
こんにちは!!
福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川(いもかわ)です。
今回は【ハムストリングスの肉離れ後に感じる痛み|超音波治療器による温度上昇】に関して紹介していきたいと思います。
スポーツをしていると肉離れは聞く事のある怪我だと思います。
特に当院の場合、陸上競技をしている選手が多いのでハムストリングスの肉離れをして来院される患者様が多くいらっしゃいます。
その中で競技復帰をした時に、怪我をした部分の痛みであったりその付近の場所に痛みを感じる事が多くあります。
そのような時に行っている超音波治療器の使用例を紹介していきたいと思います。
そこで今回は、肉離れをする理由と痛みが出やすい理由に関しての説明と、そこに超音波治療器を使用する事が良い理由に関して紹介していきたいと思います。
肉離れが起きる時はどんな時??筋肉の動き方を知ろう
肉離れが起きる時はだいたい決まっています。
それはどの肉離れでも一緒で、ハムストリングスでもふくらはぎでもどこでも同じ機序で起きやすいです。
では筋肉がどのように動いている時に肉離れは起きているのでしょうか??

まず筋肉の収縮に関して少し知っていきましょう。
筋肉の収縮は大きく分けて《静的収縮》と《動的収縮》に分けられます。
《筋収縮の種類》
〇静的収縮・・・関節運動を伴わずに筋の収縮を起こす
〇動的収縮・・・関節運動を行ういながら筋の収縮を行う
静的収縮は関節運動を伴わないために筋肉の長さ(尺)が変わらないので《等尺性収縮:アイソメトリック》といいます。
動的収縮の場合は筋肉が動く方向によって変わり、筋肉の起始停止が近付きながら収縮するのが《求心性収縮(短縮性収縮):コンセントリック》といい、筋肉の起始停止が離れていきながら収縮するのが《遠心性収縮(伸張性収縮):エキセントリック》といいます。
また関節の運動の仕方や負荷の掛かり方によっても呼び名が変わり、常に一定の負荷がかかる場合には筋肉の張力が一定になるため《等張性収縮:アイソトニック》といい、機械などを使って一定の速度で関節運動を行う場合は《等速性収縮:アイソキネティック》といいます。
このように筋肉の収縮は動き方によって分かれています。
この中で肉離れを起こしやすい筋肉の収縮の仕方は《遠心性収縮》をしている時です。

遠心性収縮は筋肉の起始停止が離れながら収縮を起こしていきます。
これはどういう事かというと、筋肉の収縮は起きているのに筋肉は伸ばされている状態です。
例えば肘を曲げる動作をすると、これは上腕二頭筋の求心性収縮になります。
そこに支えられない程の重りを手に掴んだとすると、重りに耐えられずにゆっくりと肘は伸ばされていきます。
この重りを持とうと力が入って筋収縮はしているのに、重さに耐えられずに肘が伸ばされて収縮しながら筋肉が伸ばされている状態が遠心性収縮です。
実際には日常動作の中では求心性収縮と遠心性収縮は色々な場面で起きながら体を動かしています。
ハムストリングスの肉離れも遠心性収縮のタイミングで起きます。
走っている最中で地面に接地する時に遠心性収縮が強く掛かるタイミングがあるのですが、この時に筋肉が収縮しながら伸ばされている力に耐えられなくなった時に『パチンッ!!』と筋肉は切れてしまいます。
これはどの競技でも一緒です。
テニスで踏ん張る瞬間のふくらはぎや、サッカーでボールをける瞬間の大腿四頭筋など各スポーツでも遠心性収縮をしている沢山のタイミングで肉離れは起きています。

一言に肉離れといっても程度は様々です。
《肉離れの損傷の程度》
〇タイプⅠ
筋線維の微細損傷・筋膜の損傷
〇タイプⅡ
筋線維の部分断裂や筋腱移行部を含む損傷・腱膜の損傷
〇タイプⅢ
筋線維・腱部の完全断裂
大きく分けて損傷の程度はこのようになります。
これは損傷時に掛った力によって損傷の起き方は変わりますし、動きの中で負荷がかかっている部分によって損傷の場所も変わりやすいです。
この損傷の程度によって競技復帰までの時間も全然違ってくるので、怪我をしてからは一度検査をして状態を把握する事が大切だと思います。
超音波治療器が有効な理由|温度上昇で伸張性増大と滑走改善
今回紹介している動画では超音波治療器を使用しています。
超音波治療器は筋肉を伸ばしたりする上では相性が良いと思っています。
どういう事か少し超音波治療器に関して知っていきましょう。
超音波治療器とは名前の通り超音波振動を当てる事の出来る機械になります。
超音波振動とは1秒間に約20.000回を超える振動の事をいいますが、この超音波治療器による振動数は1秒間に約1.000.000回~3.000.000回振動しています。
この振動を体内に照射していく事と、体内の細胞や組織が振動させられて身体の変化を起こしていきます。
結果、超音波治療器というのは超音波振動を体内に照射する事で、細胞・組織が振動させられる事で起きる変化を期待した治療器になります。

