陸上競技に多いハムストリングスの肉離れ|超音波治療器の有効性

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こんにちは!!

福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の妹川(いもかわ)です。

今回は【陸上競技に多いハムストリングスの肉離れ|超音波治療器の有効性】に関して紹介していきます。

陸上競技の短距離種目ではハムストリングスの肉離れが多く起きやすいです。

肉離れを起こした後に痛みが無くなり競技復帰を行っていくと、損傷部位付近に痛みやハムストリングス全体的な強い張りを感じる事が多くあります。

これらは、損傷部位は治っていても、その他の部位が上手く機能していない事が考えられます。

そこで有効的なのが超音波治療器です。

超音波治療器を使用する事で、これらの痛みや強い張り感や違和感を軽減又は解消できるかもしれません。

今回は肉離れ後に痛みや強い張りや違和感が出やすい原因と、なぜ超音波治療器が有効なのかについて考えていきましょう。

目次

肉離れはなぜ起こるの??肉離れの起こる理由

様々なスポーツで肉離れは起きていると思います。

陸上競技の短距離の中では、ハムストリングスの肉離れが多く起きやすいです。

陸上競技の短距離にとってハムストリングスはとても大切な筋肉です。

ハムストリングスは大殿筋(お尻の筋肉)と一緒に働き、スピードのアップに大きく関わり、これらの筋肉によって推進力が生まれています。

しかし、それだけ負担も掛かりやすい筋肉でもあります。

実際に陸上競技の短距離走ではハムストリングスはとても大切な筋肉である反面、損傷を起こしやすい部位でもあるので、ハムストリングスの肉離れは天敵になります。

では、『肉離れはなぜ起こるのか??』これが疑問だと思います。

肉離れを起こす理由は大きく分けて2通りあります。

直達外力
遠心性収縮

ほとんどの肉離れがこれらの理由によって起きています。

①直達外力

直達外力とは、損傷部位と力が加わった部分が一緒の事をいいます。

ラグビーやサッカーやバスケットなどのようにコンタクトスポーツに多く、相手と接触した時に相手の膝などが当たり筋肉に直接的に外力を加えて損傷を起こします。

簡単にいうと打撲のひどい感じです。

打撲は血管や皮下脂肪に損傷を起こし筋の損傷までは強くは出ないですが、打撲の状態が強くなると筋の損傷を起こして筋挫傷を起こします。

これが直達外力による肉離れです。

②遠心性収縮

直達外力以外の肉離れの多くは遠心性収縮によって引き起こされています。

陸上競技でハムストリングスの肉離れを起こす時も遠心性収縮によるものです。

遠心性収縮とは、筋肉の収縮とは反対方向に関節が動いている状態をいいます。

筋肉の収縮を起こした場合、求心性収縮といって筋肉の収縮によって筋肉の長径が縮む事で関節を動かしていきます。

逆に遠心性収縮の場合は、筋肉の収縮を起こしているが関節は反対方向に動いていくので長径は伸ばされていきます。

イメージとしては、肘を曲げようとしている(求心性収縮)のに、他に肘を伸ばそうとする力が働いて、縮もうとする力より伸ばそうとする力の方が強く、力を入れているのに肘が伸ばされていく状態(遠心性収縮)です。

この時に、筋肉は縮もうとする力が働きながら伸ばされているので、筋肉が耐えきらなくなったと時にパチンッと切れてしまいます。

これが遠心性収縮による肉離れです。

遠心性収縮による肉離れは、様々な理由により起きやすいです。

筋力差筋の伸張性低下筋疲労筋の過緊張フォームの癖などによる過度な負荷など様々な事が考えられます。

直達外力による肉離れは予防の出来ない事も多いですが、遠心性の肉離れに関しては起こる可能性を下げる事が出来るので、これらの事を考えて起きないように予防していく事が大切です。

