膝蓋腱(靭帯)に狙った超音波|大腿四頭筋のストレッチと一緒に行う理由

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こんにちは!!

福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川(いもかわ)です。

今回は【膝蓋腱(靭帯)を狙った超音波|大腿四頭筋のストレッチを一緒に行う理由】に関して紹介します。

膝の痛みはたくさん種類があります。

内側の痛みや外側の痛み、膝蓋骨の上部や下部の痛みなどそれぞれ痛みがある所で損傷している場所が違ってきます。

今回紹介している例は膝蓋骨の下部の痛みになります。

これは大腿四頭筋が関連している事が多いので、その筋と合わせてアプローチをしています。

今回は膝の痛みの場所に関してと膝蓋腱と大腿四頭筋に関しての紹介と、そこに対して超音波の有効性に関して説明をしていきたいと思います。

目次

膝の痛みに関して|痛みの場所と損傷が考えられる部位

膝の周りには痛みを起こす部位が沢山あり、膝の痛みといっても部位によって損傷している組織は色々あります。

それぞれで痛みの原因となっている組織が違うので、まずは痛みの部位と確認してどの組織損傷が考えられるのかを知っておくことが大切です。

自分の感じている痛みと損傷部位を知る事で、そこに対する対策を行えるようになってきます。

膝の痛みは大きく下の図のように分ける事が出来ます。

①大腿四頭筋腱炎
②腸脛靭帯炎(ランナーズニー)・外側側副靭帯損傷
③膝蓋骨骨折・有痛性分裂膝蓋骨
④タナ障害
⑤内側側副靭帯損傷
⑥外側半月板損傷・変形性膝関節症
⑦内側半月板損傷・変形性膝関節症
⑧膝蓋腱(靭帯)炎(ジャンパーズニー)・膝蓋下脂肪体炎
⑨鵞足炎
⑩オスグッドシュラッター病

他にもありますが、膝周りの痛みで大きく分けてこれくらいはあります。

そこで自分の痛みが何なのかをしっかりと知っておく事で、対処の方法が全然違ってきます。

痛みに合わせた対処を行う事で、その後の改善を起こしやすくなりますし、痛みが無くなった先では予防にもなります。

自分の痛みを知る事はとても大切です。

ますは、痛みの場所を確認してどの組織を痛めている可能性があるのかを知っていきましょう。

膝蓋靭帯(腱)と大腿四頭筋の関係

先ほどの《膝の痛みの部位と損傷が考えられる組織》の中で、⑧膝蓋腱炎があります。

今回紹介している超音波の使用例では、膝蓋腱に対して超音波を照射しています。

他の部位もそうですが、痛みが出ている部位は、痛みを出している部位以外からの影響を受けて痛みを出している事が多くあります。

膝蓋腱もその一つです。

膝蓋腱は大腿四頭筋からの影響を強く受けます。

膝蓋腱の説明も含めて、大腿四頭筋に関して少し知っていきましょう。

大腿四頭筋は太ももの前面の筋肉で、見えているほとんどがこの筋肉です。

また、大腿四頭筋は名前の通り4つの筋肉が合わさって1つになっていきます。

大腿直筋中間広筋内側広筋外側広筋があり、それぞれが違う所から始まって、膝に向かうにつれて合わさり脛骨(膝下の骨)に付着していきます。

《大腿四頭筋》

起始:下前腸骨棘(大腿直筋)・大腿骨体前面(中間広筋)・大腿骨粗線内側唇(内側広筋)
大腿骨粗線外側唇(外側広筋)


停止:筋は合わさり膝蓋骨に付着し膝蓋骨から膝蓋靭帯(腱)を経て脛骨粗面に付着

作用:膝関節伸展・大腿直筋のみ膝関節伸展と股関節屈曲

ここで一つ知っていてほしい事があります。

基本的に筋肉は始まり(起始)と終わり(停止)には骨に付着しています。

筋肉はそのまま骨に付着するのではなく、筋組織が腱組織に変化して付着していきます。

解りやすい部位でいうと、アキレス腱があります。

アキレス腱はふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)が腱組織に変化して踵に付着したものです。

では、膝蓋腱の場合はどうでしょうか??

