定は、うつ伏せで安静にしている状態と、座って体を少し前に曲げた状態(筋肉が伸ばされた状態)の両方で行われました。

研究の結果

研究の結果、ラジオ波治療には腰の筋肉、特に多裂筋の硬さを和らげる効果が見られました。

具体的には、体を前に曲げた状態(筋肉が伸ばされた状態)で測定したとき、ラジオ波治療を受けた直後に、多裂筋の硬さが有意に低下していたことが確認されました。偽のラジオ波治療と比べても、明らかな違いが見られたのです。

一方で、ホットパックによる治療では、このような筋肉の硬さの変化は見られませんでした。

なぜラジオ波で筋肉が柔らかくなるのか

研究者たちは、ラジオ波治療がなぜ筋肉を柔らかくするのか、いくつかの可能性を考えています。

一つは、熱による効果です。ラジオ波によって深部の組織が3〜4度ほど温度上昇することで、筋肉や腱を構成するコラーゲン線維という繊維が伸びやすくなる可能性があるとされています。

また、血流の改善も関係しているかもしれません。ラジオ波治療によって血流が良くなることで、自律神経のバランスが変化し、筋肉がリラックスしやすくなる可能性が考えられています。具体的には、体をリラックスさせる副交感神経の働きが高まることで、筋肉の緊張が和らぐのではないかと推測されています。

他の研究からわかること

ラジオ波治療に関する他の研究も、いくつか興味深い結果を報告しています。

ある研究では、ラジオ波治療を運動療法と組み合わせることで、慢性的な腰痛の軽減により効果的である可能性が示されています。また、別の研究では、膝の変形性関節症の患者さんの痛みや機能の改善に役立つ可能性も報告されています。

ラジオ波治療の生理学的な効果を調べた研究では、血流の増加や組織の柔軟性の向上、皮膚温度の上昇といった変化が確認されており、これらが治療効果につながっている可能性があります。

女性アスリートの腰痛について

女性アスリートが腰痛になりやすい背景には、スポーツによる繰り返しの動作や、体幹の筋力、柔軟性などが関係していると考えられています。

腰痛の原因は様々で、筋肉や靭帯の損傷、椎間板の問題、疲労骨折など、多岐にわたります。また、ハムストリング(太ももの裏の筋肉)の柔軟性が低下していることも、腰痛と関連がある可能性が指摘されています。

治療法としては、理学療法、運動療法、ストレッチング、筋力トレーニング、温熱療法など、様々な方法が用いられています。ラジオ波治療は、こうした治療法の選択肢の一つとして、補助的に活用できる可能性があります。

まとめ

今回ご紹介した研究から、ラジオ波治療が女性アスリートの腰の筋肉、特に多裂筋の硬さを短期的に和らげる効果がある可能性が示されました。

ただし、この効果は治療直後の一時的なものである可能性があり、長期的な効果や実際の痛みの改善については、まだ十分に確認されていません。

腰痛の治療には、個々の患者さんの状態に応じた適切なアプローチが必要です。ラジオ波治療は、運動療法や他の理学療法と組み合わせることで、より効果的になる可能性があります。

またなにか怪我に関してやテーピング方法など疑問がある方は気軽にご相談ください。


参考文献

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※本記事は医学研究論文の内容をわかりやすく解説したものです。治療法の選択については必ず医療専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

陣内由彦
陣内由彦柔道整復師、鍼灸師
院長  柔道整復師  鍼灸師

福岡医健専門学校卒業

株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。

陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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