肉離れ後の復帰時に痛みや張り感や違和感が出る理由

肉離れを起こした後にどのように処置をしていくか、どのように復帰をしていくかが大切だと思っています。

その経過が上手く出来ていないと、復帰時に痛みや強い張り感や違和感を残す事が多いように感じています。

肉離れを起こした筋肉は直後から必ず弱くなります。

これは筋委縮といって、肉離れを含める急性外傷を起こした場合は必ず起きてきます。

肉離れを起こした筋肉も弱くなりますし、その周辺の筋肉やなども弱くなっていきます。

筋委縮といっても様々な状態が考えられます。

筋が細く弱くなる
筋の収縮が出来なくなる(力の入れ方が分からない)
筋の出力が弱くなる(弱くしか力が入らない)
筋の機能が低下する(収縮しないといけない時に出来ていない)

などが起きてきます。

筋委縮は必ず起こる事なので、それを《どれだけ少なく済ませる事が出来るか》また《復帰時にはそれだけ無くす事が出来ているか》が凄く大切になってきます。

これらが出来ているかどうかで、競技復帰をした時に痛みや強い張り感や違和感を少なく出来たり、出さずに復帰出来ていきます。

また『肉離れは繰り返しやすい』という事を聞いた事がある方も多いと思います。

確かに肉離れは繰り返す事が多い怪我だと思います。

しかし、それは筋委縮の解消が出来ていない事が一つの原因だと考えています。

復帰時には肉離れをする前の状態の筋肉にどれだけ近づけるかが再発を起こす可能性を下げると思っています。

肉離れ後の痛みや強い張り感には筋膜も関係しています。

筋膜とは線維が粘性がある膜状になったもので、筋肉は筋膜に包まれています。

その筋肉と筋膜が上手く滑る事で筋の収縮が出来ます。

しかし、筋と筋膜の滑走性が悪くなっていると筋の収縮が上手く行われずに痛みや強い張りを起こしやすくなります。

これは、肉離れによる筋の損傷を起こした部位に起こりやすく、その周辺の筋肉にも起こりやすいです。

肉離れによって、筋肉の収縮を起こさずに過ごしている事が原因で、動かさなくなった筋肉の周辺の筋膜は筋肉との間で滑る頻度が減っていきます。

それにより、筋膜の粘性が上がりより滑りが悪くなっていきます。

これも解消した状態で復帰をしていかないと、痛みや強い張り感を起こしやすく、再発の可能性も上がってしまいます。

肉離れには超音波治療器が有効|その理由

当院では肉離れには超音波治療器を多く使用します。

超音波治療器は、損傷直後の急性期にも使用が出来ますし、復帰に向けた時期にも使用する事が出来ます。

超音波治療器は設定によって《温熱効果》《非温熱効果》に大別できます。

超音波振動を体内に当てる事で効果を発揮するのが超音波治療器ですが、これらの振動の強さや時間によって、狙う効果が変わってきます。

《非温熱効果》

超音波振動を弱く間欠的に当てる事で身体に変化を起こしていきます。

振動のみを体内に当てていくので、細胞や組織を弱く振動させて、体の内部的な変化を起こしていきます。

非温熱効果の効果内容としては

  • 浮腫の軽減
  • 軟部組織の治癒促進
  • 疼痛の軽減
  • 骨癒合促進

などがあります。

非温熱効果の特徴としては、急性期に対して使用できるという事です。

急性期は患部への刺激は出来るだけ少なくしていきます。

超音波治療器の非温熱効果は温度上昇を出さないほどの弱い振動を与えるだけなので刺激量がとても少ないです。

そのため、急性期に使用しても影響がほとんどありません。

また、その効果も浮腫の軽減軟部組織の治癒促進によって、損傷部位の治りが早くなりやすいです。

よって非温熱効果は急性期にとても効果が高い事が考えられます。
※もちろん急性期以降にも使用出来て効果は高いです

《温熱効果》

超音波振動をある程度強い出力で連続的(間欠でも使用できます)に照射する事で身体に変化を起こしていきます。

強い超音波振動によって細胞や組織が強く振動するので、摩擦やエネルギーの変換が起きて温度上昇が起きていきます。

この振動による身体の変化と温度上昇による身体の変化が温熱効果では期待できます。

温熱効果の主な効果内容としては

