こんにちは!!
福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川(いもかわ)です。
今回は【ジャンパー膝(膝蓋靭帯・腱)の痛みに対して行う超音波治療器】に関して紹介しをしていきます。
今回紹介している動画の患者様は、バレーボールをしている高校生です。
ポジションはアタッカーをしているためジャンプをする頻度が多く、ジャンプをしようと踏ん張る時も着地の時もどちらも痛みが出る状態で来院されました。
痛みが強く思い切りジャンプが出来ずにプレーに支障が出るほどになっていて、患部には腫脹や熱感が感じられる程でした。
最初は炎症や腫脹が軽減しやすい処置を行っており、数日経過したのちに腫脹等が落ち着いてきたタイミングで患部の痛みの軽減と改善を目的に施術を行っていきました。
その時に行った施術の一つが今回紹介している動画です。
バレーボールやジャンプの頻度が多い競技ではジャンパー膝で悩んでいる方も多いと思います。
今回はジャンパー膝が起きやすい筋肉や理由なども含めて説明していきますので参考にしていただけたらと思います。
ジャンパー膝(膝蓋靭帯・腱)に関わるのは大腿四頭筋
ジャンパー膝に大きく関わるのは大腿四頭筋です。
ジャンパー膝の別名は膝蓋腱(靭帯)炎というのですが、この部分は大腿四頭筋と密接に関わっています。
大腿四頭筋は太ももの前側の筋肉の事を言います。
名前の通り頭が4つあるので筋肉の始まり(起始)が4つあって、それらの筋肉が合わさり1つの筋肉になって停止していきます。
《大腿直筋》《中間広筋》《内側広筋》《外側広筋》の4つが合わさっていきます。
《大腿直筋》
起始:下前腸骨棘
停止:他の筋と合わさり膝蓋骨を経て膝蓋腱(靭帯)となり脛骨粗面に停止
作用:股関節屈曲・膝関節伸展
《中間広筋》
起始:大腿骨体前面
停止:他の筋と合わさり膝蓋骨を経て膝蓋腱(靭帯)となり脛骨粗面に停止
作用:膝関節伸展
《内側広筋》
起始:大腿骨粗線内側唇
停止:他の筋と合わさり膝蓋骨を経て膝蓋腱(靭帯)となり脛骨粗面に停止
作用:膝関節伸展
《外側広筋》
起始:大腿骨粗線外側唇
停止:他の筋と合わさり膝蓋骨を経て膝蓋腱(靭帯)となり脛骨粗面に停止
作用:膝関節伸展
これらの起始・停止を見ても分かるように、起始は別の場所から始まっていますが停止は全部が同じ場所になっています。
この合わさった共同腱が膝蓋腱(靭帯)という訳です。
大腿四頭筋と膝蓋腱(靭帯)は密接な関係と冒頭に説明しましたが、これら筋肉と腱に組織を変えながら一続きになっています。
この事から大腿四頭筋と膝蓋腱(靭帯)は一続きになっているために、大腿四頭筋の影響を強く受けやすくなるのが膝蓋腱(靭帯)になります。
ジャンパー膝が起きる理由|原因は大腿四頭筋の他にも沢山
ジャンパー膝で痛みを出しているのは膝蓋腱(靭帯)の損傷や炎症を起こしているためです。
これは繰り返しのジャンプ動作によるものが多いのですが、同じように生活や部活動や作業やスポーツをしているのに痛くなる人と痛くならない人がいるのはなぜでしょう??