上記の大腿四頭筋の停止の説明からも分かるように、膝蓋腱は大腿四頭筋が膝蓋骨に付着する時に大腿四頭筋腱になり、その後、脛骨の脛骨粗面に付着するために変化した組織です。

簡単にいうと、大腿四頭筋と膝蓋腱は組織の変化をしながら一続きになっています。

膝蓋腱の痛みに関しては、この事が凄く大切です。

腱は伸び縮みがほとんどない組織です。

しかし、腱に痛みが出ている場合、その腱に変化をする前の組織からの負荷によって引き起こされている事が多いです。

大腿四頭筋の筋緊張が強くなると、繋がっている膝蓋腱は牽引され常に負荷を受ける事になります。

これによって、膝蓋腱は痛みを引き起こしやすくなります。

膝蓋腱(靭帯)に対して行った超音波|超音波の有効性

今回紹介している施術例は、膝蓋腱に対して行った超音波です。

膝蓋腱に限らず、腱部への超音波の照射は有効だと考えています。

超音波治療器には大きく分けて《温熱効果》《非温熱効果》があります。

今回使用したのは温熱効果を狙った施術なのですが、この温熱効果が腱部へのアプローチではより有効的だと思います。

温熱効果の効果は色々あります。

超音波治療器の温熱効果(効果内容)

〇局所血流の促進
〇疼痛の軽減
〇関節可動域の増大
〇軟部組織の伸張性増大

(軟部組織:筋肉・腱・靭帯・脂肪・関節包など)
などの効果があります。

多くの効果がありますが、この中でも腱部に対してはより有効だと思う効果があります。

《局所血流の促進》《軟部組織の伸張性増大》に関しては腱部により有効だと思っています。

腱部は血流の少ない組織です。

それは膝蓋腱に限らず、どの腱部にも当てはまる事です。

そこで、超音波を当てる事で《局所血流の促進》が起きるので、ただでさえ血流量の少ない腱部に対して血流量を上げる事が出来ます。

それにより損傷部位の組織回復に必要な材料や栄養素を運んで来る事が出来るので、早く治る手助けが出来るようになります。

また、腱部は伸び縮みが少ない組織です。

しかし超音波の効果で《軟部組織の伸張性増大》があります。

伸び縮みが少ない組織に対して、伸ばすという解釈より柔軟性を上げる事が出来ると考えています。

そして、超音波の温熱効果は膠原繊維(コラーゲン線維)を多く含む組織に対しては効果を発揮しやすい特性があります。

これは膠原繊維が超音波振動を吸収しやすい事が理由ですが、腱組織は膠原繊維が多く含まれているために超音波の温熱効果が起きやすいです。

患者様は、バレーボールをしている高校生です。

繰り返しのジャンプにより大腿四頭筋の筋緊張は強く、膝蓋骨下部から膝蓋腱部に痛みを訴えるようになりました。

膝蓋腱は大腿四頭筋から変化した腱なので、大腿四頭筋の影響を強く受けます。

逆に考えると、大腿四頭筋の改善が出来れば膝蓋腱に対する負荷が減るという事です。

そのため、大腿四頭筋のストレッチを行って筋の緊張を減らしながら、膝蓋腱に伸張ストレスを少しかけて、そこに超音波を当てる事で《軟部組織の伸張性増大》を狙っています。

ストレッチは膝蓋腱に痛みが出ない範囲で行う事が大切です。
あくまでも、腱への負担は少なく行います。

まとめ

今回は【膝蓋腱(靭帯)を狙った超音波|大腿四頭筋のストレッチを一緒に行う理由】に関して紹介しました。

膝の怪我に限らず、自分の身体を知る事は凄く大切だと思います。

『どこが痛いのか』『何が悪くなっているのか』『なぜ痛くなったのか』などを考えると、痛みの原因が分かり改善するための対策も考えやすくなっていきます。

また今回は膝蓋腱と大腿四頭筋にピックアップして紹介しましたが、実際には関連している筋肉以外にもっと別の所からが原因で痛みが出ている事も多くあります。

膝蓋腱に関しても大腿四頭筋以外にも、足の形・膝の向き・腰(骨盤)の傾き・股関節の硬さなど様々な所から関連している事が多くあります。

それを自分で理解する事はなかなか難しいと思いますが、『どこが、なぜ痛いのか』を知るだけでも、身体にとって凄くいい事だと思っています。

杏鍼灸整骨院の妹川でした。

投稿者プロフィール

妹川 和志
妹川 和志柔道整復師
柔道整復師

福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業

陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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