坐骨神経痛に鍼治療は効果があるの?研究から見えてきたこと

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こんにちは!福岡県筑紫野市二日市にある杏鍼灸整骨院の陣内由彦です。

今回はつらい坐骨神経痛についてご紹介していきたいと思います。

腰からお尻、足にかけて痛みやしびれが走る坐骨神経痛。

長時間座っていられない、夜も眠れないほどの痛みに悩まされている方も少なくありません。

そんなつらい症状に対して、鍼治療が今注目されています。

今回は、研究データも交えながら、鍼治療の効果について分かりやすくご紹介していきますね。

目次

坐骨神経痛ってどんな症状?

坐骨神経は、私たちの体の中で最も太くて長い神経で、腰から始まってお尻、太もも、ふくらはぎ、そして足先まで続いています。

この神経の通り道に沿って痛みやしびれが現れるのが坐骨神経痛といわれています。

よくある症状としては:

  • お尻から足にかけての鋭い痛み
  • ピリピリとしたしびれ感
  • 足の感覚が鈍くなる
  • 長時間立っていたり座っていたりすると症状が悪化する
  • 前かがみになると痛みが強くなる

実は「坐骨神経痛」というのは病名ではなく、症状の総称なんです。

その背景には、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群など、さまざまな原因が隠れていることがあります。

なぜ鍼治療が注目されているの?

従来、坐骨神経痛の原因は神経が圧迫されることだと考えられてきました。

しかし近年の研究で、筋肉や筋膜のこわばりや短縮も主な原因として注目されていることが分かってきています。

鍼治療の特徴は、こうした深部の筋肉や筋膜に直接アプローチできることです。

マッサージでは届きにくい体の奥深くにある問題に、細い鍼を使って直接働きかけることができるんですね。

鍼治療が痛みを和らげる仕組み

鍼治療にはいくつかの作用が期待されています:

1. 血行の促進 鍼灸による刺激で血液の流れが改善され、炎症を抑える効果があると考えられています。筋肉に鍼を刺すと、脳は「傷ができた」と認識して、その部分を治そうと血液を送り込みます。その結果、血行が良くなり、痛みの原因物質が洗い流されていくのです。

2. 筋肉の緊張をほぐす 固くなった筋肉や筋膜に鍼で刺激を与えることで、緊張がゆるんでいきます。これにより神経への圧迫が軽減され、痛みやしびれが和らぐことが期待できます。

3. 痛みを感じにくくする 鍼治療には、体内で自然な鎮痛物質(エンドルフィンやセロトニン)の分泌を促す働きもあると考えられています。また、痛みを脳に伝える経路をブロックする効果(ゲートコントロール理論)も報告されています。

4. リラックス効果 鍼灸は副交感神経を刺激し、体全体のリラックスを促進するとされています。ストレスが痛みを悪化させることもあるため、このリラックス効果も症状の軽減につながる可能性があります。

研究データから見る鍼治療の効果

では、実際の研究ではどのような結果が出ているのでしょうか?

複数の研究をまとめた分析結果

2023年に発表された研究では、鍼治療が従来の薬物療法と比較して、痛みの評価スケール(VAS)のスコアを統計的に有意に低下させたことが報告されています。

また、2015年の系統的レビューでは、11の研究を分析した結果、鍼治療は痛み止め薬(イブプロフェン、メロキシカムなど)と比較して、足の痛みや腰痛を軽減する点でより効果的である可能性が示されたとの結論が出されています。

さらに興味深いのは、鍼治療を薬物療法に追加することで、薬だけの場合よりも痛みの軽減効果が高まったという報告もあることです。

最新の研究から

2024年の研究では、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛患者に対して、4週間で10回の鍼治療を行ったところ、偽の治療を受けたグループと比較して、足の痛みが軽減し、身体機能が改善され、その効果は1年間持続したという結果が報告されています。

研究の限界も理解しておこう

ただし、これらの研究結果を解釈する際には注意も必要です。多くの専門家が指摘しているのは:

  • まだ研究の数が限られており、より大規模で質の高い研究が必要であること
  • 鍼治療の方法や回数、使用するツボが研究によって異なること
  • 西洋医学的な標準治療と比べて「補完的な位置づけ」として使われることが多いこと

ですので、「鍼治療で必ず治る」とは言い切れませんが、鍼治療は坐骨神経痛に対して効果的で安全である可能性を示す証拠が積み重なってきているのは確かです。

実際の鍼治療はどんな感じ?