その効果は大きく《温熱効果》《非温熱効果》に分かれます。
《温熱効果》
連続する強い超音波振動を照射する事によって、細胞・組織が強く振動させられ身体に変化を起こす
強い振動による細胞・組織間での摩擦によって温度上昇が起きる
これにより振動による効果と温度上昇による効果がある
効果内容
〇局所血流増加
〇軟部組織の伸張性増大
〇疼痛の緩和
など
《非温熱効果》
間欠する弱い超音波振動を照射する事によって、細胞・組織が弱く振動させられ身体に変化を起こす
弱い振動のため細胞・組織間での摩擦が起きない
これにより振動による効果がある
効果内容
〇炎症の軽減
〇軟部組織の治癒促進
〇骨癒合促進
など
実際にはまだまだ沢山ありますが、超音波治療器の効果としては以上のような事が考えられます。

今回紹介している動画で狙っている効果は温熱効果の《軟部組織の伸張性増大》です。
これは超音波振動の温度上昇によって筋肉を含む軟部組織の伸びやすさが上昇するというものです。
ただ注意が必要なのは、これは伸びやすさが上がっているだけで伸びている訳では無いという事です。
これは超音波治療器を使用して温度上昇を起こしながら、または温度上昇が起きた直後にストレッチ等の処置を行っていかないと効果が薄れてしまいます。
そのため今回紹介している動画ではストレッチが出る動きを行いながら照射していて、ここを踏まえて行っていくと筋肉の伸張性はグッと上がりやすくなります。

また、温度上昇を起こすと軟部組織の伸張性以外にも良い効果があります。
それは《筋膜の滑走性上昇》です。
筋肉は薄い膜に包まれていて、これを筋膜というのですが筋肉はこの筋膜の中で動いています。
この時に筋肉と筋膜の間で動く際には摩擦が生じていて、この摩擦が強くなると滑走性が下がっているため運動時に痛みや張り感を出しやすくなります。
筋膜の特徴として粘性を持った線維の集まりなのですが、この粘性は温熱を加えると水分量が増えて粘性が下がる事が知られています。
温熱により粘性が下がると筋肉と筋膜との間での摩擦が下がるので滑走性は上昇します。
これを狙って超音波治療器を使用して温度上昇を起こしていくと、筋肉と筋膜間での摩擦が減少していくので滑走性のが改善されやすくなります。
以上のような理由から超音波治療器を使用して温度上昇を起こす事で身体の変化を起こしていく事が出来ると考えています。
軟部組織の伸張性増大や筋膜の滑走性上昇によって運動時の痛みや張り感は改善を起こしやすくなります。
当院で実際に行った施術例
当院で実際に行った施術を紹介します。
競技復帰をしていく時には損傷部位やその近辺に痛みや張り感を出す事が多くあります。
その場合、無理をしない事はもちろん重要ですが、その都度で感じている症状を軽減・消失させて練習を行っていく事も大切だと思っています。
痛みを感じるタイミングは様々ですが、怪我した時と同じ遠心性収縮が起きている時や損傷部位が伸ばされている時に感じている事が多いです。
多くの患者様が言っているのは、走っている最中で膝のリードから膝下が伸びながら接地に向かう瞬間に痛みや強い張り感を訴えています。
そこで今回行っている超音波の当て方は、その動きに近付けて行っています。
先ほど説明したように超音波治療器の温熱効果には軟部組織の伸張性増大があります。
また温度上昇によって筋と筋膜の間での滑走性が上がりやすくなります。
これらの効果を起こしやすくするために運動を行いながら超音波を照射していくと、膝の伸展によって筋は伸張性が上がりやすくなりますし、膝関節の屈伸によって筋は動いているで滑走性が上がりやすくなります。
まとめ
今回は【ハムストリングスの肉離れ後に感じる痛み|超音波治療器による温度上昇】に関して紹介しました。
怪我からの復帰はとても大切になります。
この時に復帰に向けた準備がしっかりと出来ていなかったり、また痛みがあるのに無理をしてしまうと、再負傷をおこしてしまったり、痛みが消えずにズルズルと長引いてしまったりしやすくなります。
特にハムストリングスの肉離れは復帰時の再負傷が多い怪我になります。
そうならないためにも痛みや強い張り感の改善をさせていく事はとても大切になります。
また物理療法機器は色々な機械がありますが、使い方によって目的や効果も違ってきます。
状態の改善をしながら痛みも無くしていけるのが一番いいですね。
肉離れなど怪我に関しての事やケアや機能改善の行い方など質問は何でも気軽にお問合せください。
また当院で行っている施術やテーピング方法などをInstagramやYouTubeなど各種SNSにアップしていますので気になる方は是非見てみてください。
杏鍼灸整骨院の妹川でした。
投稿者プロフィール

- 柔道整復師
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柔道整復師
福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業
陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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