  • 局所血管の拡張
  • 血流の増加
  • 疼痛の軽減
  • 軟部組織の伸長性増大
  • 関節可動域の増大

などが効果として起きてきます。

温熱効果の大きな利点は温度上昇を起こす事です。

温度上昇を起こす事で、非温熱効果と全然違う効果になってきます。

しかし、温熱効果は温度上昇を起こしたり振動も強いので急性期に使用する事には向いていません。

急性期以降の患部に対して温熱効果を狙って使用していきます。

急性期を過ぎた時期からは、患部を温めて血液の循環を良くしていきたいので、超音波治療器による温度上昇は効果的です。

血液の循環を良くする事で、患部に治るための材料を運んできてくれます。

また、少しずつリハビリで運動を行っていくタイミングでもあるので、軟部組織の伸張性増大によって筋や靭帯の伸張性を高くして、患部のやその周辺の動きを良くした状態で運動を行う事が出来ます。

これらの理由から、温熱効果は急性期以降にはとても効果的に使用できます。

肉離れに対して超音波治療器はとても効果が高いと考えています。

急性期には非温熱効果を狙って、患部の浮腫の軽減と軟部組織の治癒促進を起こしていきます。

これらにより、損傷部位の治っていく早さが変わってきます。

それ以降は、温熱効果を狙ったり、非温熱効果と温熱効果の両方を狙っていきます。

非温熱効果を狙った後に温熱効果で温度上昇を起こし、血流の増加を図り治りやすい環境を作っていきます。

また治癒の過程で損傷部位は線維化して硬くなりやすいので、軟部組織の伸張性増大によって患部が伸びやすく動きやすい状態を作っていきます。

リハビリの運動時に対しても軟部組織の伸張性増大は効果が高く、リハビリの経過が順調に進みやすくなっていきます。

これらの理由により超音波治療器は肉離れに対して効果的だと考えています。

ハムストリングスの肉離れ後の復帰期に行った超音波|運動との組み合わせ

ハムストリングスに対して行った超音波治療器の使用例を紹介します。

超音波治療器は温熱効果を狙っていますが、この施術の前に非温熱効果のみを行う超音波治療器のオステオトロンⅤを使用しています。

施術例の患者様は陸上競技をしていますが、ハムストリングスの肉離れを起こして復帰をしている最中です。

走っている最中は痛みなく練習を行えていますが、走った後に患側の方が突っ張った感じや痛みを感じるようになっていました。

これらの症状に対して、超音波治療器を行っています。

超音波治療器の温熱効果で軟部組織の伸張性増大を狙って筋肉が伸びやすい状態にしていきます。

また、突っ張る痛みなどは筋肉と筋膜との滑走性が悪くなている場合にも起きやすいです。

筋膜は粘性がありますが、温度上昇によって粘性は下がるので筋肉と筋膜との滑走性を上げる事が出来ます。

動画は膝関節屈伸の運動を一緒に行っています。

温度上昇と一緒に行う事で軟部組織の伸張性の効果は高くなりやすいですし、滑走性も動かしながら行う事で高くなりやすいです。

まとめ

今回は【陸上競技に多いハムストリングスの肉離れ|超音波治療器の有効性】に関して紹介しました。

どの競技でも肉離れは多く起きやすい外傷の1つです。

また、競技復帰した時に痛みを残している事も多く、パフォーマンス低下にも繋がりやすい怪我でもあります。

パフォーマンスの低下をしている状態で競技復帰をしていくと、再発を起こしやすい怪我でもあります。

『競技中は痛くないから大丈夫』

『違和感はあるけど競技出来てるから大丈夫』

と思って軽く考えていると、後になって悲しい思いをする可能性があります。

そうならないためにも、適した時期に適した処置をしていく事が大切です。

杏鍼灸整骨院の妹川でした。

投稿者プロフィール

妹川 和志
妹川 和志柔道整復師
柔道整復師

福岡柔道整復専門学校(現 福岡医療専門学校)卒業

陸上競技、サッカー、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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