坐骨神経痛に対する鍼治療では、主に以下のような部位にアプローチします:

よく使われるツボ:

  • 腰部:坐骨神経の根元にあたる部分
  • お尻の「環跳(かんちょう)」や「承扶(しょうふ)」というツボ
  • 太ももの裏側
  • ふくらはぎやアキレス腱周辺

鍼を刺すだけでも神経や筋肉は緩みますが、そこから更に電気(パルス)を流して治療効果を高めることもあるそうです。

治療頻度と期間の目安

症状が非常に重い場合でも通院は週3回までで、毎日の通院は必要ないとされています。

多くの治療院では、最初は週1~2回程度から始めて、症状が改善してきたら徐々に間隔を空けていくパターンが一般的です。

効果を感じ始めるまでの時間は個人差がありますが、3回目の治療後に効果を感じる方が最も多く、週2回のペースなら治療開始から10日後くらいという報告もあります。

ただし、完全に症状が落ち着くまでには、数週間から数ヶ月かかることもあります。焦らず、じっくりと治療に取り組むことが大切です。

鍼治療が向いているケースは?

特に以下のような方には、鍼治療を試してみる価値があるかもしれません:

  • 痛み止めや湿布だけでは症状が改善しない方
  • 長期間薬を飲み続けることに不安がある方
  • できれば手術は避けたいと考えている方
  • 筋肉の緊張やこりが原因と考えられる方
  • 他の治療と組み合わせて相乗効果を期待したい方

ただし、注意が必要なケースもあります。

重度の排尿障害や会陰部の異常感覚がある場合は、緊急の医療対応が必要な可能性もあるため、まずは整形外科を受診することをおすすめします。

安全性について

鍼治療は比較的安全で、坐骨神経痛患者において重篤な副作用が起こることはまれであるとされています。

ます。

鍼治療だけでなく、生活習慣の見直しも大切

鍼治療の効果を最大限に引き出すためには、日常生活での工夫も重要です:

  • 長時間同じ姿勢を避ける
  • 適度なストレッチや体操を取り入れる
  • 体を冷やさないようにする
  • 重いものを持つときは正しい姿勢で
  • ストレスをためすぎない

坐骨神経痛の多くは、長時間の不良姿勢や過度な運動など、日頃のわずかな負荷が長期化し、その積み重ねにより症状が生じるとされています。ですので、治療と並行して生活習慣を見直すことが、再発防止にもつながります。

まとめ

坐骨神経痛に悩んでいる方にとって、鍼治療は有望な選択肢の一つと考えれます。

研究によって、痛みの軽減や機能改善の効果が示されてきていますし、安全性も比較的高いとされています。

もちろん、すべての人に効果があるわけではありませんし、治療には時間がかかることもあります。

でも、原因を見極めて適切な施術を行えば、坐骨神経痛は症状の改善が見込める症状であることも事実です。

「病院でもらった湿布と痛み止めで良くならない」「いろいろな治療院に行っても治らない」という方も、決してあきらめる必要はありません。信頼できる鍼灸院に相談してみることで、新たな可能性が開けるかもしれませんよ。

痛みのない、快適な毎日を取り戻せるよう、前向きに治療に取り組んでいきましょう。

またなにか怪我に関してやテーピング方法など疑問がある方は気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

陣内由彦
陣内由彦柔道整復師、鍼灸師
院長  柔道整復師  鍼灸師

福岡医健専門学校卒業

株式会社セイリン様、株式会社伊藤超短波などでもセミナー活動をしており精力的に鍼灸をひろめようと活動もしております。

陸上競技、ソフトボール、バレーボール、柔道、剣道など様々なスポーツチームの帯同経験多数
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