ここが大きなポイントだと思います。
痛くなる人は痛くなる理由があって、さまざまな要因で負担をかけている事になります。
①競技性
正直日常生活の中で痛めるケースよりも、スポーツをしている方が痛めるケースの方が多いです。
それは一回の負荷によって痛めるより繰り返しの負荷によって痛める事が圧倒的に多いからです。
様々なスポーツの中でも繰り返しジャンプを行う競技は膝に繰り返しの負荷が掛かるために痛める事が多いです。
②大腿四頭筋のタイトネス
これは大きく関わっています。
大腿四頭筋と膝蓋腱(靭帯)は一続きになっているために、大腿四頭筋の緊張が強くなったり柔軟性が低下していると、それだけ膝蓋腱(靭帯)には大腿四頭筋による牽引ストレスがかかりやすくなります。
それにより常に負荷が掛かるようになり損傷や炎症を起こしやすくなります。
③Q角やFTAの角度異常
Q角とは上前腸骨棘ー膝蓋骨中央・脛骨粗面ー膝蓋骨中央これらを結んだ線が交わる場所の角度の事をいいます。
FTAとは大腿脛骨角といって大腿骨の長軸と脛骨の長軸が交わる場所の角度の事をいいます。
これらの膝関節の角度が変わってくると大腿四頭筋や膝蓋腱(靭帯)や膝自体に掛かる負担が多くなってくるために痛めやすくなります。
④ニーイントゥーアウト
片足立ちで膝を曲げた時に膝を真っ直ぐ前に曲げずに、曲げるにつれて膝が内側に入る現象です。
これは膝関節や股関節や足関節の筋肉など様々な所が関連して起きるのですが、ジャンパー膝になっている方はこれになっているケースも多くあります。
これは直接膝に負担をかける訳では無いですが、これになる事で膝への負担をかけやすくなります。
⑤下腿外旋
これは下腿(膝関節から下)が外を向くように捻られている状態です。
④ニーイントゥーアウトにも関連している事も多いですが、太もも周りお尻周りなどの筋肉によって引っ張られて膝関節が外を向いてしまいます。
これにより膝蓋腱(靭帯)が少し外に引っ張られるようになり負担が掛かりやすくなります。
ジャンパー膝になりやすい例をいくつか挙げましたが、実際には他にも沢山の事が考えられます。
また痛みを出す理由は一つではなく、色々な要因が関わっている事がわかると思います。
ジャンパー膝に限った事では無いですが、痛みを出している場所と離れた場所が負担をかけて痛くなる要因になっているケースも沢山あるので、そこの改善を行っていく事も大切になってきます。
当院で実際に行ったジャンパー膝に対する超音波治療器の施術例
動画では膝蓋腱(靭帯)に対して超音波治療器を使用しています。
超音波治療器の効果に【軟部組織の伸張性増大】というものがあります。
これは筋肉などの軟部組織が超音波治療器を使用する事で伸びやすくなり、動きの改善を出しやすくするというものです。
大腿四頭筋のストレッチを一緒に行う事で、その効果は高くなりやすくなります。
しかし大腿四頭筋のストレッチを行うと膝蓋腱(靭帯)部分にも牽引ストレスがかかるために、ストレッチの強度は注意をする事が必要です。
また大腿四頭筋のストレッチは骨盤の前傾が起きやすいのですが、骨盤の前傾等は膝蓋靭帯の負荷を増やす要因にもなりかねないので、そこに対しても強く骨盤の前傾が起きないような注意も必要です。
まとめ
今回は【ジャンパー膝(膝蓋靭帯・腱)の痛みに対して行う超音波治療器】に関して紹介しました。
ジャンパー膝は痛みが出ている場所だけの問題ではなく、その他の場所からの問題で膝蓋腱(靭帯)に負荷が掛かっているケースが多くあります。
これはジャンパー膝に限らず他の怪我でも同様な事がいえます。
このような怪我の場合、負担をかけている他の場所の改善をしていかないとなかなか痛みが引いていかないケースもとても多いです。
『なかなか痛みが引かない』などお悩みの方は是非ご相談ください。
杏鍼灸整骨院の妹川でした。
投稿者プロフィール
-
柔道整復師
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業
陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
最新の投稿
- 施術例2024年10月31日足関節捻挫後に行う足趾の運動|足趾はその他の怪我にも関わりやすい
- 施術例2024年10月23日超音波治療器はストレッチと一緒に行うと効果的!!大腿四頭筋を例に解説
- 施術例2024年10月16日ハムストリングスの機能改善に行ったEMS(NMES)|リハビリがとても重要
- 施術例2024年10月4日上腕三頭筋の停止部に対して行った超音波治療器|運動と行う動きの改善